第11話:天空を翔ける要塞と、落ちてきた魔族の少女
国家や商業ギルド、そして王立騎士団が勝手に俺の平穏を守るために動いてくれているおかげで、俺――レイルの毎日は相変わらず超がつくほど平和だった。
「ふぁ……よく寝た」
朝、俺がベッドから起き上がると、脳内に心地よいシステム音が響き渡った。
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## **【全自動神造通知】**
『要塞エリア全体の拡張・アップデート』が完了しました。
⇒ **【神域魔導要塞・バビロン(レベル2)】** へ進化!
**【追加新機能】**
・『全自動浮遊航行機能』:要塞ごと高度10,000メートルへ浮遊・移動が可能に
・『次元転送ゲート』:一度訪れた場所へ一瞬で移動可能
・『神級露天風呂エリア』:全疲労回復&肌の若返り効果(効能:神級)
「うわ、今度は要塞が空を飛べるようになったのか……」
リビングへ下りていくと、すでにエプロン姿のアイリスとエレナが朝食の準備を整えてくれていた。
「おはようございます、レイル様! 今日の朝食は要塞の自動シェフが作った『神級エッグベネディクト』です!」
「レイル様! 朝のお風呂の準備もできていますよ! なんだか今日のお風呂、外の絶景が見える凄い露天風呂に進化していて……!」
「ああ、要塞のレベルが上がったみたいなんだ。ついでに、空も飛べるようになったよ」
「「……はい?」」
俺がリビングの大型レバー(全自動操縦桿)を軽く引くと、ゴゴゴゴ……という地鳴りのような音が響き、要塞全体がふわっと浮き上がった。
窓の外を見ると、地上の景色がみるみる小さくなっていく。
「きゃあぁぁぁ!? 要塞が……要塞が空に浮かんでいます!?」
「すごいです……雲が目線の高さにありますよ……!」
アイリスとエレナは窓にへばりついて歓声を上げている。
地上では、建設中だった聖域都市の作業員たちが「要塞が飛んだぁぁぁ!?」と青ざめて拝み倒しているのが見えた。
「これで世界中どこへでも旅できるな」
俺が優雅にハーブティーを一口飲んだ、その時だった。
**ピピッ――!**
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## **【要塞防衛システム通知】**
上空8,000メートルにて『生命反応』を検知。
・対象:魔族の少女(瀕死・落破中)
・状況:魔界の追手(竜騎士団)による猛撃を受け落下一中
要塞の上空モニターに、ボロボロの漆黒のドレスを纏い、頭から小さな漆黒の角を生やした美少女が落ちてくる映像が映し出された。
背中からは傷ついた漆黒の翼が生えている。
その後ろからは、巨大なワイバーンに乗った強烈な魔力を放つ騎士たちが、容赦なく漆黒の魔弾を放ち追撃していた。
「魔族……!? それにあの角と魔力の質……魔王家の血筋です!」
アイリスが即座に見抜いて叫んだ。
「追手は魔界の反乱分子『竜騎士団』……! あの少女、命が危険です!」
「……うちの敷地(上空)で暴れるなら、容赦はしないよ」
俺は要塞の防衛パネルを軽く操作した。
「【全自動迎撃】――害鳥駆除」
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## **【全自動神造通知】**
『要塞対空砲:神聖光線』発動。
**――ズドンッ!!!!**
要塞の屋根から放たれた極太の聖なる光の柱が、空を切り裂いた。
「「「グギャアぁぁぁぁっ!???」」」
少女を追っていた魔界の竜騎士団とワイバーン群は、悲鳴を上げる暇すらなく、光に呑み込まれて一瞬で消滅(全自動浄化)した。
「え……?」
投げ出された魔族の少女は、自分を追い詰めていた強大な敵が一瞬で消滅したことに呆然とし、そのまま重力に従って要塞のバルコニーへと落ちてきた。
**パシッ。**
俺はバルコニーへ飛び出し、落ちてきた少女を腕の中でしっかりと受け止めた。
「っと、危ない危ない。大丈夫か?」
「あ……う……」
腕の中の少女は、黄金の瞳を潤ませながら、信じられないものを見る目で俺を見上げていた。
「人間……? なのに……どうして、魔王城の結界すら遥かに超える神の領域に……? あなた、一体……何者……?」
「俺? ただのクラフト職人だよ。ようこそ、俺の要塞へ」
俺が優しく微笑むと、魔族の少女は真っ赤になってそのまま気絶してしまったのだった。
こうして、天空へと浮上した要塞に、3人目のヒロイン――魔王の娘が転がり込んでくることになった。




