コンサート
三人を乗せたタクシーは、繁華街から少し外れたある場所についた。
タクシーから降りて
ひろみの目に入ったのは、
”焼肉 京城”
の看板だった。
焼肉屋でカラオケ?
一体
この二人は何を考えているの?
そう思って焼肉屋の看板をひろみが眺めていたら。
中村がひろみの方を見てが聞いてきた。
「そんなに焼肉が食べたいのか?」
「えっ?」
ひろみが振り向くと二人は、5mほど離れた細い路地に入ろうとしていた。
そして、えみが手招きをしている。
「こっちよ」
ひろみは、慌てて2人に駆けより一緒に路地をすすむと
えみも同じことを聞いてきた。
「ひろみちゃん、焼肉食べたいの?晩に食べる?」
「いえ、ソウルって言ったじゃないですか・・・・」
ひろみが呟くように言うと
「ああ、焼肉ソウルね・・・」
えみはやっと気づいて笑い出した・・・
もう・・・
ひろみが思っていると、えみがある建物の入り口を指差した。
「ソウル違いね・・・ここよ・・」
そこには、
普段では気づかないような
小さな看板にカリグラフでSOULの文字が
その入口は、地下に伸びる階段であった。
やはりカラオケ喫茶みたいなものか・・・
ひろみはそう思いながら
店に入ると静かにジャズが流れ・・・
「いらっしゃ・・・い」
二人を見たマスターがカウンターから出てきた。
「りょうちゃん、ひさしぶり、あっ・・えみちゃんまで・・・」
「マスターいつものと・・・・それと、ピアノ借りるから・・」
中村がマスターに言うと・・・
「わかった、ちょっと待って、お店を準備中にするから・・・」
マスターが店の外に出た。
中村は、店の奥にあるピアノへ向かった。
やがて
ピアノの前にに座った中村・・・
ひろみは、どこに座ったらいいのかわからないまま・・・立っていた。
ふと見るとえみが手を引いてある席に連れて行った。
「ここよ・・・」
ひろみは、言われるがままにその席に座ると
それぞれに飲み物とナッツ類のはいった小皿がでてきた。
中村がその差し出された一杯を飲みほすと・・
BGMとして流れていた音楽が消えた。
やがて
ピアノの音が流れてきた・・・・
しばらくして
「さすが、りょうちゃんだね」
マスターが言ってきた。
「えみもひさしぶりに歌えば・・・」
「そうね・・・」
えみは席を立って、中村の横に行った。
そして
曲が変わって、えみが歌いだした・・・
えみの魂のこもった歌声が響いた。
やがて
中村の歌声が重なってきた。
ひろみが聞き入っていると、
マスターが
「君は、いい時に連れて来てもらったね。」
「えっ・・・」
「かつて、二人はここで歌っていたんだよ。プロにはなれなかったけど・・」
「そうなんすか・・」
中村さん・・・
かっこいいけど・・・
えみさんが・・・
とてもお似合い・・・
ひろみは寂しげに二人を見ていた・・・
歌が終わると・・・
「ひろみちゃん!!ちょっと!!」
えみが呼ぶ・・
「わたし?いえ、私はいいです。・・・」
ひろみが断る
すぐにえみが駆け寄ってきて、
「マスター入れても4人じゃない・・・カラオケでもきたと思って・・・」
手を引っ張って、ひろみをピアノ横までつれてきた。
「この曲だと、わかるよね!」
曲が始まった・・・
ひろみも覚悟を決めて歌いだした
「おいおい・・・」
一番驚いたのはマスターだった・・
3人は夢中に歌った。
気づくと・・・拍手が沸いた・・・
客が入っていたのだ。
二人は、なんともなかったが、ひろみは、真っ赤になっていた・・・
そして
店をでた3人、えみがたのしそうに振り返り
「本当に今日は楽しかったわ・・・・・りょうちゃん・ひろみちゃん、本当にありがとう・・・」




