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齢2歳で家族を守る大公女

注ぎ続けると、私は眠りについたらしい。

他人事のように話しているけど、これは全部ママとパパから聞いた私の話だ。

私が産まれてきた時の話。

私が誰だって?


「アウロラ〜お兄ちゃんたちがきたよ〜」


そう、私はアステール大公家の長女、アウロラ・フロル・アステール。


今年2歳になりました。


何故こんなに口が達者かって?


そんなの知らない。

でも、ママの話を聞くと私が産まれて数ヶ月の時に体から放った光が関連してるみたい。

まあ私の家族は私がこんなに喋れることを知らないんだけどね。

しかも、なんか家族の周りにゆらゆらしたものが見えるんだけどね。


「にいさま。」


「にいさまじゃなくて、おにいちゃんかにーにでしょ。」


どっちとも黒髪に赤い瞳、そしてなぜか同じ背丈だけど、どっちがどっちかはすぐに分かる。

なぜかみんなはわからないみたいだけど。


「えるにいさま、ママとパパは?」


10歳のエル兄様と、7歳のカロン兄様。

この世には、色んなすごいことができる人がいる。

剣術がいっぱいできる人は、ソードマスターと呼ばれて、エル兄様はソードマスターに必須なオーラをもう使えている。

アステール家を象徴する、闇のオーラ。

エル兄様は闇のオーラが使える。

カロン兄様はオーラは使えないけど、魔法とかがとても得意ってエル兄様が言ってた。

すごい魔法が使えるんだって。「危ないから」って見せてくれないけど。

エル兄様は、なんか黒い紫色みたいなゆらゆら、カロン兄様はちょっとピカピカしてる黒い紫のゆらゆら。二人ともちょっと違うゆらゆらが周りにある。


「ママとパパはお仕事してるよーだから僕たちと遊ぼうね。」


「うん」


ママとパパは、今日は珍しく領地の視察で家を出ている。

今日の朝盗み聞きしちゃった。

頷くと、エル兄様は私を抱えながらカロン兄様の手を握って部屋をでた。


「せっかくなら外で遊ぼうか。いい天気だし。」


確かに、今日は珍しく晴れている。

夏だからかな。


「でも、また母様と父様に怒られちゃうよ。」


カロン兄様の言うとおり、もし私たち三人で勝手に外に出たら、絶対に怒られる。

だって、前も私を勝手に連れ出したことで、叱られたからだ。

まあ私は叱られてないんだけどね、赤ちゃんだし。


「ちょっとくらいなら大丈夫だよ!ほら、行こう!」


エル兄様は前回と同じことを言うと、私たちを連れて庭に出た。


「エ、エル兄様どこに向かってるの?」


エル兄様は私たちを連れて、庭の奥へ奥へと進んで行った。

丁度騎士たちに見つからない道を通って行き、辿り着いたのはエル兄様が丁度抜けられるくらいの抜け穴の前だった。


「ここを抜けたら花畑が綺麗な森があるんだ。一緒に行ってみない?」


エル兄様の誘いに、カロン兄様は怯えていた。


「で、でも本当に怒られちゃうよ!母様怒ると本当に怖いんだよ。しかもアウロラを連れていたことを知られたら…」


カロン兄様はそのことを考えただけで血の気が引いたようだった。

確かに、赤子を連れて屋敷をでたことを知られたら説教では済まないかもしれない。


「にいさま、だめ。」


私はエル兄様の瞳を真っ直ぐ見つめた。


「アウロラ…ごめんね。カロンもごめん。僕すごい幼稚なことしちゃった。部屋に戻ろう。」


兄様は私とカロン兄様に謝ると、ゆっくりと立ち上がった。

しかし、一歩前に踏み出した瞬間、獣の唸り声が聞こえた。



後ろからだった。



エル兄様は慌てて振り向くと、私たち二人を連れて全速力で走った。


「にいさま、どうしたの?」


エル兄様の汗が私の額に一滴落ちる。


「魔物だ。あの穴のせいで大公家の結界に穴が空いたんだ。」


兄様は走りながら説明してくれる。


「全部、僕のせいだ。僕があんな穴見つけるから…」


「にいさま…」


言ってあげたい。

あの穴を見つけたのが兄様だからって、それが兄様のせいになるわけじゃないって。


「どうしよう、母様と父様は遠くにいるし…」


つよつよの騎士たちはパパたちについて行っちゃったし…


パパとママも、子供置いていくんだったらちょっとくらいは強い人残してよ!

確かに兄様たちは強いけど、まだ子供なんだから…


「…エル兄様、僕がやってみましょうか。」


カロン兄様が魔法の準備をし始める。


「カロン、ダメだ。」


エル兄様が即座にカロン兄様を止めた。



カロン兄様の魔法、みた事はないけど侍女たちから盗み聞いたことがある。

カロン兄様はまだ幼い頃、私と同じくらいの時。


魔法を使ったせいで暴走に陥ったらしい。

凄まじい魔力で放つ、光と闇が混じったような魔法。


恐ろしい光景だった、って言ってた。


誰が戦うのを決める余裕もなく、ついに大公家を守っていた結界が破れてしまった。

多分、あの魔物は何日もかけて壊したのだろう。

だって、ママが作った結界がそんな簡単に破れるはずがない。


「大公子様、大公女様、お逃げください!」


残っていた騎士たちが魔物の前に立ち塞がった。

しかし、力を蓄えていた魔物は、騎士たちのことをあっという間に片付けてしまった。


「執事!母様と父様に連絡しろ!」


執事は頷くと、通信機を取りに走っていった。

大蛇のような形をした魔物はゆっくりと近づいてきた。


「アウロラ、カロン。」


エル兄様は私をカロンに預けると、剣を懐から抜いた。


「僕が片付けるから、大丈夫。」


兄様の手は、震えていた。


「にいさま、だめ。」


魔物の周りにあるゆらゆらの方が、兄様のよりもでかい。

兄様はまだ勝てない。

大蛇は私たちを威嚇するように牙を立てて大きく鳴いた。


『倒したい?』


その時、私の頭の中で知らない声が響いた。

幼い少年のような声。


『家族、守りたい?』


うん。

私は心の中で頷いた。

誰かはわからないけど、この危機を逃れるなら…

やる。


『いい覚悟だね。じゃあこう唱えて、頭の中でもいいから。』


私は謎の声に従って声に出して唱えると、一瞬にして大蛇は光になって、消滅した。

言葉通り、跡形もなく消えてしまった。

すごい、疲れた…


「アウロラ?アウロラ!!」


兄様たちの心配そうな声を聞きながら、私は瞼を閉じた。


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