大公女の長い昼寝
『ランランラン、ランラン!』
ここはどこ?
何もない真っ黒な空間の中で、あの謎の声と二人きり。
『アウロラ、ちゃんだっけ?無理させてごめんねーでもこの借りはどっかで返してもらうから〜そろそろ起きてねー!!』
”借り?”そんなの二歳児にどうやって返せって言うのよ。
っていうかあなた誰?
質問を聞く前に、私は起きてしまった。
瞳を開けると、まず最初に見えたのはママだった。
ママの腕の中にいるみたい。
「まま〜」
手を伸ばすと、目が赤く腫れたママが手を握ってくれた。
「アウロラ!!大丈夫!?本当に心配してたんだから…」
「アウロラ!!ごめんな、パパがいなかったばかりに…本当に、ごめんな。」
パパも号泣していた。
私は、家族にかなり迷惑をかけたらしい。
「アウロラ…」
そして、パパの隣には兄様たちが立っていた。
二人とも泣いたんだろう、目が腫れてる。
「にいさま、だいじょぶ?」
手を伸ばすと、兄様たちはぎゅっと握ってくれた。
「ごめんね、お兄ちゃんが守らなきゃいけないのに、アウロラは大丈夫?痛いところとかない?」
「僕も、剣があるのに、使えなかった。アウロラとカロンのことを守れなかった。二人の兄様なのに…」
エル兄様、カロン兄様…
私は握られている手を二人の頬に当てた。
「だいじょぶ。みんな、たすけあう。だいじだいじ。」
私は拙い言葉でなんとか伝えようとした。
私たちは兄妹なんだから、助け合うべきなんだから。
「アウロラ…」
「アウロラ…」
二人は今にも泣きそうな顔をしていた。
その隣で、号泣しているおじさんがいた。
私たちのパパだ。
「ううっ、ごんなにも大きくなっで、ぐすっ。ほんど、パパはみんなの成長に、びっくりだよ!!」
大の大人が私たちよりも泣いてる。
この人、本当に大公なのかな。
「はいあなた達、悲しい時間は終わり!私は少しアウロラに話さなきゃいけないから、三人は外に出てね!」
ママの鬼のように早い切り替えで、パパ達は部屋を追い出された。
「アウロラ、あのね、聞いて欲しいことがあるの。」
ママは私の目をまっすぐ見ると、いつもの優しい声で喋ってくれた。
優しいけど、真剣な声。
「あなたが使った魔法はね、とても危険なの。アウロラは、どうやって使ったの?」
ママに、どうやって答えればいいんだろうか。
突然聞こえた声に従って唱えただけ、って言ってもそんなの信じてくれない。
ここはもう、こう答えるしかない。
私は瞳をキラキラうるうるさせ、ママを見つめた。
「わかんなぁい。」
ザ・二歳児の顔。
キュートで最強でしょ?
それにママは一瞬にしてメロメロになった。
「そうよね!わかんないよね、しょうがない。アウロラはまだ2歳だもんね。」
ふっ、ちょろいぜ。
ママは私のことをぎゅーっと抱きしめると、ベビーベッドの上に私を寝かせた。
「アウロラ、ママはちょっとパパとお話ししてくるから。すぐ戻るからね。」
珍しく、ママは私を置いて部屋を出た。
久しぶりに、一人で昼寝しようかな。




