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第7話 体育祭、完全に手のひらの上でした。

そして迎えた体育祭当日。


朝から教室はいつも以上に騒がしく、みんな体育祭を楽しみにしている様子だった。


「ちょっと今日、黒瀬さんやばくね。」


「ああ、最高だ。」


黒瀬も今日はTシャツを結び、お腹の見える格好をしている。ハーフパンツからは見せパンの紐がちらりと覗いていた。


いつもとは違う黒瀬の姿に、クラス男子たちの視線が集まっていた。


「ほらほら!澪央!セットしてあげるから!編み込んであげるよ!!」


黒瀬のギャルグループの1人である橘(たちばな)さんだ。


「いや、私はいいって、髪痛むし。」


ヘアアイロンを使って、黒瀬の髪をいじろうとしているようだ。


(うわ、普通に盗電だな。捕まれ。)


体育祭らしく、クラス中がヘアアレンジやメイクなどを楽しんでいるようだ。


_____しばらくして。


「ほら!可愛いじゃん!澪央は元がいいから全部似合うね!」


「そ、そうかな。これ本当に似合ってるの?」


髪型が完成した瞬間、教室にいた何人もの視線が黒瀬へ集まった。


片側は細かく編み込んでまとめ、反対側は毛先を大きくカールさせている。


「澪央!写真撮ろうよ!ハイチーズ!」


「澪央ちゃん!俺とも写真撮ろよ!」


クラスのチャラ男こと、成瀬《なるせ》だ。


「しつこい。嫌だ。」


黒瀬は一言で成瀬を黙らせたのち、アナウンスが始まる。


「開会式が始まります。生徒はグラウンドに集まってください。」


「始まるよ!澪央いこー!あんなやつはほっとけ!」


「そうだね橘。いこうか。」


「私たちもいくー!」


そしてグラウンドへ移動した。開会式が終わり、それぞれの競技が始まる。


「赤組いくぞぉぉ!!!」


「白組いくよぉぉお!!!」


(......見苦しいな。これが共感性羞恥《きょうかんせいしゅうち》ってやつか。)


俺たちのクラスは赤組らしい。


借り人競争まで時間があるので、俺はなんとなく黒瀬が出るバスケを見に行くことにした。


「黒瀬さんがんばー!!」


「澪央いけるよぉぉ!!」


主に女子からの歓声がすごかった。


「澪央!はいっ!パス!」


パスを受け取った黒瀬は一瞬で相手を抜き去り、あっという間にゴールを決める。


(......す、すげぇな。黒瀬。)


そのとき、ふと黒瀬と目が合った。


黒瀬は一瞬驚いたような顔をすると、俺に向かってニコッと笑った。


「え、黒瀬さん俺に微笑んだぞ?おい見てた!?」


「気のせいだろー笑」


「いやまじだって!!」  


ギャラリーにいる男子たちが盛り上がっていた。


その表情は『女帝』としては絶対見せない顔。

俺だけが知っている、幼馴染の黒瀬澪央の顔だった。


バスケの試合も無事に終わり、赤組が優勝した。


次はいよいよ俺の出番だ。憂鬱《ゆううつ》だ。


「それでは借り人競争に出場する生徒は集まってくださーい。」


......仕方なく俺は向かう。


しかし、問題ない!

どんなお題でも俺は先生を連れて行く!


「よーいスタート!」


バンッ!


俺はお題が並べられている机の一番右からお題を引く。


お題 『ギャル』


_____ん?ギャル?ギャルってなんだ?

俺は先生を連れて行くつもりだったんだが......?


見間違いか??


何度見返してもお題には『ギャル』と書かれていた。


そもそもこの学校にギャルの先生なんているはずがない。


どうする!!!


俺の体中から、冷や汗が一気に噴き出す。


(......やばいやばいどうする!また恥を晒してしまう!!!)


俺は周囲を見渡す。

そして、気づいてしまった。


俺の視線の先。


黒瀬澪央。


こちらを見ながら、ニヤニヤしている。


(お前ぇぇぇ!!仕込んだな!?やったな!?)


黒瀬は今にも吹き出しそうな口元を抑え、楽しそうに手招きしている。


仕方なく俺は黒瀬の元に向かった。


「......お前やったな!?まじで覚えとけよ!!」


俺は黒瀬の手を掴み、そのままゴールに向かって走り出した。


「ほんと昔から変わってない笑 一番右を引く癖《くせ》笑笑」


「は、はぁ!?そんなの知らん!記憶力バカが!!」


黒瀬はうつむいて、爆笑するのを我慢している。なんとか俺たちはゴールした。


俺がモタモタしてる間に遅くなり、結果は最下位。


「誰だよあいつ!なんで黒瀬さんと手繋いでんのさ!!」


「いやいや仕方なくでしょ。黒瀬さん、ずっと下向いてたし。」


男子たちの「羨ましい。」「なんでお前が。」という視線がものすごく痛い。


「和泉。お疲れ笑 かっこよかったよ?」


「まじで覚えとけよ、早く友達のとこ帰れ!」


黒瀬はニヤニヤした表情を浮かべながら俺の元を後にした。


「おい!白井《しらい》ずるいぞ!なに黒瀬さんと手なんか繋いでいるんだ!!!」


「白井覚えとけよ。赤組なのにそんな名前しやがって!!」


さっそく、男子が詰め寄ってきた。


(白井って誰やねん。俺は白川だ。てか理不尽すぎる!白川家の先祖代々《せんぞだいだい》に謝れ!!)


俺はそいつらを無視して、一旦トイレに駆け込んだ。


「やはり、俺の居場所はここだなー。」


その後もいくつかの競技が行われ、あっという間に時間は過ぎていった。


そして_____


「これをもちまして、体育祭を終了します!お疲れ様でしたー!!」


本当に長かった体育祭も無事......ではないが終了した。


結果は白組が優勝。

黒瀬が出場したバスケは勝利したものの、俺たち赤組は惜しくも敗れてしまった。


「よし!打ち上げ行く人ー!!」


「いくいく!!いこー!!」


「焼肉いくぞぉぉ!!」


そんな声があちこちから聞こえてくる。


もちろん、俺は行くわけがない。


こうして、俺の体育祭は幕を閉じた。


もう二度とやるもんか。借り人競争なんて。


柔らかかったな。黒瀬の手。


......ちくしょ。

お久しぶりです。一話から読み返しました。

おかしいところや読みずらいところを直しましたのでぜひご覧ください!よろしくお願いします。


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