軍事学校卒業④
「さて、そろそろ出発するか。」
自室で荷物をまとめ終えたアレクはベインにそう言った。
「そうだな、じゃあ、サーニャを女子寮の入り口まで迎えに行こうぜ!」
元気よく答え、部屋を飛び出して行った。アレクも、その後に続き部屋を出ようとした、だが立ち止まり一瞬だけ振り返り部屋の中を見渡す。その目にはうっすらと光るものがあった。
アレクが女子寮の前に着くと、ベインとサーニャがすでに出発の準備を整えてまだか、まだかと待っていた。
「すまない、遅くなった。」
アレクの目には、さきほどのうっすらと光るものはすでになく、いつも通りであった。
「じゃあ、早速しゅっぱーつ!!」
そう言うと、またもベインは真っ先に出発する。その後をアレクとサーニャが並んで付いて行った。
アレクたちの目的地は第3師団が駐屯している東側防衛線の前線にある駐屯地である。それぞれの班は一旦、この駐屯地に入り、ここを拠点に防衛線の各基地や要所に派遣されたりするシステムとなっている。
軍事学校を出て、目的地への道のりの半分ぐらいを過ぎた頃だろうか、ベインが急に立ち止まった。
「ん?ベインどうした?」
アレクも同じように立ち止まり、ベインの背中越しに声をかける。
「俺たち、学校出てから一言も喋ってないぞ。」
「それが、どうした?」
アレクが不思議そうな顔で尋ねる。
「いや、俺たち友達だろ!?普通はもっと喋るもんだぜ!」
「そうか、じゃあベイン、なにか話題を出してくれ。」
「え・・・。」
ベインは言葉に詰まり、また先ほどまでの無言の状態になる。所々にある木の葉が風で擦れる音が際立つ。そんな中、くすくすと押し殺した笑い声のようなものが聞こえてきた。
「サーニャ、なに笑ってんだよ!」
「だって、ベインが可笑しくって・・・!」
サーニャはまだ、必死に笑い声を押し殺そうとしている。ベインはさっと、サーニャの後ろに回りこんで脇腹をくすぐる。
「キャッ!ちょっと、ベイン!」
サーニャは小さい声で少しだけ抵抗するも、ベインのくすぐり攻撃は続く。
「笑いたきゃ大きい声で笑え!!」
そう言ってベインは、ひたすらサーニャの脇腹を攻め続けた。ついに、サーニャは陥落した。大声で笑い地面にへたり込んみ、涙目でベインを恨むような目で見上げる。
「そうそう、それで良いんだよ!」
ベインは口角を目一杯引き上げた優しい笑顔でそう言った。
「立てるか?」
アレクもベインと一緒の顔をして、サーニャに手を差し出す。サーニャは大丈夫と言い、一人で立ち上がる。お尻についた砂を払うと、まるで、今まで何をしていたのだろうというような、我に戻った顔をして、ごめんなさいと2人に謝った。2人の口角が少し下がった。
「さて、今日中には着かないといけないし、そろそろ行こうか。」
気を取り直してアレクがそう言うと、また先ほどと同じように、ベインが先頭を歩き、後方をアレクとサーニャが並んで歩き出した。




