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初陣①

時は少し遡り、アレクたちが軍事学校を卒業する半年ほど前にゲルマニア帝国の帝都では、ある重大な会議が開かれていた。

「皆、ご苦労。」

会議室に一番遅く登場した男の一声で、すでに長机に着席していた9人の男と1人の女が起立し、またその10人の後ろに控える付き人らも最後に登場した男に向かって敬礼をする。やがて、男が一番上座の席に座ると他の者たちは着席や休めの体制を取った。

「では、これより軍議を行います。まずは、総統閣下からお話があります。」

最後に会議室に登場した男は、ゲルマニア帝国を統べる男であった。

「ノルマン共和国との戦況は今のところ、優勢だそうだな。」

「はっ!」

長机の真ん中あたりに座っている男が返事をする。

ノルマン共和国とは、ゲルマニア帝国の西に位置し、アレクたちの所属しているジェノバ王国の同盟国であるスラブ王国の北に位置する。ゲルマニアに次いでの大国である。何故か、この地で産まれてくる人間は魔術師の才能を持っているものが多く、魔術師の国とも言われている。

「事前に言っていた通りに、ノルマンとの戦争の功労者は連れて来たであろうな?」

総統が続けてそう言った。

「もちろんでございます。マリス、ノエル来い!」

男がそう言うと、男の後ろから1人の男と1人の女が前に出た。

「マリス大尉でございます。」

「ノエル曹長でございます。」

男の方はマリス、女の方はノエルとそれぞれ言った。総統は、その2人をじっと見つめ2人に質問する。

「風の噂によると、2人で精霊を召還をしたそうだな。」

「はい、その通りにございます。」

マリスがそう答えると、会議室内にどよめきが起こった。精霊の召還など前代未聞のことだからである。

「ですが、召還に時間は掛かりますし、使役できる時間も短いのが難点ですが。」

マリスがそう付け足すと、総統を席を立ち上がり、マリスとノエルの前まで移動した。マリスとノエルはすぐに跪き、頭を垂れる。

「だが結果として、お前たちが使役した精霊で最前線の強固な要塞を少ない犠牲で落とすことが出来た。何か、望むものはあるか?」

総統がそう言うと、一呼吸置いてマリスが答える。

「では、数年前にジェノバ王国から奪った鉱山町を頂きたい。」

「貴様!総統閣下になんて事を!!」

マリスの上官である男が腰からサーベルを抜きマリスに切りかかろうとする。ノエルはその殺気を読んだのか、同じように腰のサーベルに手を掛け迎撃体制を取る。だが、男は総統にノエルはマリスに手で制止させられる。会議室は先ほどと比べ物にならないほど、一気にどよめいた。

「面白い・・・、良いだろう認めてやる。だが、我に新たなジェノバの土地を献上するのが条件だ。」

「はっ!必ず。」

マリスは更に深々と頭を下げた。

「うむ。では、現在鉱山町の守備の任に就いている第7師団の1個連隊を貴様にやろう。マリーヴェル、問題ないな?」

「はい。もちろんでございます、総統閣下。」

マリーヴェルと呼ばれた女が返答する。

「では、大尉では連隊長は務まらん、大佐に昇格とする、ノエルはそのままマリスの下で尽くすがよい。」

「「はっ!」」

2人は同時に声を出し返答する。総統はそれを確認すると自分の席に戻り、軍議を進めていった。

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