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好きな人がパーティを追放された  作者: myano
未開拓地探索編

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Bランクパーティ

 数日後。

 俺たちは冒険者ギルドにやってきた。

「未開拓地に行くのも久しぶりだね!」

「ザント団と戦っていた間はクエストを受けられなかったからね」

 リリアとミレナの言うとおり、前に未開拓地に行ったのはいつだったのか思い出せないほど間が空いていた。


 クエスト掲示板に向かって歩いていると、目の前から窓口のお姉さんがやってきた。

 会釈して通り過ぎる間柄でもないので、立ち止まって挨拶を交わす。

「おはようございます」

「みなさん、おはようございます。大事なお話があるので一緒に来てもらえますか?」

「大事な話?」

 俺たちは首を傾げつつ、お姉さんの後をついて行った。



 お姉さんに案内されたのは、ギルドの会議室だった。

「どうぞ。お掛けになってお待ちください」

 お姉さんはそう言い残して部屋を出て行ってしまった。

 俺たちは入り口側の席に並んで座る。

「何の話だろう?」

「みんな、何も悪いことしてないよね?」

 ミレナが首をひねると、リリアはからかうような笑みを浮かべた。

「し、してないよ! ね?」

 何故かミレナが俺に同意を求めてきたので、とりあえず頷く。

 その直後、入り口から男性の声が聞こえてきた。

「ははは。君たちにとって悪い話じゃないはずだから、そんなに怯えなくても良いよ」

 ……どうやら俺たちの話し声が部屋の外まで聞こえていたみたいだ。恥ずかしさで顔が熱くなる。

 リリアとミレナも俺と同じように、赤い顔をしてうつむいていた。



 会議室に入ってきたのは、冒険者ギルドの副団長だった。彼に続いてお姉さんも入室する。

 二人はそのまま、俺たちの対面に座った。

 副団長が柔和な笑みを浮かべて話し始める。

「さて、今日は来てくれてありがとう。それに、遅くなったけれど、ザント団の討伐お疲れ様」

 副団長はそこで言葉を切り、俺たちに頭を下げた。

 お姉さんも「お疲れ様です」と言ってくれる。

「君たちの活躍は聞いているよ。フェルドリッジ伯爵令嬢と調査に行って村長を捕縛し、ザント団の拠点では2度に渡って地図を発見。そのうち一回は本拠地の地図ときた」

「……ほとんどグレインの手柄だ」

 ミレナがぽつりと漏らす。ちらりと彼女を見ると前を向いたままだったので、無意識に声が出たようだ。


「そして何より、ザント団の本拠地の戦いでは伯爵令嬢を救出し、裏切ったレイヴェルクの前領主を捕らえ、ザント団のボスを始末した……と」

 ……改めて言われると、本当に色々あったな。

 もちろん俺たちだけの手柄だと言い張るつもりは無い。

 カティア様やフィルザードたちと力を合わせたからこそ、成し遂げられたのだと思っている。

 それでも、これだけ貢献できたことは素直に嬉しかった。

「ザント団を壊滅させられたのは、間違いなく君たちのおかげだ。そこで冒険者ギルドの上層部で話し合った結果、君たちのパーティをBランクに昇格させようと思う」

「そ、それって試験の受験資格を貰えるということですか?」

 Bランク昇格試験の受験資格を得るためには、数多くのクエストや依頼をこなさなければならないと聞く。多くのパーティは年単位でクエストに励み、相当厳しい試験を乗り越えてBランクパーティになるのだ。

 だが、副団長は首を横に振った。


「試験もパスだ。今日から君たちはBランクパーティだよ!」


 俺たちは驚きのあまり言葉を失ってしまう。

「おめでとうございます!」

 お姉さんが両手を合わせ、満面の笑みを浮かべた。

 相変わらず、俺たちのランク昇格を自分のことのように喜んでくれる人だ。

 その表情を見て、Bランクになったんだという実感が湧いてきた。



 ひとしきり喜び合った後、お姉さんがBランクパーティについて説明してくれることになった。

「それでは、説明を始めますね」

「よろしくお願いします」

「Bランクパーティは基本的にはCランクと同じですが、活動範囲の制限が無くなります。つまり、未開拓地の最奥まで行けるようになります」

 お姉さんがそう言った瞬間、全身がゾクゾクと震えた。

 それだけ『未開拓地の最奥』という言葉の響きは魅惑的だ。

 だけど、これは『ミレナを世界一の魔法使いにする』という夢を叶えるための通過点……いや、スタートラインに立ったところと言った方が良いだろう。

 本当に大変なのはこれからだ。



 お姉さんによるBランクの説明が終わった後、俺たちはギルドのクエスト掲示板の前に移動した。

 今日はBランク昇格の余韻に浸りたいということで、休養日にすると決まった。

 代わりに、Bランクが条件のクエストにはどんなものがあるのかを見ておこうという話になったのだ。

 クエスト募集のビラを見ると、俺たちが見たこともない野草やモンスターの絵が描かれていて、見ているだけでもワクワクしてくる。

「野草の収集にモンスターの素材集め、それに建物やダンジョンの探索。こうして見ると、未開拓地のクエストって色々あるんだね」

「本当だね。……あっ! 地図作成とかもあるよ」

 リリアが感心したような声を漏らし、ミレナは興奮気味にクエストを眺めている。

 俺はそんな二人を見ながら明日からの冒険に思いを馳せた。

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