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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 山奥たける


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第69話 世界の選択

 山村の救助が終わったのは、翌日の昼だった。


 最後の瓦礫がどかされ。


 負傷者はすべて搬送された。


 生きている者。


 助からなかった者。


 その両方が、静かに並んでいる。


 村は、沈んでいた。


 だが。


 混乱はない。


 秩序があった。


 誰がどこにいるか。


 誰が何をするか。


 すべてが決まっている。


 アルヴェインが言う。


「国家は、今回の対応を正式記録とする」


 兵士が頷く。


「水源封鎖、現場統制、救助動線」


 国家は学ぶ。


 再現できる形にする。


 セラフィナも言う。


「神殿は重症対応の優先順位を見直します」


「奇跡の配分を再設計する」


 奇跡もまた、仕組みに組み込まれる。


 ノアが紙に何かを書いている。


「データは十分だ」


「今回の事例は使える」


 医術連合もまた、記録する。


 再現性。


 精度。


 それが彼らの武器だ。


 ミナトが少し離れた場所で言う。


「連盟は……どうなるんだろ」


 俺は答える。


「変わらない」


 ミナトが顔を上げる。


「変わらない?」


「現場にいる」


 それだけだ。


 だが。


 それが一番重要だ。


 リオネルがゆっくり近づいてくる。


「結論を整理しましょう」


 全員が彼を見る。


「今回の対応」


 一拍。


「どれか一つでも欠けていれば、破綻していました」


 誰も否定しない。


 事実だ。


「連盟は初動を担った」


「国家は場を整えた」


「神殿は命を繋いだ」


「我々は精度を補った」


 四つの役割。


 どれも必要だった。


 リオネルは静かに言う。


「つまり」


 一拍。


「独占は不可能です」


 その言葉は、彼自身の思想の一部を否定するものだった。


 だが。


 彼は迷わない。


「我々は知識を管理します」


「だが」


 少しだけ視線をこちらに向ける。


「完全には閉じない」


 ノアが笑う。


「譲歩か」


「最適化です」


 リオネルは淡々と答える。


 セラフィナも言う。


「神殿も同じです」


「奇跡を独占するのではなく」


「必要な場所へ流す」


 アルヴェインも頷く。


「国家も過剰な統制は行わない」


「現場判断を残す」


 ミナトが小さく息を吐く。


「……全部、少しずつ変わるんですね」


 俺は言う。


「それが構造だ」


 完全に固定されない。


 状況で動く。


 変わる。


 適応する。


 リオネルが静かに言った。


「あなたの構造は」


 一拍。


「未完成です」


「知ってる」


 俺は答える。


「だが」


 彼は続ける。


「完成しないからこそ、機能する」


 風が吹く。


 それは、肯定だった。


 完全な勝利ではない。


 だが。


 方向は決まった。


 世界は一つの答えに収束する。


 管理でもなく。


 分散でもなく。


 **組み合わせる。**


 ミナトが空を見上げる。


「なんか……」


 一拍。


「すごいことになってきましたね」


 俺は肩をすくめる。


「最初からそうだ」


 ただの追放から始まった。


 それが今は――


 世界の仕組みになっている。


 山の空は、完全に青を取り戻していた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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