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Sランクパーティから追放された回復支援職、俺がいなくなった途端に全員死にかけてるんだが? ~追放ざまぁから始まる、戦わない最強支援職の物語~  作者: 山奥たける


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第64話 連盟の動揺

 連盟拠点の会議室は、いつになくざわついていた。


「……正直に言う」


 若い支援者が口を開く。


「リオネルの言ってること、間違ってないと思う」


 空気が一瞬止まる。


「知識は危険だ」


「素人が触るべきじゃない」


 別の若手も続く。


「今回だって、運が良かっただけじゃないですか?」


 その言葉に、ベテランの一人が眉をひそめる。


「運じゃない」


「準備だ」


「基準だ」


 だが若手は引かない。


「でも、もし間違ってたら?」


「間違った処置で人が死んだら?」


 沈黙。


 それは誰も否定できない。


 ミナトが机を見つめていた。


 言葉が出ない。


 あの時の判断。


 奇跡を使う相手を選んだ。


 結果、一人が死んだ。


「……俺」


 小さく呟く。


「間違えたかもしれない」


 部屋の空気が重くなる。


 誰もすぐには否定できない。


 ベテランが言う。


「それでも、あの場では最善だった」


「結果論だろ」


 若手が返す。


「専門家なら、もっと正確に判断できたかもしれない」


 ノアが壁にもたれながら言う。


「できたとは限らない」


 冷静な声。


「医学は万能じゃない」


 だが、若手は食い下がる。


「でも精度は上がる」


「だから専門家が必要なんだ」


 その言葉は、理屈として正しい。


 ミナトが顔を上げる。


「……じゃあ」


 一拍。


「俺たちは何なんだ」


 誰も答えない。


 連盟は何か。


 応急処置の集団か。


 それとも医療の一部か。


 定義が揺れる。


 外からの声が、内側を揺らしている。


 その時、扉が開いた。


 リオネルが静かに入ってくる。


「議論中のようですね」


 誰も歓迎しない。


 だが、誰も追い出さない。


 彼はゆっくりと言う。


「良い兆候です」


 ミナトが睨む。


「何がですか」


「疑問を持つことです」


 リオネルは穏やかに答える。


「思考が止まった組織は腐る」


 正論だった。


 だが。


 それが余計に苛立たせる。


 若手の一人が言う。


「俺たち、医療の勉強した方がいいんじゃないですか」


 リオネルは即答した。


「やめた方がいい」


 全員が驚く。


「なぜですか」


「中途半端が一番危険です」


 短い言葉。


「専門家になるには時間がかかる」


「片手間で扱うものではない」


 ノアが小さく笑う。


「厳しいな」


「現実です」


 リオネルは言う。


 そして、静かに続けた。


「だから我々がいる」


 その言葉は、明確だった。


 任せろ。


 専門家に。


 ミナトの手が震える。


 楽な道だ。


 任せればいい。


 責任も減る。


 判断もしなくていい。


 だが。


 それでいいのか。


 部屋の空気が揺れる。


 俺は静かに言った。


「お前たちは」


 全員がこちらを見る。


「医者じゃない」


 若手が俯く。


「でも」


 俺は続ける。


「現場にいる」


 事故。


 疫病。


 災害。


 最初に動くのは誰か。


「それをやるのが連盟だ」


 短い沈黙。


 ミナトが顔を上げる。


 まだ迷っている。


 だが。


 完全には折れていない。


 リオネルが静かに言う。


「その結果」


 一拍。


「人が死ぬこともある」


 事実。


 重い事実。


 俺は頷いた。


「ある」


 否定しない。


 だからこそ。


「構造を作る」


 ミナトが小さく息を吐く。


 まだ答えは出ていない。


 だが。


 この議論は終わらない。


 そして。


 その答えは――


 言葉ではなく。


 **次に起きる現場で決まる。**

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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