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マイペースに異世界暮らし  作者: 汐琉
実りある秋

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26/28

お月見への乱入者

乱入というか……まぁ災難でしたね、というお話です。

●11月□日 夜




 夜になった。



 天気予報通りの雲一つない夜空に綺麗な満月が昇った。



 さすがにお月見団子を乗せる台……確か三方だったか……それはなかったので春のパンのお祭りでもらえる皿に積み上げてお月見の開始だ。



 てまりさんと一緒に丸めたお月見団子は不揃いだったけれど、それも愛嬌だ。

 みたらし餡をかける案もあったが、お月見をしながら食べるので食べやすいようにお団子自体を甘くしてそのまま食べる方向にした。


 そして、玄関前に椅子でも出してお月見をしようと思っていた。


 そのはずだった。


「…………うーん、うちの裏手からだと月が見えなかったはずなんだけど」


 うちの裏手。つまり家庭菜園から綺麗に月が見えていたので、家庭菜園にレジャーシートを敷いてお月見をする事にした。



 やたらと気合の入った整地をされていて、ここでお月見しなさい! とプレッシャーかけられてたのもあるし。



 そういえば忘れがちだけど転移して周囲の家並みとか変わってるんだから、空の見え方も変わってるかと納得して、レジャーシートに座って天を仰ぐ。


 右隣にはぴったりとてまりさんが張り付いており、左隣ではカッパくんがきゅわきゅわしている。


 二人揃って美味しそうにお団子を頬張っているのが可愛らしい。お団子を両手に持っているところが特に。


 飲み物はてまりさんは温かいほうじ茶、カッパくんにはきゅうり茶……はないので温めた牛乳だ。




 私は二人から視線を外して、少し離れた方へ視線を向けて口を開く。



「…………お団子、美味しい?」



 少し躊躇いの混じった私の問いかけは、視線を外した事からもわかるだろうが二人へ向けたものではない。



「ウマイ、ゾ」



 皆で月を見ていたら空から落っこちてきた、いつものハーピーことハーピーさんへ、だ。




 その落下原因は本人の他所見…………ではなく、悪戯っ子な黒猫さんのジャンプからのダイレクトキャッチだ。


 黒猫さんはハーピーさんをダイレクトキャッチした後、私の前にぽとりと落として「にゃっ」とドヤ顔で報告をしてくれた。


 一瞬、何事!? となったが、すぐに猫の習性である可能性を思いつく。


 それは、猫飼いさんあるあるでよく聞くやつだ。

 寝ている枕元とかに飼い猫がお土産として色々持ってきて、飼い主に「ボク捕ってきたよー」って報告してくれるやつ。


「んにゃにゃ」


 黒猫さん、自慢げに私を見上げて何か報告してくれてる、よね? これ。


 ──親猫が子猫に生きた獲物持ってきて、「これで練習するんだよ?」って練習させたりする話も聞くけど、そっちじゃないとは思いたい。


 あ、お月見団子食べてたから、私がお腹空いてると思って、ご飯持ってきてくれた……みたいな可能性もあるのか。


 驚きのあまりつらつらと脳裏に色々不穏な仮説が浮かんだが、すぐにそれより先に気にするべき事があるのを思い出して動かないハーピーさんへ声をかける。



「あの……ハーピーさん? 怪我してない? 何処か痛むなら…………動物病院でいいのかな?」


 声をかけたはいいが、新たな問題に直面してしまい、首を傾げてカッパくんとてまりさんを振り返る。


「きゅわ?」


「……?」


 揃って首を傾げないで欲しい、可愛すぎるから。


 内心で二人へ妙なキレ方をしつつハーピーさんへ視線を戻すと、ぽとりと落とされた状態から体勢を立て直してこちらを見ている。

 初対面がアレなんで目が合った瞬間少し身構えたが、ハーピーさんは特に暴れたり襲ってきたりする様子もなく、こくりとあどけない仕草で頷いてくれた。


「ケガ、ナイ」


「……そっか、良かった。ごめんね、黒猫さんも悪気はないと思うんだ」


 自分で言ってて、悪気がなければ何してもいいのかよというツッコミが脳内を流れていく。


「モンダイ、ナイ。ヨク、アル」


 しかし、ちょこんと体を丸めて答えるハーピーさんから、そんな答えが返ってくる。口ぶりからして本当に気にしていないらしい。


 本人いわく、よくあるらしいから……って、


「……よくあっちゃ駄目なやつだね、それ」


 力なくツッコんだが、ハーピーさんは理解出来ない様子で首を傾げている。


 ハーピーさんって見た目はカッパくんやてまりさんより大人びてるけど、内面は同年代ぐらいの扱いでいいのかも。


 とりあえずうちの周辺でハーピーさんを襲うとしたら黒猫さんだと思うので、ドヤ顔している黒猫さんの顔を両手で包んでむにむにと揉む。


「私はハーピーさんを食べたりしないし、いじめたいとも思ってないので、何もしていないハーピーさんを捕まえるのは止めて欲しいかな」


 むにむにしながらハーピーさんの事をお願いすると、ゆっくりと瞬きをしてから仕方ないなとばかりに「ふにゃん」と一鳴きしてくれる。


 ひとまず平和に解決しそうで良かった。

 どうやらこのハーピーさんに関しては「ニンゲン殺して食ってやる!」みたいな敵意はないみたいだし、出来ればスプラッターな展開は見たくない。

 甘いとか平和ボケとか言われてしまうだろうが、こうやっておとなしくちょこんとしているハーピーさんをどうにかしようとは思えない。


 なんかあどけなくて可愛く見えてきちゃったし。


 初対面の件は、私がハーピー予報を知らずに出かけたのがいけなかったんだから。


 そもそもハーピーは人間をからかう事はあっても、捕食するような事は滅多にないらしい。


 ……コソッとスマホで調べてみました。この世界のウィ◯ペディアに載ってました。


 こちらの世界では、クマを始めとする肉食動物な方々の方がよっぽどヤバい……とも書いてあって、もしかしてクマ以外も大きいのかとゾッとしてしまった。


 それはさておき、今は所在無さげにポツンとしているハーピーさんの取り扱いだ。


 このまま逃がすのがいいと思うんだけど、さっきから視線がちらちらとお月見団子を見ているのに気付いてしまい、頬が緩む。


「カッパくん、てまりさん。ハーピーさんも一緒にお月見してもいいかな?」


 お月見仲間であるカッパくんとてまりさんに、ハーピーさんがどんなハーピーさんか説明してからお伺いを立てると、


「きゅ? きゅわ!」


とカッパくんはキラキラ笑顔で力強い賛成の意を示してくれ、てまりさんは少しだけ警戒しながらも頷いてくれた。


「ありがとう、二人共。……ハーピーさん、よかったら一緒にお月見しない?」


 念の為、暴れたら叩き出すよ、と警告だけは付け足すつもりだったのに、私の台詞の途中で目をキラキラとさせたハーピーさんを見て言えなくなってしまった。


 ハーピー一族全てかはわからないが、このハーピーさんに関してはカッパくんと同じ素直な陽の子……まぁ純粋ないい子なようだ。



 決して何も考えてない、とは思ってないヨ?



 そういえば一部の鳥さんって脳みそが小さくて……………よし、私は何も知らないなぁ。


 思い浮かんだ雑学は忘れる事にした。


 ──こんな感じで乱入者はあったが、基本的には平和にお月見は開始されて、のんびりと進んでいく。


 お月見といっても月を見ているのは私ぐらいで、カッパくんを始めとする他のメンバーは食べる方に夢中だったりするけれど。



 もう一度見上げた月は、美しく真ん丸な姿で夜空を飾っている。



「…………綺麗だけど、なんだかやたらと赤い?」



 無意識にボソリと洩らした呟きは、楽しそうな周囲の声にかき消され、誰にも届かず秋の夜長は更けていくのだった。

いつもありがとうございますm(_ _)m


感想などなど反応ありがとうございます!反応いただけると嬉しいです(*´∀`*)


ハーピーさん仲間入りいたしました。


ハーピーさん、属性はダチョウと同じ系統さんです。


つまりはア……ゲフンゲフン……素直で可愛らしい子なんです!


この面子には受け入れられましたが、まだあの方との面談が残ってますのでハーピーさん頑張れ(๑•̀ㅂ•́)و


初対面「去れ」とか言われてますからねぇ。

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― 新着の感想 ―
乱入者が殺意ない顔見知りで良かったー 『仕留めてみなさい(半殺しハーピー)』 黒猫さんのありがた…くない ご配慮でしたけど(;∀;)
果たしてハーピーは可愛い子達の仲間入りができるのだろうか( 赤い月は創作では妖魔妖怪の類が凶暴化するというのはよくある話ですが、 果たしてこの世界の月はどうなるやら……
赤いのかぁ、そっかぁ( ´-` )
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