【第40話】最後に願うは──
洞窟の最奥──かつて魔王が君臨していた玉座の間に、レイたちが再び立っていた。
そこには、まるで時間が巻き戻ったかのように、再び立ちはだかる魔王の姿があった。
「さてと、いきますかね」ノーランが肩を回しながら前に出る。
「あんたは手、出さないでよね!」リズがレイを押しとどめる。
「へいへい、わかりましたよ」レイが苦笑する。
「行きますよ、カイル殿」ミユキが身構えた。
「えっ、俺も?」カイルが目を見開く。
「当たり前じゃ」ムン老師が豪快に笑う。
「よくわからないけど、みんな頑張ってー」ユウトがゆるく手を振った。
* * *
ノーランの投げナイフが魔王の鎧の隙間を貫く。
続けて鞭がしなると、魔王の手から武器がはじけ飛んだ。
「高そうな武器だなあ、いただき!」とノーラン。
リズが両手を広げ、炎の魔法を放つ。
巨大な火柱が魔王の視界を焼くように遮った。
「こんなもんじゃないわよ、リズ様の実力はあぁ!」
ミユキが薙刀を振り回し、迫る攻撃を受け流すと同時に切り込む。
「まだまだあ!」
ムン老師の打撃が魔王の膝を砕く。
その一撃に、魔王がわずかによろめいた。
「今じゃ、カイル!」という声に、
「おりゃあああっ!」
カイルの剣が、真っ直ぐ魔王の胸を貫いた。
──魔王が、崩れ落ちた。
「討伐、完了か」
レイが短く呟いた。
* * *
「釈然としませんねえ。手助けした私もいたようですし」
ユイが目を逸らし、そっぽを向いた。
「まあいいでしょう。カイルさん以外は“願い”を使った判定ということで、悪しからず」
カイムがさらりと言った。
「けちー」リズがむくれる。
「さ、カイルさん。願いを」
カイムが一歩踏み出す。
仲間たちの視線が、カイルに集まる。
カイルは、少しだけ間を置いてから、口を開いた。
「……そうですか。──では、叶えましょう。勇者に、祝福あれっと」
ぱちん、とカイムが指を鳴らした。
──空気が、やわらかく揺れた。
「……これでおしまいです。帰った帰った」
カイムが満面の笑みを浮かべる。
レイがぽつりと漏らす。
「……戻らなくてよかったのか、カイル?」
カイルは少しだけ笑って、何も言わなかった。
そして──彼らの旅は、静かに幕を下ろす。
夜20時ごろにエピローグ投稿予定です。
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