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万能勇者、敗北。そして二度目の人生は最弱から   作者: 虚無しお
第1部5章:最後まで、共に行こう
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【第40話】最後に願うは──


 洞窟の最奥──かつて魔王が君臨していた玉座の間に、レイたちが再び立っていた。

 そこには、まるで時間が巻き戻ったかのように、再び立ちはだかる魔王の姿があった。


「さてと、いきますかね」ノーランが肩を回しながら前に出る。


「あんたは手、出さないでよね!」リズがレイを押しとどめる。


「へいへい、わかりましたよ」レイが苦笑する。


「行きますよ、カイル殿」ミユキが身構えた。


「えっ、俺も?」カイルが目を見開く。


「当たり前じゃ」ムン老師が豪快に笑う。


「よくわからないけど、みんな頑張ってー」ユウトがゆるく手を振った。


* * *

 ノーランの投げナイフが魔王の鎧の隙間を貫く。

 続けて鞭がしなると、魔王の手から武器がはじけ飛んだ。


「高そうな武器だなあ、いただき!」とノーラン。


 リズが両手を広げ、炎の魔法を放つ。

 巨大な火柱が魔王の視界を焼くように遮った。


「こんなもんじゃないわよ、リズ様の実力はあぁ!」


 ミユキが薙刀を振り回し、迫る攻撃を受け流すと同時に切り込む。


「まだまだあ!」

 

 ムン老師の打撃が魔王の膝を砕く。

 その一撃に、魔王がわずかによろめいた。


「今じゃ、カイル!」という声に、


「おりゃあああっ!」

 カイルの剣が、真っ直ぐ魔王の胸を貫いた。

 

 ──魔王が、崩れ落ちた。


「討伐、完了か」

 レイが短く呟いた。


* * *


「釈然としませんねえ。手助けした私もいたようですし」

 ユイが目を逸らし、そっぽを向いた。


「まあいいでしょう。カイルさん以外は“願い”を使った判定ということで、悪しからず」

 カイムがさらりと言った。


「けちー」リズがむくれる。


「さ、カイルさん。願いを」

 カイムが一歩踏み出す。

 

 仲間たちの視線が、カイルに集まる。

 

 

 カイルは、少しだけ間を置いてから、口を開いた。


「……そうですか。──では、叶えましょう。勇者に、祝福あれっと」


 ぱちん、とカイムが指を鳴らした。


 ──空気が、やわらかく揺れた。


「……これでおしまいです。帰った帰った」

 カイムが満面の笑みを浮かべる。

 

 レイがぽつりと漏らす。


「……戻らなくてよかったのか、カイル?」


 カイルは少しだけ笑って、何も言わなかった。


 そして──彼らの旅は、静かに幕を下ろす。


夜20時ごろにエピローグ投稿予定です。

よかったらぜひ!

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