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5話 VS魔王戦

「では早速、私の武器庫へと案内しよう!皆、私の周りに集まれ!!」


「分かりました!」

「これくらいか…?」

「何が始まるんだろう…?」


勇者3人組は指示通りに私の周りに集まった。


一方アルカナの3人は…


『私!私が智恵の1番近くなの!』

『ゴコもローチャンの1番近くだ!』

『ち〜が〜う〜の〜!!私が智恵の1番なのーーー!!!!』

『やれやれ、またですか…主への愛と距離は比例しないと言うのに…』


ルルーは私の肩に捕まり、ゴコは私を軽く抱きしめ、ガルドはさりげなく私の隣に移動していた。



「よし、集まったな!では移動するぞ…『瞬間移動』!!」



私が呪文を唱えた瞬間、周りの景色が一瞬で変化した。


教室よりも広い部屋なのだが、周りには大量の段ボールとアルカナカードの山が沢山置かれている。



「こ、此処は…?」


「此処はガルドが所有するマンションの一室だ。私のカード置き場として使用させてもらっている」


「カード…置き場?」


そう、此処には今までに買い込んだ大量のアルカナカードが収容されている。他人が見たらカードゲームガチ勢の部屋に見えるだろが、カードの力を使える私にとっては立派な武器庫であった。



「勇者3人組!今から順番に1人ずつ私の前に出て、自分の長所と短所、得意武器やバトルスタイル等、とにかく君達の情報を私に聞かてほしい!私はその情報を元に君達に相応しい装備を貸し与えよう!」


「はい!分かりました!」

「宜しく頼む」

「わぁ…ドキドキします…!」


私の指示を聞いた3人は期待に胸を膨らませながら、私の前に1列に並んだ。


一方、アルカナの3人は…


『ゴコも智恵の1番だ!』

『私は智恵の中で特別な1番だもん!』

『まだやっているのですか…』


ルルーとゴコが私を巡って言い争いをしており、ガルドはその様子を私の隣で静かに眺めていた。


「あの、ローザン様…」


「ん?ラファーか、何だ?」


「もし宜しければこのペンダントを直してくれませんか…?天上王国の国王様から賜った大切なペンダントなんです」


「随分と立派な紋章が刻まれたペンダントだな…よし、これも後で直しておこう。さあラファーよ、お前の話を聞かせてくれ!!」


「はい!えーっと、僕は剣を用いて戦うのですが……



こうして私は3人組の話をしっかりと聞き、3人それぞれに見合う武器と防具を出してあげたのだった。



約30分後……



「よし!これで準備万端だ!いやぁ、我ながら惚れ惚れするなぁ……」


私が出した武器と防具を身に纏った3人組は、初めて出会った時よりも凛々しく見えた。


因みに、私が勇者3人に貸した道具は以下の通りだ。


・ラファー   


 武器:賢者の剣  

 防具:悪魔の鎧  

   :魔術師のローブ 

 装飾:執念のロケット  



・ゴドー   


武器:退魔の剣

防具:大英雄の盾

  :魔術師のローブ

装飾:傷だらけのペンダント

  :執念のロケット


・メレン


武器:対魔導兵器用ライフル

防具:魔術師のローブ

装飾:執念のロケット


この装備なら、例え魔王に攻撃が効かなかったとしても無傷で生還出来るだろう。


本当は『伝説の最終兵器・ペガサス』と言う、魔王の属性を持つモンスターを消滅させる(カードには宇宙に浮かぶ巨大な剣のようなものがビームを放っているイラストが描かれている)武器も貸そうとしたのだが、ラファー、ゴドー、メレンの3人からは


「お気持ちは嬉しいですが…」

「仇は自分の手で討ちたいので…」

「あの…出来ればそれは最終手段でお願いします…」


と言われ、ルルーからは


『勇者の心をまるで理解していない!』


と怒られてしまった。



「ローザン様から借りたこの装備の数々…手にしただけで物凄い力を持っているのが分かります!ローザン様、ありがとうございます…!」

「力が漲ってくる…!これなら絶対に魔王を討伐出来る…!」

「ローザン様、本当にありがとうございます!」


「感謝するなら魔王を討伐した後で、だろ?まあ、後は最悪の事態だけ起こらなければいいのだがな…」


「……大丈夫です。僕達は魔王を討伐するのが使命であり悲願ですから。さあ、魔王の元に向かいましょう!!」


今現在、身支度を終えた私達は既に教室に移動しており、後は異世界に転移するだけだった。


「白黒、魔王の様子はどうだ?」


【ああ、それなら僕達が最後に居た瞬間…つまり、魔王が勇者3人を倒した後、転移して来た僕達を発見した瞬間のまま停止してるよ】


「つまり、私達が去った後から異世界の時間は経過していないと言う事か?」


【そうそう。時間を遡ったり、逆に遥か未来へ飛ぶ事は出来ないけどね】


「成る程…分かった。では、勇者3人組は魔王の前へ、ガルドとゴコは白黒と共に魔王城内を探索してクラスメイトを救出、私とルルーは高みの見物……と。それで大丈夫だな?」


「大丈夫です!」

「大丈夫だ」

「私達はもう覚悟は決めています!」


先程魔王に倒されたにも関わらず、勇者達は物怖じせずに魔王の元へと向かう姿勢を見せた。物凄い執念だ。


「よし!では勇者達よ、魔王を討伐してくるがいい!!白黒!この3人を魔王の目の前に飛ばしてくれ!!」


【はいよ】


シュン!!


私が白黒を掲げて命令を出すと、勇者3人組は私達の目の前から一瞬で消えた。


「では…ゴコ、ガルド、白黒を持って魔王城からクラスメイトを救出して来てくれ。あわよくば魔王が隠し持っているお宝も土産に持って来てくれると嬉しい。では、頼んだぞ」


『おう!勿論だ!』


『畏まりました。白黒様、よろしくお願いします』


【はいよ。そうだ、皆んなの姿は教室に配置されているテレビに写してあげるよ】


ピッ


天井に吊り下げられていたテレビの電源が勝手に点き、魔王城に居る魔王と勇者3人の姿が映し出された。


「おお!勇者達がはっきり見える!ありがとう!」


【高みの見物をするって言ってたのは何処の誰だよ……じゃあね】


シュン!!


私達の前からゴコとガルドの姿も消え、教室には私とルルーの2人が取り残された。


『あの勇者達、大丈夫かなぁ…?』


「大丈夫だ!あの3人と道具の性能を信じろ!さてと、向こうはどうなっているかな…?」


私はルルーから勇者3人が映るテレビに目を移した。





『また人間か…また性懲りも無く我にやられに来たか…』


禍々しい玉座に深々と座っていた魔王は、目の前に再び現れた勇者3人組をまじまじと見て深い溜息をついた。


「また人間……どうやら私達の事は覚えていないようですね。貴方とは先程戦った筈なのに…随分と記憶力が無いんですね」


『フン!貴様らなど記憶するに値しない人間だと言う事だ。分かったのなら……早々に我の前から消え去れぇ!!』



カ ッ ! !



魔王が怒号と共に右手を頭上に掲げると、部屋中に無数の輝く刃物が現れ、身構えている勇者3人を容赦無く襲った。


輝く刃物がぶつかった衝撃で、辺りに謎の白い煙が立ち込めている。



『フッ…口だけ達者で、実にたわい無い…』



魔王は勇者3人が居た方角から顔を逸らし、口角を上げて不気味に微笑んだ。だが……



「誰が口だけだって?」



『ん……?まさか、まだ息があるのか?』



「息がある所が……痛くない!全く痛くないぞ!!」



『なっ…!確かに我の攻撃は貴様らに命中した筈…!』



白い煙が晴れた先に居たのは、切り傷一つすら付いていない無傷の勇者3人の姿だった。


地面をよく見ると、魔王の攻撃の跡が全てゴドーに集中しているのが分かった。



『どうなっている!?何故貴様は傷一つ付かない!?』


想定外の事態に、魔王は思わず玉座から立ち上がってゴドーを睨みつけた。



ゴドーが装備している『大英雄の盾』は、装備しているだけで『魔王』の特性を持つモンスターからの攻撃を全て無効にしてしまう防具だ。


更に、全ての攻撃を集めてしまう効果のある『傷だらけのペンダント』も装備しているお陰で、魔王からの攻撃を全て『大英雄の盾』で処理し無効化出来るようになったのだ。


因みにゴドーは、念の為に『魔術師のローブ』も装備している為、盾が無くても魔王からのダメージは全く入らない。


(本当は『魔法の盾』(魔法を反射出来る)を渡したかったのだが、ゴドーに「自分の体を隠せる程の大きさの盾でないと不安」と言われた為、大きくて性能がマシな盾を代わりに渡したのだった)




「次は僕の番だ!!はあああああ!!」



ラファーは勇ましい掛け声と共に、装備している『賢者の剣』で魔王に直接切り掛かった。



『馬鹿め!高い魔力を有する我は常に高濃度の魔力で守られている!貴様の程度の低い攻撃は我には通用しない!!』


「やってみなきゃ分からないだろ!!はあっ!!」



ズ バ ァ ! !



『グワアァァアアアアア!!!!』



ラファーの見事な一振りが魔王の腹に直撃し、魔王はあまりの激痛に悲痛な叫び声を上げた。


「ま、魔王に傷がついた…!!」



『な、何故だ…!?何故力も魔力も無いに等しい貴様の攻撃が我に通用するのだ…!?』



『賢者の剣』は、剣自体に攻撃力は無いが、自分の魔力の2倍のダメージを与えられる。


更に、ラファーは『悪魔の鎧』を装備している。


この防具は魔力が1番低い敵と同じ魔力になってしまう効果がある。今、この場には魔王しか敵が居ない。つまり……



今のラファーは魔王と同等の魔力を有しているのである。



自ら魔力が高いと豪語する魔王の2倍の魔力で切り掛かられたのだ、無事で済む訳が無い。


仮に魔王以外の魔物が居たとしても、魔王城の周辺にいる魔物はどれも高い魔力を持っているらしいのでどっち道大丈夫だっただろう。



『グウゥ……この我に傷を付けるとは……!だが…残念だったな……我が身に着けている『星屑の外套』が、我の傷を瞬く間に塞いでくれる……!』



魔王の丁寧な説明通り、魔王の腹部に出来た深い切傷がみるみる内に塞がっていく。これでは魔王を倒すのにかなり時間が掛かるだろう。



「やはり相手にも回復手段があったか……だけど、魔王の動きが鈍っている今がチャンスだ!メレン!」


「うん!いっくよーー!!」


『貴様らの好きにはさせん!!』



ボボボボボボォン!!!!



怪しい動きをするメレンに向かって魔王は黒く輝く弾を何発も撃ち出したが、攻撃は全てゴドーに集まり無効化されてしまった。


その隙にメレンは『対魔導兵器用ライフル』をしっかりと構えると、魔王に照準を合わせて引き金を引いた。



ヒューン!!    タァン!!



バサッ……



『なっ……!?何だこれは!?』


弾は見事魔王に命中した途端、魔王が羽織っていた星屑の外套が勝手に外れて地面に落ちた。


そう、『対魔導兵器用ライフル』は、相手が身に着けている装備を1つ勝手に外す効果があるのだ。


攻撃力は皆無だが、弾を撃つ際に掛かる魔力は非常に少ない上に、魔力を弾丸に変えて撃っている為、リロード無しで何度も撃ち続ける事が出来るのだ。


「今だっ!!」


魔王が落ちた外套に目を移している隙に、ラファーとゴドーは魔王に向かって鋭い一撃をぶつけた。(因みに、退魔の剣は魔力が高い魔物相手に使用すると攻撃力が非常に高くなる効果がある)


ズバァ!! ズババァ!!


『グォオオ!!』


2人の攻撃が見事命中した。更に…


ヒューン!!    タァン!! ガシャン!!


ヒューン!!    タァン!! ドサッ!!


ヒューン!!    タァン!! バサササッ…



『ぐおっ…!やめろっ…!!今すぐソレをやめろっ!!!』


メレンがライフルを撃つ度に、魔王から高価そうな装備が簡単に剥がれ落ちていった。




『な…何なん……だ…此れは…』



やがて、先程まで威厳のある佇まいをした禍々しい魔王が、随分と見窄らしい姿へと変貌していた。


魔王は重要そうな装備を剥がされてしまったショックと、勇者によって深い傷を負ってしまった事により、思わず床に座り込んでしまったようだ。





「魔王の装備は全て外れた。俺とラファーがつけた傷跡は先程から一向に癒える様子が無い。ラファー、今が勝機だ」


「うん」


ラファーは魔王の前までゆっくりと歩み寄ると、魔王に向かって『賢者の剣』を大きく振りかぶった。


『あ…あああ……こ…こんな筈では……』


「魔王は私利私欲で僕達の村を……この世の尊い命を数え切れない程沢山奪った……」


『こ…こんな小童に……』


「魔王!お前の悪事もこれで終わりだ!!」



ズ バ ァ ア ア !!



『グワァアアアアアアアア!!!!』



勇者のトドメの一撃をモロに食らった魔王は、闇を切り裂いたかのような悲鳴を上げながら徐々に姿が崩れていき、やがて魔王は装備品のみを床に残して跡形も無く消えてしまった。


「魔王が…消えた…?」


「俺達が……俺達が倒したのか……!?」


「やった…!僕達、ついに魔王を倒したんだ…!」


「やったんだ…!ついに……!」


「父さん…母さん…カイル……ようやく……魔王を……!」


テレビの向こう側に映る勇者達は、魔王の退場を静かに喜ぶ姿が見えた。



『やったよ智恵!勇者が魔王を倒したよ!!』


「そうだな…!」


ルルーは勇者の魔王討伐に自分の事のように大喜びして、私は勇者が無傷で喜ぶ姿に対して安堵した。



『たっだいま〜!!ローチャンのお使いからのお帰りだ!!』


『只今戻りました」


「ゴコ!ガルド!無事だったか!……ゴコ、その巨大な輪っかは何だ?王冠か?」


『コレは指輪だ!金ピカの扉の前に居た偉そうなヤツが身につけてた!後は触っても大丈夫そうなヤツもお土産に持ってきた!!』


「ゴコ、よくやった!ガルド、クラスメイトはどうだった?」


『クラスメイトは全員無事でしたよ。白黒様の力で無事に自宅へ送り届けましたので、明日から普通に登校してくるかと…』


「良かった……さてと、そろそろ勇者達の下へ向かうとするか!白黒!私を勇者達……」


『あーーーっ!!智恵!テレビテレビ!!』


「うわっ!ルルー、いきなりどうしたのだ?テレビがどうかしたのか……ん?」


ルルーの大声に驚きつつテレビに目を向ける。テレビの画面には一時停止したかのような勇者3人組が映っている。


その3人の前には随分と綺麗な衣装を着た男が2人映っていた。


1人は銀色の長髪に眼鏡の男、もう1人は金髪青眼の顔が整った青年。見知らぬ顔だが、私は既に勇者3人から奴らの話は聞いていた。


「おい、あれはまさか…」


【うん、そのまさかだよ。あれは天上王国のフィル王子と大臣だよ】

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