表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

2話 神(?)との取引【挿絵アリ】

ガラガラガラ……


「はーい、1限目の授業を始めますよ〜」


「安田先生!」

しまった…!1限目の先生の存在を忘れていた…!


(ルルー、鞄の中にあるデッキの中から『停止』の呪文カードを取り出してくれ!)

『分かった!』

ルルーは私が肩に掛けている学生鞄の中に入り込むと、デッキを分解して私が求めるカードを探し始めた。


「籠山さん、これから授業なのに何故そこでボーッと突っ立っているの?ほら、カバンを下ろして席に着きなさい」

えっ?他の生徒に関してはスルー?

「あのー…先生、私以外にまだクラスメイトが来ていないのですが…」

居ないと言うか連れてかれたと言うか…


「えっ、何言ってるの?




1年2組の生徒は籠山さん以外は誰も居ないでしょ?」



「え…」


ええええええええええええええぇぇ!?!?


安田先生何言ってるの!?まさかこれは…連れ去られた生徒が最初から存在しなかった事になっているのか!?とにかく後でアイツに色々と質問しなくては…


『智恵、あったよ!』

ようやく目当てのカードが見つかったらしく、学生鞄の中から『停止』のカードがひょいと飛び出した。

(ルルー、ありがとう!)

私はルルーからカードを受け取ると、先生に向かってカードを構えた。


「まあ!籠山さん、学校にそんなオモチャを持って来ては…


「『停止』!」


呪文を唱えた瞬間、安田先生の動きがピタリと止まった。指ひとつすら動かない上に、瞬きすらしない。


「……とりあえず、ルーナを呼び出すか」


私は学生鞄の中から仲間のアルカナ(普通のアルカナカードでは召喚は出来ない。ルルーの時のように、白紙のカードから生まれたアルカナのみ召喚出来る。)を取り出して全て机の上に並べ、その中から目当てのアルカナ『月』を抜き出した。


「『月』のアルカナ、『ルーナ』を召喚!!」


カ  ッ  !  !


教室内が神秘的な光に覆われ、光の中から銀色のロングドレスを身に纏った、銀髪ロングの美しい美女が現れた。

(『月』のアルカナであるルーナは穏やかで優しく、主に仲間や物を隠して仲間を敵から守ってくれる。)


『智恵様、お早う御座います。今日はどのような御用件でしょうか』


「ルーナ…今すぐこの高校の1年2組と私の存在をこの世から消し去ってくれ…」


『籠山様、何があったのですか…?』


私はルーナに先程起こった出来事について一通り説明した。


『成る程…それは大変でしたね…。時間が飛んだ事も気になりますが、まずは籠山様から頼まれた仕事をこなさなくては…』

「ああ、頼んだ…ついでに安田先生を外に持って行ってくれ…」

『分かりました』

ルーナは不自然なポーズのまま硬直した安田先生を小脇に抱えながら教室の外へ移動した。


「よし、これでルーナが上手く教室と私を隠してくれた筈だ。次は冒険の準備だな」

私は机の上に置かれたアルカナカードの中から目的のカードを更に2枚抜き取った。

「『力』のアルカナ、ゴコ!『悪魔』のアルカナ、ガルド!召喚!」


カ   ッ    !   !


教室内が再び光に覆われ、獣耳が生えたボサボサツインテールの女性『ゴコ』と、長い金髪に角を生やした男性『ガルド』が現れた。


『おっ!ローチャン!!ご飯!?ご飯の時間か!?』

(『力』のアルカナであるゴコは、知識は無いが知性が高い、元気で頼れる力持ちだ。)


『主、この部屋は何やら騒がしいですね…一体何があったのですか?』

(『悪魔』のアルカナ、ガルドはゲームに勝つのが大好きで、よく相手を分析しては手堅く勝利を収めるている。この力は主に競馬に向けられている。)


「ああ、実はな…」


私は先程起こった出来事を手短に説明した。


『うん、ローチャンの判断は正しい。『隠密』を使って隠れても勘のいい奴にはあっさりバレる。それにしても手元に運良く攻撃出来る呪文カードがあったとは、本当に運が良かった!』

「前に『隠密』使ったにも関わらず、普通の人間にバレて右腕撃ち抜かれそうになったからな…呪文カードに関しては本当に運が良かったな、昨日偶然このカードを忘れたからこそ助かったと言うべきか…」

『主の手元に偶然あった呪文カードが『運命のコイン』ですか…運が良かったのか悪かったのか…』

「確かに、一回目で外していたら今私は生きていなかったかもしれないな。だが、咄嗟に使えるカードがこれしか無くてな…とにかく、ルルーのおかげで私は助かったんだ」

『智恵が無事で本当に良かった!』

『で、呼び出された私達は何をすれば良いんだ?』

「そうそう。ゴコ、私の家に行って冒険用の鞄を取って来てくれないか?」

『おー!ついにあの鞄を使う日が来たか!でも何で『戦車』のローラーを出さないんだ?足ならアイツの方が速いぞ?』

「あー…、ローラー姐さんは確かに速いが、物を探すのが苦手だからな。勘が良いゴコの方が直ぐに鞄を持って来てくれそうだったから召喚したんだ」

『分かった!冒険用の鞄持って来る!』

「頼んだぞ!安全の為に一応玄関から出て行くんだぞー!」

『ほーい!』

ゴコは大きな声で返事をすると、教室の扉から廊下へ元気に飛び出し、外に向かって全速力で駆けて行った。


『智恵、わざわざゴコに頼まなくても、呪文カードの『瞬間移動』や『イリュージョン』を使えばあっという間に荷物を取りに行けたんじゃないの?』

「いや、最近ゴコを出す機会があまり無かったからな…冒険に出掛ける前の準備運動も兼ねて荷物を取りに行かせたんだ」

『成る程〜!』

『で、私は例の杖を使う為に呼び出されたのですよね?』

「その通りだ!えーと…あった!『魂の杖』!」

鞄の中から取り出した呪文カード『魂の杖』を使用して現実に召喚した杖をガルドに手渡した。


この武器は『魔術師、死神、悪魔』のアルカナの内、どれか1体でも戦場に召喚されていると使用出来る呪文カードだ。このカードは本来、捨て場に置かれたカードの中から好きなアルカナカードを一枚選び、その選んだアルカナカードの能力を『魔術師、死神、悪魔』のいずれかのアルカナ1体に1ターンだけ付与させる事が出来る。


因みにこの『魂の杖』を現実で使うと、目当ての魂を杖に閉じ込める事が出来るのだ。


数分経過し、ガルドが構えていた杖の先端が怪しく光り出した。

『…どうやら成功したようです』


【あ、あれ…此処は…?】


杖から先程聞いた不思議な声が聞こえて来た。間違い無い、こいつはさっき会った自称神だ。

「ガルド、貸して!」

私はガルドが持っていた杖を無理矢理奪い取った。

【うわっ!?……デカっ!?何なんだお前!!】

「何なんだじゃ無い。お前…この部屋の人間を全員拐って何処に飛ばしたんだ…?」

【…僕そんな事した?】

「とぼけるな!さっき「まだ生徒が居たんだ」とか言っていただろうが!!それにどう転んだら1クラスに生徒が1人だけ割り振られる事態が起きるんだ!!」

【…よく分からないけど、1人1部屋ってなんだか優遇されてるみたいでいいんじゃないの?】

「こんな優遇があってたまるか!むしろ隔離されてるみたいで逆に悲しくなるわ!!後、「君は何だかムカつくからこの場で消すね」とか寒い台詞を吐いた割には大した事無かったし

【やめろ!僕の傷口を抉るな!!何だか恥ずかしくなってきただろうが!!】

「ほら見ろ!やはり覚えているではないか!」


『主…ここは私にお任せ下さい』

「…分かった」


私は奪い取った杖をガルドに返した。


『神様。単刀直入に言いますと、貴方の魂を杖の中に閉じ込めました。今の貴方は杖です』

【はあっ!?何だよそれ!?】

『杖は主の魔力を使用して作り出しました。もし魔力の元である主が死んだら貴方も消えて無くなります』

【……】

『更に、貴方をこの杖に閉じ込めた事で、私達は貴方の力を自由に使用出来る様になりました。向こうの世界に移動する力も、身体強化も我々の思いのままです。ですが…』

【…何だよ】

『いえ、貴方の意思に反して力を使用するのもどうかと思いまして…なので、ここは一つ取引をしませんか?』

【取引?】

『はい。貴方には異世界に飛ばされた1年2組のクラスメイト全員を探す手伝いをしていただきたいのです。もし無事にクラスメイト全員を元の世界に戻せたら、貴方を生き返らせてあげます』


【……何それ。それで取引したつもり?


そもそもの話、僕が死んだのはそこの主?って奴の所為じゃん。君達に奪われた物を返してあげるって…恩着せがましいにも程があるでしょ?】

『貴方が主を消そうとしなければこんな事にはならなかったのですよ?』

【……でもさぁ、取引するならもっといい条件を提示してくれないと、僕もやる気を出せないなぁ】

『そうですか…分かりました。では…


クラスメイトについてはもう諦めましょう』


【……えっ?】


「そうだな、もう諦めて1人1クラスに慣れるしか無いか」

『主もこう言ってますし、貴方はもう必要ありません。では…』

【ちょっ!ちょっと待てよ!お前達はクラスメイトを助けたいんじゃなかったのかよ!?】

「いや、このクラスにはまだ特別親しい人は居なかったんだ。だから大丈夫だ」

【はぁ!?お前の倫理観どうなってんだよ!?さっきも人の形した奴に何の躊躇も無く攻撃しやがったし!!】

「お前に倫理観についてとやかく言われる筋合いは無い。とにかく、お前がやる気を出さないのであれば私達も何もしない。この取引も無しだ」

【な、何なんだよお前は…!?】

『ちょっと智恵!本当にこれでいいの!?』

「ルルー、大丈夫だ!クラスで物理的に孤立してしまったが、みんなが居れば1人授業だって楽に乗り越えられるさ!」

『全くもってその通りですね。神様、お手間を取らせてしまい申し訳ございませんでした。では


【分かった!協力する!!クラスメイト探すの手伝うから!!】


「いや、やりたくないなら無理にやらなくても


【やらせて!!全力で喜んでサポートさせて頂きますから!!お願いしますサポートさせて下さい!!!そして全員助けたら僕を生き返らせて下さい!!!!】

「分かった!ではクラスメイトを探す旅を始めるとするか!白黒、協力感謝する!!」

【僕の名前は…いや、白黒で結構です……宜しくお願いします…】


こうして、新しい仲間つえ『白黒』が仲間に加わったのであった。


おまけ:仲間と共に1人授業を乗り切ろうとする籠山。


挿絵(By みてみん)

次回はいよいよ異世界へ転移します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] スピード感溢れるお話でサクサクと読めました。 キャラが生き生きしていると言うか、楽しく書いています!! みたいな感情がとてもよくて光るものがありました。 [気になる点] なんというか感情移…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ