第六話 「魔王の苦戦」
ここは魔界。魔王は暇を持て余していた。
突如襲来した勇者と戦うため、魔王は装備の準備をしようとしていた。しかし、その装備が装備品質に見当たらず・・・。
ここは魔界。
魔物達巣食う混沌の世界。魔界である。
「あ!あったぁぁぁぁ!!」
先代魔王が恐るべき強さによって、来たる勇者をほぼ殲滅してしまった魔界。現魔王はグダグダダラダラとしていた。そんな中、勇者が突如として魔王城に現れたのである。
武装をしていなかった魔王はそれを取りに装備品室へと行った。その間、副臣が時間を稼ぐために勇者を足止めしているのである。だがしかし、長らく使っていなかったせいで装備品がどこにあるのかわからなくなっていたのだ。そして、足止めをしている副臣は恐ろしく強い。なので勇者が倒されてしまう前に魔王は急いで戻らなければならないのだ!!
と、これが今回までの「ここは魔界」の内容である。え?これだけ?とかは言わないでいただきたい。
「よし!急いで着替えて戻らないと!」
魔界は甲冑を装着しようと手に取る。
「・・・・・あれ?」
そして魔王は気付く。
「これ、一人で着れないやつじゃね?」
そう、魔王の特製特注の甲冑は見た目を重視し、装飾を煌びやかに施しており、尚且つ動き易いように関節部には余分な物が来ないようになっている。要するに、一人で着るには少し時間がかかるようになってしまったのである。
ただ一人で着れないわけでは無い。大事なのでもう一度、一人で着れないわけでは無いのだ。ただ少し時間がかかるのだが・・・。
「うおぉぉぉぉおぉぉぁぁぁぁぉぉぁぁぁるらぁぁぁ!!!」
魂からの叫びとも聞こえる雄叫びを上げながら甲冑を身に付けて行く。
その時の魔王の頭の中には、副臣がニヤリと口元を歪ませながら勇者を血祭りにしている図が浮かんでいた。
《やばい、このままじゃ間に合わない》
魔王の焦りは募る。だが焦るほどに甲冑が上手く取りつかない。
「ぬうぉおぉぉぉあぁぁぁぁあ!!」
だがここで怯む魔王ではなかった。魔王は自らの魔力で分身を作り出す。だが失敗。魔力は霧散していった。
「なりやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
今度は魔力で腕を増やして一気に装着だ!だが失敗。魔力は霧散していった。
「・・・・・」
魔王は自分の魔力による創造力の無さに泣きそうになりながらも一つ一つ丁寧に装着していった。まさに急がば回れである。
結局、丁寧に装着したときが一番スムーズに進行し、ようやく魔王の全身に装備が整った。
「・・・よし」
早く王の間に戻ろう。副臣が勇者を倒していてもいいや。今度から装備はしっかり準備しておこう。そう決意をした魔王であった。
王の間、玉座の周辺に黒霧が立ち込める。この霧は魔王の魔力が生み出すもので、魔王が登場するときにかっこいいからと自ら生み出しているのである。
そして徐々に黒霧は濃くなり、玉座を包み込む。
「むふふ、ぶわぁーはっはっはっ!!!」
高らかな笑い声、だがそれにはどこか嘲笑が含まれており、人の恐怖心を煽るような、そんな笑い声だった。
「我こそは魔界が王、魔王!!勇者よ、相手になろう」
黒霧が晴れ、その姿が露わになる。そして玉座に座るは完全武装状態の魔王である。
足を組み、頬杖を付き、笑みを浮かべ、目を開ける。
「・・・・・・・」
魔王、またも沈黙。
その眼に写ったのは副臣と勇者である。
しかし、ぬくえを囲んで魔王の事をにやにやと見つめていた。
「なにしてんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
魔王、この日最大の叫びであった。
待て、次回!!
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