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ここは魔界  作者: 除野 歌猫
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第五話 「あれ?この魔界って平和じゃないの?」

 ここは魔界。魔王は暇を持て余していた。


 はずだったのに、突如として現れた勇者によってなんだか平和でなくなっていた。なぜここに勇者が?


 ※今回は説明が多いのです。あらかじめ御了承下さい。

 ここは魔界。

 魔物達巣食う混沌の世界、魔物である。



「ぬぅおぉぉぉぉぉ!」


 地の底から出る様な呻きを上げる副臣の手には、闇が集まっていた。

 この闇、一体何なのかと思うだろう。しかしこの正体、実際のところ闇ではない。

 その正体は悪気、いわゆる瘴気である。この瘴気は魔界中に満ちており、エネルギーを持つと言われている。それを形あるものに具現化、利用出来るのか魔物と呼ばれる者達の特徴である。

 しかし、魔物の中にも才能の様な物があるのか、皆が同じことを出来るわけではない。魔物によってその能力に種類があり、力量にも差がある。

 その力量の事を、俗に『魔力』。そう人間が名付けたのである。


「フヌァッ!」


 副臣の手には自分の背丈程の巨大な斧が現れていた。先程の説明の通り、瘴気から具現化したのだ。


「さぁ魔王様、今のうちに」

「あ、あぁわかった」


 魔王は「花を摘む」の意味がわからないまま、一度王の間を出る。



 玉座の裏には緊急時脱出用の穴がある。誰が作ったのか、いつ作られたのかは現魔王は知らない。

 それを潜り抜けて少し歩いた所にある『魔王専用装備品室』の前で立ち止まる。


「待てよ・・・副臣の奴、勇者倒さないよな?」


 ここまでグダグダダラダラ、魔王をいじり倒し散々ふざけていた副臣だが、戦闘はとてつもなく強いのである。

 先代魔王時代。唯一先代魔王と渡り合う程の戦闘力を持っていた副臣は、いまだに魔界で恐れられる存在であった。


「・・・急いだ方がいいな」


 魔王は急いだ。久々の勇者との戦闘、副臣が勇者を倒してから参上しても仕方がない。だから急いだ。




「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 武闘家は拳に力を込めて駆け出した。それに続くように魔法使いが、弓使いが、攻撃を副臣に放つ。


「はっ、効かぬわ」


 武闘家の拳も、弓使いの放った弓も、魔法使いが使った魔法も、まるで効果がない。副臣は鼻で笑ってそれらを弾く。


「なんだこいつは」


 勇者は焦り始めていた。


「どうした勇者よ、お前は攻撃して来んのか?」

「ふっ、お前の力量を見ていたのだ」

「その割には顔に焦りが見えるが?」

 

 この魔物、異常に戦闘慣れしている。

 これまで魔物などより強いと信じていた仲間達の攻撃が効かない。

 相手も本気で戦っているようには見えない。

 勇者の焦りは増していた。


「ふぅぅぅ」


 勇者は眼を閉じて深く息を吐く。

 倒すんだ

 自分が

 魔王を

 この手で

 だから目の前の敵に

 負けるわけにはいかない!


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 勇者は全身の力を両の手で握る剣に込める。

 一撃で相手を切り裂く。それだけを考え、剣に力を込める。


「でやぁぁぁぁぁ!!」




「あれぇ?どこやったかなぁ」


 副臣と違い、魔王は武器や防具を瘴気から具現化させるのが得意ではない。そのため防具はすでに完成品が用意されており、それを着用し、戦闘に臨むのである。


「やべぇな、見当たらないぞ」


 しかし、その装備品を無くした魔王であった。


「確かここいらに・・・ないなぁ」


 魔王は焦っていた。戦闘中でもないのに、先ほどの勇者よりも。


「俺も副臣みたいにシュバっと武装が出せたらなぁ、楽なんだけどなぁ」


 装備を探しながら一人愚痴る魔王。

 だいたい王の間に無武装でいるのが悪かったのだ。暇は人を怠惰にするとはこのことだ。


「あぁ!どこにやった!俺の武装!!」




「はぁはぁ、んくぁ、はぁ」


 勇者は苦戦していた。

 最早立っているのは自分だけで仲間は皆、傷付き倒れている。

 魔王の副臣と名乗る魔物、恐ろしく強い。先程から攻撃を繰り返しても傷一つ付かない、しかしこちらは一度の攻撃で受けるダメージが大きすぎる。最早これまでかと思っていた。

 しかもこの魔物は魔王ではない。目の前のこいつを死ぬ気で倒してもまだ最後ではないのだ。それを考えると目の前が霞んできた。


「・・く・・そぉ」


 勇者は涙が溢れてきた。

 仲間は傷付き、自分も満足に動けない。目の前には圧倒的な力を持つ魔物。打開策が見つからない。


《そろそろだな》


 副臣は冷酷なその眼で勇者を見る。


「おい勇者」

「なん・・だ」

「会話もままならんのか、ちとやり過ぎたな」


 勇者は副臣をありったけの憎しみを込めて睨みつける。


「ほう、まだそのような眼をするか」

「当たり・・・前だ」

「まぁそんなことはどうでもいいのだ、一つ聞きたいことがある」

「な・・・なんだ」

「簡単なことだ、なぜお前達は魔界に来た?なぜ魔王様の命を狙う?」

「・・・なんだと?」

「だから、なぜ魔界に来たのかと聞いているのだ」

「・・・・・・」


 勇者は依然として副臣を睨んでいる。


「なんだ、言えんのか?」


 そして、勇者から衝撃の事実が明かされる。




「くっそぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!なぜ無いんだぁ!!」


 魔王の武装は、まだ見つからずにいた。


 勇者が魔王に来る理由とは何なのか?

 最早副臣が魔王に見えてきたぞ魔王!!

 このままじゃ空気だぞ魔王!!

 どうする!?どうなる!?魔王!?



 待て次回!!


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