四話
「ネスト!今日、一緒に遊びに行こうぜ!」
休日、後ろからネストに肩を回しくるクラスメイトのフレンが誘ってくる。
本当なら今日も訓練をするつもりだったが教師に休日ぐらいは休めと怒られて帰宅していた。
ちなみに先生たちにサポートとして生徒から何人か力を貸したいと言ったら許可をくれた。
流石にサポートとして学校に残ってもらう生徒の名前を書く必要はあったが、逆に言えばそれだけで拍子抜けしてしまった。
「別に良いけど、どこに行くんだ?」
ちなみにネストへと暴行をしていた者の一人で今ではまるで暴行した過去何て無かったように親しく接してくる。
「そうだな。まずはゲームセンターに行かないか?新しいゲームも入ってきているみたいだし。対戦しようぜ」
フレンの言葉に内心、何触ってきてんだと思いながらもネストは頷く。
新作ゲームと聞いて興味が湧かないはずが無い。
それに一緒に行くことによって、敵意何て持っていないと勘違いさせることも出来る。
普通は嫌いな者と一緒に行くのを避けるのが普通だ。
「よし!それじゃクルドも行こうぜ!」
「当然!」
クルドも楽しそうにこちらに来ようとするが先輩たちに止められる。
「待て!」
怖い顔をして止める先輩たち。
ダメなのかとネストたちは想像してショックを受けた表情をする。
「どうせだから代表者たちとサポートたち全員で遊びに行かないか?親睦会だ」
先輩の一人の言葉にそれは良いと全員が頷いた。
「さてと取り敢えず解散して、一二時ごろにまた集合しないか?」
ゲームセンターについてエストは店の入り口の横に邪魔にならないように集合させる。
人数は二十人近くいる。
ハッキリってこれだけの人数が固まっていたら邪魔だ。
それが分かっているのか全員が頷く。
「それじゃあ解散!」
全員が頷いたことを確認してエストは解散させる。
途中何人か固まっていたがネストたちは同じゲームで遊ぶことを約束していたのだろうと思って納得する。
「エストはどうするの~?」
ルーがエストに抱き着いて質問する。
その姿にゲームセンターにいた多くの者が嫉妬や微笑ましい者を見る目でみて注目してくる。
例外は同じ学校の生徒ぐらいだ。
ルーは誰にでも抱き付くから、いつものことだと納得してしまう。
恋人なんていないと最近まで誰もが思っていた。
それが変わったのは最近。
誰に抱き着いても変わらない様子でいたルーがネストにだけは表情を変えるようになった。
そしてネストも抱きしめ返している姿に恋人なんじゃないかと考えてしまう。
「ネストの方に行かなくて良いのか?それに抱き着いてネストに悪いと思わないのか?」
「………はい?」
エストの疑問にルーは本当に意味が分からないと言う風に首を傾げる。
その様子にまだ自覚は無いのかとエストはため息を吐く。
「おぉ!凄いじゃん!」
狙ってネストのいる方向へと行くとそこには向かい合って格ゲーをしているのが見える。
周りには何人か集まっているが端の方を使って通路や他に遊ぶ者たちの邪魔になっていないように見える。
そこ二年の女子がネストへと抱き着いていた。
「…………」
その光景にエストはルーを見ると面白くなさそうな表情をしている。
そのことが面白くてエストはニヤニヤとしながらルーをネストたちのいる場所まで連れて行く。
「よう」
「あっ、エスト。今、勝ち抜き戦をやっているんだけど、ネスト君めっちゃ強い。一回も負けていないんだけど」
「それは凄いな!」
ここに来るまで一回も負けていないと言うのは凄い。
思わずエストも挑戦したくなってしまう。
「それじゃあ私も挑戦していい~」
するとルーも参加したいと言い出してしまう。
どちらが先にやるのか決めたいが暴れるわけにもいかないしルーに対して暴力は振るいにくい。
だからジャンケンで決めることにする。
「勝った~!じゃあ私からだね~」
ジャンケンに勝ったのはルーだった。
それじゃあと意気揚々にネストに勝負を挑む。
「強すぎ~」
そして負けた。
即堕ち二コマだった。
エストも横から見ていたがパーフェクト勝利だった。
「強いな……」
傍から見ても勝てないと分かっていたがエストも挑む。
他の者たちも気持ちは分かると頷き、そして勝てないと予想しながらも大将が何処までいけるか興味を持って注目する。
「負けたか……」
「「「おぉぉぉぉぉ~!!」」」
結果は惜しいところまで追いつめていた。
ネストの使用したキャラはHPは半分以下になっている。
他の対戦した者たちは攻撃を当てれた者はいても半分まで削れなかった。
途中何度かエストは操作ミスをしていた部分もあり、それさえなければ勝ててたと予想し惜しいと思ってしまう。
「すごいなぁ……。皆さんゲームが上手いんですね」
いつの間にかぽけっとした人畜無害そうな少年がいた。
年のころはネストやクルドと同じぐらいだろう。
同い年だろう少年に尊敬の視線を向けられていることに照れ臭くなる。
「うん。それじゃあ君も挑んでみるか?」
年齢からしても何処かのライバル校の生徒だろうが、こんなぽけっとした少年が代表に選ばれるはずが無いと思い普通に仲良くすることに決めた。
「それじゃあ、是非」
ぽけっとした少年はエストたちに頷いて台に乗る。
そして、いざ勝負しようと身を乗り出そうとすると頭を叩かれた。
「何をやっているのよ?」
頭を叩いた者を見ると、そこには不機嫌そうな表情をしたスレンダーの白い髪をした少女がいた。
てっきり先輩や友達と一緒に遊んでいると思ったから予想外だと言う表情をしている。
「私の服を見てもらうつもりだったのに、何をしているのよ。もしかして知り合い?」
「いいや。賑やかだなと思っていたら誘われただけだよ?」
ネストたちは突然に美少女が現れたことに声を無くてしてしまっている。
そして目の前の少年に服を見てもらおうとしていることに、それだけ親しい仲なのかと嫉妬する。
「あっ!!もしかしてコンバット学校のレイ!!」
自分の名前を指差して呼ばれたことに視線を向けるレイ。
その表情は何をそんなに驚いているんだと怪訝そうにしていた。
そしてコンバット学校と聞いてぽけっとしている少年を見て警戒するが、ぽけっとしている姿に警戒するのもバカバカしくなる。
そもそもコンバット学校の生徒だからって誰も彼もが代表に選ばれていると考えるのはおかしい。
「知っているの?」
「えぇ。今年、コンバット学校に入学した才色兼備の美少女としてそれなりに有名よ。実力もあるから次の代表に選ばれるって噂もあるわ」
レイはそれを聞いて微妙な顔を浮かべてしまう。
才色兼備と言われるのは嬉しいが、代表に選ばれるというのは言い過ぎだと思っている。
規格外だとわかっていてもディアロと比べれば、自分があまりにも弱いと認識している。
「あれ?でもコンバット学校のレイって恋人が代表に選ばれたって聞いたけど、彼に聞いて見てもらって良いんですか?」
どこでそんな情報を聞いたのか怪しく思いながら、もう一度二人を見る。
ぽけっとした少年が代表に選ばれたとは思えない。
それなのに服を見てもらうというのは浮気か、それとも似てない姉弟なのか興味がある。
上手くいったら弱味になると思って聞き逃さないように集中する。
「?意味が湧かないんだけど?」
「普通は異性に服を見てもらうって恋人にするんじゃないんですか?いくら親しいと言っても恋人でもない男に見てもらうなんて……」
「はぁ。ディアロ……、この人は私の恋人よ」
「「「「「は?」」」」」
恋人でない異性と一緒に遊びに来たと思ったら否定されて皆は困惑する。
ぽけっとしている少年を見ても当たり前のように平然としていたから嘘ではないらしい。
更にレイに抱き着かれても動揺していないから信憑性が高まる。
「それで何でレイがここにいるんだ?時間まで解散で女子は皆で服を買いに行くって聞いたんだけど?」
「みんなで面白そうだから恋人持ちの人は男子にも見てもらおうって話しになったのよ。そういう貴方は何でちょっと離れたゲームセンターに来ているのよ?」
「面白そうだからだけど?」
「……予想はしていたわ」
ディアロの理由に予想していたとはいえため息を吐くレイ。
ぽけっとした見た目とは違って思った以上に自由人だと理解するネストたち。
そして同時に目の前の少女の恋人だということでコンバット学校の代表だということを思い出した。
「………ええっと。それじゃあレイさんの恋人が代表に選ばれたっていうのは嘘だったのよね?」
「?」
こんなぽけっとしているような少年が代表に選ばれるなんて信じられないと噂は嘘だったのだと審議を確かめようとする。
だって、有り得ないのだ。
自分達が必死に鍛えてようやく勝てるかもしれない相手校の代表者の一人にこんなぽけっとした少年が選ばれるなんて。
「念のために聞くけど二年生よりディアロって上だよね?」
「俺は一年ですよ?」
見た目からしてわかっていたが、それでも答えを確認すると本人から教えられる。
レイに確認の視線を送ると頷かれた。
「コンバット学校って世界にも挑める学校だろ?本当に選ばれたのか?」
信じられないとディアロに視線を送ってしまう。
どうも強そうな雰囲気を感じない。
隠しているにしても、もう少し感じ取れるはずだ。
「もしかして才能はあるけど、実力はまだまだだから経験させるために認められたのか?」
まだ一年生だから経験を積ませるために選ばれたんだと想像しネストたちは納得する。
こちらも一年が実力で選ばれたが、それは地方大会に出場することがまず最初の目的の大会だからだ。
世界に挑める学校が実力で一年を選ぶはずが無い。
「あぁ~。気持ちは分かるけどディアロは実力で選ばれたわよ」
そんなネストたちへとレイは事実を告げる。
自分と恋人であることに嫉妬もあったが、ディアロに対して嫉妬と憎悪で事件が起きていたのを思い出す。
「私たちの学校で一年で選ばれたからってディアロに攻撃しないでよ?最終的にそれを全部返り討ちにして認めさせたのよ、ディアロは」
レイの言葉にマジかとディアロを見る。
注目されたことにディアロは首を傾げてくる。
それに対してディアロに指を指してレイを見るが、レイは首を縦に振って頷いただけだった。
「そんなことよりもゲームの勝負しない?俺が選ばれたからって、まだ戦うと決まったわけじゃないし」
ディアロの言葉にネストたちやレイは首を傾げる。
少なくともネストたちは自分達は学校指定の制服やジャージを着ているし、レイもそれを見て初戦の相手を知っている。
何で知らないのかとため息を吐き、同時に一緒に遊ぼうとしているのか理解できた。
「ディアロ。彼らは初戦の相手よ。対戦票を見てないの?」
「初戦はロールド学校だろ?…………校章とか学校指定の制服やジャージ何て知らないし」
ディアロはレイの言いたいことを察して言い訳をする。
そしてレイたちもその言い訳には納得してしまった。
確かに普段、関わりのない学校の制服やジャージ何て興味が無ければ知るはずが無いのだ。
「まぁ、興味が無いから知らないのは理解できるわね。でも初戦の相手だから、あまり親しくなるのは止めた方が良いから、ここから消えるわよ」
「何で?」
レイの言葉にディアロは疑問を返す。
どうやら親しくなるのは止めた方が良いという言葉に反応したらしい。
「何でって……」
「別に殺し合うわけじゃないじゃん。親しいからって手を抜く意味が分からないし。したとしてもそれは相手側の学校から賄賂とか贈られるぐらいだろ」
殺し合いじゃないんだから、親しくなって手を抜くなんて有り得ないというディアロの言葉に微妙な顔をしてしまう。
実は他校の者同士で恋人だったり友人だったりすると武器を魔法を向けられないと言う者がいたのだ。
それで敗けた一例もあり、できるだけ親しくしないように生徒たちも気を付けている。
そのことを教えるとディアロは何かを思い出したかのように納得する。
「そういえば何かの劇かって言いたくなるようなことをしていたな……」
「周りは戦っているのに手を取り合って?」
「傷つけたくないから降参してくださいって言って?」
「「「周りから怒声と呆れた声と歓声で溢れかえる」」」
ある意味では最も有名な試合の一部を思い出してどっ、と笑う。
試合の最中なのに恋人だからと放り投げていた姿。
学校の代表に選ばれたのに、試合を放り投げるなんて有り得ないことだった。
「そういうことよ」
「それでも一戦ぐらいは良いだろ?これだけで仲良くなるなんて有り得ないし」
ディアロの言葉にレイは悩む。
確かに、たったこれだけで戦闘を止めるほど仲良くなるとは思えない。
それにコンバット学校と名乗ってから相手は僅かにながら敵意を持って睨んでくる。
無意識だろうが敵意を持って睨んでいるなら親しくしたからと言って手を抜きそうにないことを安心する。
それならとディアロが挑戦したいというゲームの実力に興味を持つ。
「一回だけよ。それが終わったら服を一緒に見なさいよ」
「サンキュ」
嬉しそうな顔を浮かべて礼を言うディアロ。
その顔にレイは顔を赤くするが見られない様にディアロの背中に抱き着くようにして隠す。。
「ネスト!勝てよ!」
「そうよ!あのリア充に勝ちなさい!」
「そうだそうだ!負けさせてやれ!」
気付くとネストたちロールド学校の他にも周囲にいた客たちがネストに向かって応援している。
男女関係なくにレイとディアロを睨んでおり、レイも敵意を持っていたのはコンバット学校に在籍しているからとは違うんじゃないかと考えてしまう。
ちなみに彼氏彼女がいる者たちは羨ましく思ったり、微笑ましく見たりする者もいれば、触発されて普段より密着している。
「それじゃあ始めるよ」
そしてネストも目の前でいちゃ付いている二人にキレていた。
恋人がいないから、目の前で見せつけられていて目に毒だ。
絶対にボコボコにして勝ってトラウマにしてやると決意した。
「「おぉ~~」」
ネストはディアロをゲームでボコボコにした。
何ならパーフェクトだ。
しかも一回だけでなく色んなキャラで勝負した。
例えばディアロを選んだキャラをボコボコにして、今度はそのキャラを使ってパーフェクトを叩き出したり、使うキャラを交換してパーフェクトを叩き出した。
それなのにディアロはルーと一緒に感心の声を上げる。
他はいい気味だと思ったりしているのが多いが、少数はネストに対して非難の視線を向けている。
いい気味だと思っているのが恋人なしの者たちで、非難の視線を向ける少数のほとんどが恋人がいる者たちであり、そしてレイだった。
「………っ」
そしてネストはパーフェクトを叩き出しているのにディアロへと睨んでしまう。
普通、ゲームが苦手な者でもここまでボコボコにすれば屈辱を覚えるはずなのにディアロの表情からはそれらが感じ取れない。
まるで負けても何とも思っていないようだ。
むしろレイの方が悔しく思っている。
「本当に強いなぁ。我が儘を聞いてくれてありがとう。それじゃあ学校の皆と合流するから」
「逃げんの?」
聞こえていないのかディアロはレイと手を掴んでネストたちの目の前から去ろうとし。
「あ?」
レイはネストの言葉に反応し振り返る。
そしてディアロはネストに睨まれていることに娯楽にどこまで必死なんだと呆れと感心の混ざったため息を吐いた。
「何でそろそろ合流しないといけないのに逃げたことになるのよ?そもそもゲームごときで何処まで本気になっているの?もしかして、それしか価値が無いの?」
ネストに対してレイは詰問する。
綺麗な女性が睨みつけて責めてくる姿は迫力があってネストの他に周りの者たちも押し黙ってしまった。
恋人がいない者たちは何でここまで責められるんだと思ったり、ディアロが弱いせいだとレイの恋人を睨もうとする。
「ふぅ」
そこにはいつの間にかペットボトルを飲んで眺めているディアロがいた。
(((((えぇぇぇぇぇぇぇ!??)))))
「ねぇ、恋人が喧嘩をしているけど止めないの?」
「暴力沙汰になったら止めるけど、そうでなければ近寄りがたい」
恋人らしき女性と手を組みながら現れた男性にディアロは答えるが強引に止める気は無いらしい。
怒るのを止まるまで待っているつもりのようだ。
「あっ、すいませんけど恋人同士なんですよね?少し女性に聞きたいことがあるんだけど良いですか?」
「何?」
目の前の恋人ではなく自分に話しかけてくるディアロの女性は不快になる。
それは男性も同じで恋人が自分のために怒っているのに何も行動を起こしていないことに睨みつけてしまう。
「これって気が済むまで喧嘩させた方が良いんでしょうか?それとも全員、気絶させて強引に連れ出した方が良いんでしょうか?」
「はぁ?貴方も言い返しなさいよ?」
「事実ですし、所詮ゲームですよ?楽しむためにやるもので勝ち負けにこだわるなんてバカバカしいです」
ディアロの答えに助けに行かずに飲み物を飲んで眺めている理由を聞いて納得してしまう。
正直、ゲームはゲームだという冷めきった答えに不満とか消えてしまった。
そしてゲームだからこそ恋人たちのように必死に言い返す気にもなれないのかもしれない。
「うん。まぁ、そうだな。でも、あいつらは実力の差を見せるために君が使ったキャラを使ってボコボコにしていたし言い返すかもしれないな」
「私もそうかも。でも、やっぱりゲーム何かに必死になっていることにバカバカしいと思って無視をするかも」
二人の答えは真逆だった。
こちらが使って負けたキャラを使ってボコボコにするのは趣味も悪いく言い返した方が良いと思っているし、バカバカしいと無視をした方が良いという意見もある。
「そういえば君って、このゲームの初心者だよね?」
「そうですよ?ゲーセンに来るなんてたまにしか無いですし」
ディアロの言葉にほぼ初心者の相手は趣味の悪いことをしていたんだなとネストに冷めた目を向けてしまうカップルたち。
そして、そういえばと思い出す。
「恋人とは来ないの?」
「そんな頻繁に恋人と一緒にゲーセンに行く?」
「「行かないな」」
自分達もデートの最中にゲーセンに来たのは何となくだ。
遊びに行くとしても一人で来る。
自分たちも、そうだが目の前の少年たちも何となく来たのだろうと予想する。
「何をしているんだ?」
「「え?」」
「先輩?」
ディアロがカップルと話しているとフレアが話しかけて来た。
フレアを見てカップルたちはあわあわと口を開いて閉じたりして指を指してしまっている。
「合流までまだ時間はあるし久しぶりに来たがレイは何をしているんだ?しかも相手はロールド学校の生徒じゃないか?試合の前に揉め事でもおこしたのか?」
「うーん。俺が喧嘩を売られて何故かレイが買ってしまったんですよね」
「はぁ……。とり「「フレアさん!?」」……なんだ!?」
フレアが来たことにゲームセンターにいた客たちは悲鳴を上げて集まる。
その光景にディアロは静観して離れ、フレアは最初は困惑するが途中で思い出してため息を吐く。
「………ディアロ。お前も大会で活躍したら同じことが起きるからな」
フレアの言葉にディアロへと一斉に視線が向けられる。
その圧力にディアロは思わず一歩引いてしまった。
「もしかして同じ学校なの?」
「そうですけど……」
「しかも大会で活躍って代表に選ばれているのかい?」
「そうだ。彼は一年ながら実力で大将に選ばれているぞ。その実力は確かだから期待してくれ」
フレアの登場に言い争いをしていたロールド学校の者たちもその言葉を聞いて信じられないような顔を向ける。
そしてレイに向けるが自慢げに頷いている。
「悪いが、そこにいるレイとディアロを回収しに来たんだ。急ぎの用があるから離れてくれないか?」
フレアの頼みに寄り集まっていた者たちが離れていき、ディアロとレイが近くに集まる。
「それでディアロが喧嘩を売られたからって何で言い争っているんだ?」
「何度もボコボコにした上に皆と合流しないといけないのにゲームで勝てないから逃げるのかって挑発されてムカついたのよ」
レイの言い分にフレアはディアロへと視線を向けるが頷かれる。
どうやら本当らしいとため息を吐く。
「レイ、バカにされてムカつくのは分かるが相手をするな。どうせ相手はそれでしか勝てないんだからな。相手にするな。ディアロも恋人に任せてないで何か言ったらどうなんだ?」
「ゲームごときの勝敗で、そこまで必死に言い争いする気は湧きません」
「そうか……」
先程は言い争いになって聞いていなかったが、今のディアロの言葉にレイは言い争いに参加しなかったことに納得する。
そしてレイはディアロの理由に同意してロールド学校の生徒への怒りは消えてしまっていた。
「悪いが俺たちはそろそろ、ここから去る。ディアロと遊んでもらって礼を言う」
ディアロとレイはフレアがここから離れることに頷いて後を付いて行く。
その際にレイはディアロの腕を組んで歩いていく。
「あぁ、忘れていた。俺たちはともかくお前らは俺たち相手に対策をしなくて良いのか?ハッキリ言って遊んでいる暇があるなら相手にもならないぞ」
「先輩。地方大会に出場することが目標としている学校が世界大会目標の私たちに勝てるわけないじゃない。諦めて遊んでいるのよ」
「それもそうだな」
二人の会話にゲームセンターにいた者たちは理解を示してしまう。
この場にいた両校に関係ない者たちもロールド学校がコンバット学校に勝てるはずが無いと思っているからだ。
しかも初戦に当たるなんて不幸だとも思っているし諦めてしまうのも納得してしまう。
「ディアロはどう思うのよ?」
「今日、遊んでいたのは親睦の為じゃない?集団戦の場合、少しでも一緒に戦う相手のことを知っていた方が良いし。それに遊びに来ているのに私服とかジャージですし」
「あぁ、それもあるか。………なら余裕を示すために相手に試合方法を委ねるか?」
大会では集団戦、個人戦などをコイントスなどで勝った方が決めることが出来る。
集団戦の場合は代表メンバー全員同士で戦うことが出来るし、二対ニや三対三など相手と自分が同じ数なら何人でも同時で戦うことが決める必要がある。
そして個人戦で戦うときは勝ち抜き戦か星取戦を決める必要がある。
「ちなみに集団戦でディアロは勝てるか?」
「だれも邪魔をしないなら余裕」
ディアロの答えにフレアとレイはため息を吐く。
邪魔と言うのは恐らく共に戦うことになる仲間のことを言っているのだろう。
それでは集団戦になったら他人に合わせるのが出来ないと言っているようなものだ。
念のために集団戦に力を入れて鍛える必要があると考える。
「ちなみにロールド学校なら良い相手になるか?」
目の前にいる学校の生徒たちが親睦を深めるためにゲームセンターに来たのなら集団戦になる可能性が高いとフレアは予想する。
その場合、練習より実践の方が良い経験を積むことが出来ると考え、ディアロを絶対に戦わせようと考える。
「余裕があり過ぎて経験も積める気もしないんですけど。正直、俺一人でも殲滅できますよ?」
「「…………あぁ、確かに」」
ディアロの実力を思い出して二人は納得してしまう。
学校のほとんどの実力者相手に一人でボコボコにした事実があるから否定できなかった。
正直、無双ゲーみたいな光景になるだろうなと考えていた。
ディアロたちが去った後、ネストは歯を食いしばり強く手を握りしめる。
歯ぎしりが聞こえ手からは血まで流れていた。
「くそっ……!」
自慢できるものがゲームだけと言われてネストは反論できずに悔しかった。
他にもあったとしても、この場では学校の代表者たちが集まっていると考えれば一番実力が低い。
それに相手はあくまでもゲームを娯楽としてしか楽しんでおらず、勝敗に拘っていないことも本気で叩きのめしたことが逆に悔しく思ってしまう。
今思い返せば確かにディアロは楽しんでいるだけで勝つ気は全く感じられなかった。
それに本気を出した理由も美少女がディアロに抱き着いてからだと思うと自分が情けなくなり悔しくなる。
「ふざけやがって……!!」
そして他の者たちもディアロたちに対して怒りを覚える。
集団戦で勝負を挑んでもディアロ一人で勝てると確信している姿に苛立ちを覚えてしまう。
いくら世界大会にも出場する学校の代表でも一年なのだ。
それが自分達に勝てると確信しているのは腹が立つ。
「ねぇ、学校で訓練はダメなら他の運動場を借りて訓練しない?」
学校の教師に止められても我慢できないと言う意見に全員が頷く。
例え相手がコンバット学校でも見下してきた相手に目の者を見せてやろうと決意する。
その為には休む余裕なんて無い。
「全員、今から最寄りの運動場へ行くぞ」
その言葉に頷き、全員がダッシュでゲームセンターから走り去っていった。
「いつもだったら県大会の優勝はコンバット学校だったから興味は無かったけど今年は面白そうだな」
「そうね。本気で勝つつもりでいるみたいだし」
ゲームセンターにいる客たちは二つの学校の対決を見て楽しそうに騒いでいる。
どちらとも関係ない三者だからこそ面白がっていた。
それに最近では毎年、優勝はコンバット学校だから変化はないのかと飽きてしまっていた。
それが変化するんじゃないかとロールド学校に期待している。
「それにしても一年生が代表か……。実力で選ばれたって聞いたけど実際はどうなんだろうな?本当は才能だけはあるから選んだ可能性もあるし」
「あぁ~、有り得そう。でもフレア君は一人で集団戦を勝てることを確信していたみたいだよ?」
「うん。それが事実だとしたら、これからもコンバット学校一強の時代は続くんだろうなぁ」
良い加減にコンバット学校を脅かす学校は出てこないのかとため息を吐いてしまう。
結果が代り映えのない大会は観客から見るとつまらないのだ。




