六話
「貴方達は何をしているの?」
「お前たちこそ何をしているんだ?」
ダイキの見張りの時間が終わり替わって教室を隠れて監視していると二つの団体がそれぞれ固まって入ってきた。
二つの団体がディアロのいる教室に今の時間入ってくることに目的は同じだと思うが、それにしては空気がおかしい。
今にもぶつかり合いそうだ。
そして犯人らしき者を見つけたと無線で教師と部長仲間の皆に報告する。
『ディアロの机や下駄箱に嫌がらせをしていると思わしき者をディアロ君の所属しているクラスで発見。すくなくとも二十人ぐらいはいます』
『わかった。今から全員でそちらに向かう。移動したら、その都度教えてくれ』
『わかりました』
ディアロの所属するクラスに全員が来るまで誰も移動しないように祈りながら警戒しながら見る。
「そんなもんディアロの机を汚すことに決まっているだろうが。最近では全く気ににしていないみたいだから近くの席も汚すがな。自分の席だけだったら気にしないかもしれないが他人のも汚されていたら気にするだろ」
「…………なっさけな」
確かに自分だけでなく周りの者も被害にあったらディアロも流石に気にするだろうと思う。
それに対して片方はバカにするように文句を言う。
「結局、ディアロ様に勝てないから隠れて嫌がらせをしているんじゃない。正面から挑まないで隠れてシコシコ嫌がらせをするとか男はホントにキンタマついてんの?」
「は?」
「何、言い返せんの?正面から一度も戦わずに嫌がらすをすることしか頭にないヘタレ」
「貴様らこそ、そこにいる何人かは共にディアロへと敵意を持っていたのに何で敵対する!」
「そんなのディアロ様に嫌がらせをするより、戦い高みを昇らせてもらう方が価値があるに決まっているだろうが!」
二つの団体はそれぞれ言い争いをしている。
片方はディアロの味方で片方はディアロの敵らしい。
味方がいることに協力できると思うが少し不安になる。
ディアロに対して様を付けていたことが気になってしまう。
「まぁ、お前らは心が折れてしまってこれ以上強くなろうともしないんだろうがな。うわっ、ずっとお前ら弱者じゃん。だっさ!」
直後に魔法が飛んできた。
避けたが、もし避けなかったら顔に直撃していた。
「てめぇ!」
「あっぶな!何?本当のことを言われてキレたのか!?」
その言葉を発端として乱闘が始まった。
「死ね!連射火弾!」
その名の通りの魔法を使い辺り一面を火の海にする。
既に教室内は燃えてしまっている。
「おいおいおい!学校を燃やす気かよ!」
連続して発射される魔法を避けて一人の男が一瞬にして魔法で攻撃している男に近づく。
「零距離発勁!!」
そしてピッタリと張り付いた距離から吹き飛ばす。
「てめぇ!!」
仲間を吹き飛ばされたことに剣を取り出して振り下ろすが受け流され、別の味方がその間に顔面を蹴って気絶させる。
「突風撃!」
それらを纏めて吹き飛ばす。
もう教室は使えないぐらいにめちゃくちゃだ。
『二つの団体がそれぞれ敵対し合って戦っている。しかも見た感じ両者とも全力だ。教室を一個壊すつもりで奇襲を仕掛けた方が良いかもしれないです!』
わずかに漂ってくる煙の臭い。
それを止めるためならしょうがないと教師は納得する。
この場合、下手に止めたら更に酷くなることが簡単に予測できる。
敵対していた癖に一緒になって邪魔する者たちを攻撃したり、今止めても別の場所で再開する。
それなら、ここで全員を気絶なりさせて監視下でぶつけ合わせた方が安全だ。
『わかった。それじゃあ教室の前で全員、魔力を最大まで込めて攻撃。教室を壊しても大丈夫だ!』
教師の言葉に生徒の全員は教室へと急ぎながら魔力を集中していく。
教室を壊す許可を貰ったこともあり笑顔だ。
「全員、着いたかい?」
フィンの確認に全員が顔を見合わせて足りない者はいないか確認し合う。
そして全員が揃ったということに笑みが増す。
それを見た教師は悟り顔になってしまう。
本当に全力で教室を壊すつもりだと。
「「「「「「ぶっ壊れろぉぉぉぉぉ!!」」」」」」
男も女も関係なく気合を入れて教室をぶっ壊そうとする生徒たち。
教師も生徒のころだったら同じようにしていただろうと考えてしまう。
「「「「「「あぁぁぁぁぁぁ!!!?」」」」」」
教室の中から三年の生徒たちの魔法が直撃したのか悲鳴が聞こえてくる。
許可を出したのは教師だが誰も怪我をしていないか確認のために壊された教室の中に入った。
「くそっ!?誰が教室を壊しやがった!!?」
目の前のディアロを様付けしている奴らと戦っている途中に急に教室の壁が壊れ、その破片が飛んできた。
運が良かったのか頭などの急所に当たった者はいなく全員が無事だ。
そして戦いを止めて教室を壊した者たちを見る。
「部長……?」
そこには各部の部長たちと生徒会がいた。
もしかしなくても教室を壊したのは彼らだろう。
学校の備品をここまで盛大に壊して大丈夫のかと確認したくなる。
「おいおい教室を壊して大丈夫なのかよ?学校の先生たちに怒られるぜ」
「お前たちと違って大丈夫に決まっているだろう?先生たちからも許可は貰っている。それにしてもお前たちがディアロの使っている学校の備品を汚していた犯人みたいだが」
フィンの言葉を聞いて笑ってしまう。
そんな証拠は無いし、もしあったとしても今のでなくなってしまっている。
「え?お前たちがディアロへと嫌がらせをするためにやっていたとう証言はあるけど?盗聴していたし」
「は?」
そう言って男が盗聴器を取り出して見せる。
「戦っている最中にそれらしきことを言っているから聞こえにくいけど、たしかに証拠はあるぜ。取り敢えず先生たちに怒られたら?」
そして指を指された方向を見ると教師たちもいる。
説教をされることを想像してたまらず嫌な表情を浮かべてしまった。
「ごめん、ちょっと良いかな」
今日もディアロはレイと一緒に学校へと向かうと突然、警察に声を掛けられる。
突然のことにディアロは驚き、レイはそんなディアロにびっくりする。
「あぁ。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ちょっと聞きたいことがあるだけだから」
本当にそれだけなのだと警察が言うが緊張は解けていない。
こんな朝から警察に話しかけられているから当然かもしれない。
「そういえば君は路地裏で歩いていたけど、もう彼女をつれて歩いていないよね」
「え?……あ!もしかしてあの時の少年?」
男の警察の言葉に女の警察官が驚いた顔でディアロを見る。
そしてディアロも二人の警察官の顔と言葉に思い出す。
レイと一緒に路地裏を横切る途中で注意を受けて出るまで一緒にいてくれた警官だ。
「えっと。お久しぶりです。あれから路地裏は通っていません」
ディアロの言葉にレイも何度も首を縦に振って頷く。
知っている顔であって緊張は少し薄れていた。
「それで復讐相談事務所って所には行ってないよね?」
「………?それって路地裏にあるって噂に聞いてましたけど?」
「あぁ、やっぱり学校でも噂にはなっているんだ?」
「はい。そもそも警察がいて、また注意をされるでしょうし路地裏にはあれから言ってませんですからね?」
ディアロの言葉に警察官は本当かとレイに視線を向けるが慌てて首を縦に振って頷かれる。
「路地裏に行って近道をするより少しぐらい遠回りをするほうが一緒に歩けますし」
顔を赤くして言うレイに警察官たちは納得し、ディアロも今度からはレイが一緒にいる間は近道をしないように決意する。
「そうか。それなら良かった。最近、君が嫌がらせを受けたり反撃で色んな者たちの心を折ったと聞いて怪しく思っていたんだ」
「は?復讐相談事務所って力でも貸しているんですか?」
「あ、あぁ……」
急に不機嫌になったディアロに警察官は何か地雷を踏んだのかと思ってしまう。
それはレイも同じで何で急に不機嫌になったのか確認する。
警察官たちも自分たちが確認するより恋人の女の子が確認してくれたことに感謝して聞き耳を立てる。
「俺ってそんなに弱そうに見える?これでも学校でも実力者らしい奴らを一人で全員叩き潰せるんだけど?」
警察官は一年が三年に対しても同じことが普通は出来ないから疑ったと言いたいが何も言えない。
自分の実力に関してプライドが高いのかと思ってしまい、これ以上は突っ込みたくないと沈黙をしてしまう。
「普通は一年生が三年生に勝てるなんて信じられないからでしょうね。出来る奴は天才と呼ばれるだろうし、そんなものは数が少ないからこそ天才と呼ばれるんだろうし」
「だからと言って借り物の力で暴れたと思われるとか普通に嫌なんだけど。っつうかダッサ」
ディアロの言い分に彼は関わっていないと警察達も思う。
あくまでも自分の力で報復しようとする彼が他者の力を借りることを想像できなかった。
「なるほど。君が関わっていないのは理解した。話に付き合わせてもらったせいで学校が遅れるのも申し訳ないし一緒に行こう。遅刻して正直に話したら信じてもらえるかもしれないけど証拠はあった方が良いだろうし」
そう言ってパトカーを指差す警察官にディアロは怒りを忘れて目を輝かせる。
パトカーに乗るなんて経験は普通は無いからだろう。
「目を輝かせているな。将来、警察官になればパトカーに乗れるようになるぞ」
「………止めておきます」
「それは残念だ」
軽い冗談だが真剣に考えて否定するディアロに警察官は何も言わない。
パトカーに乗りたいから警察官を目指されるのは、こちらも少し嫌だ。
どうせなら街を守りたいとか犯人を捕まえたいとか、そういう目的で入ってきてほしい。
能力があってもやる気が無いんじゃ意味が無い。
「うーん。それにしてもディアロ君、キョロキョロしているけど、そんなにタクシーの中は面白い?」
ディアロがパトカーの中でキョロキョロしていることに女の警察官が微妙な表情で問いかけレイは恥ずかしさで顔を赤くする。
「そりゃ今回はともかく、パトカーの中に入るのは一生無いので。今のうちに少しでも中がどうなっているのか覚えておきたいですし」
「「…………」」
ハッキリとパトカーの中に入ることは無いという言葉に警察官は嬉しくなる。
それはつまり犯罪を犯すつもりは無いと言っているようなものだからだ。
「そういえばディアロ君って、どうやってそこまで強くなったんだい?天才でも強くなるためには努力が必要だろうし、一人で何人も倒すのは生半可な努力ではないと思うんだが」
「さぁ?」
ディアロは詳しい話をする気が無いのかキョロキョロしていたのに急に顔を逸らす。
警察も何があったのか聞きたいが事件とは関係ないだろうしと聞かないことにする。
「…………もし教えてもらって真似をしたら強くなれる?」
「…………多分、無理じゃないか?俺のやり方で強くなるのは俺だけ。自分に合った鍛え方をした方が良いと思うけど」
「…………ちなみにディアロはどうやって強くなったのよ」
「…………喧嘩とか実戦で」
レイはその言葉に納得し、警察官たちは人畜無害な見た目と違って喧嘩ばっかりしているのかと白い眼を向けた。
「………ありがとうございます」
白い眼をずっと向けられていて疲れたディアロはパトカーが止まると直ぐに出る。
そして学校を見て固まる。
「どうしまし……」
「えぇ………」
そしてディアロが急に固まったことに疑問を持って質問しようとしたがレイと警察官二人も困惑していた。
学校の一部分が壊れていたせいだ。
「あそこって俺たちの使っている教室じゃないか?」
「そうね。………何があったの?」
そして学校の壊れている個所を見て言ったディアロの言葉にレイも頷き首を傾げた。
「悪いけど私たちも学校に入らせてもらおう。流石に学校の一部分が壊れているというのは気になる」
「それじゃあディアロ君たちも勉強頑張ってね」
警察官たちも学校のことが気になるのか中に入ろうとする。
ディアロたちは警察だと一目で見て分かる格好だから大丈夫だろうと考えて案内することなく、そこで別れた。
「なぁ、ディアロ。それにレイさんもどうしてパトカーの中に?」
学校の敷地内に入ると気になるのかそんな質問をされる。
事件でも起こしてしまったのかと心配されてしまっていた。
「大丈夫よ。最近のディアロの被害と行動のせいで怪しまれていただけで何も問題は無いわ」
「「「「…………」」」」
その怪しまれた内容が気になってしまう。
どういうことか聞いたら教えてくれるかと思い悩む。
そう思っているのがほとんどなのに平然と尋ねる者がいた。
「怪しまれるってどういうこと?何かしたの?」
「復讐相談事務所って所に関わっていないか確認したかったみたいね。ディアロが自分に襲ってきた者たちをボコボコに出来たのも、そのお陰だと思っていたみたいよ」
「は?」
「一応、言っておくけどディアロは自分の力だけでボコボコにしたわよ。ねぇ?」
「当たり前だろう」
襲ってきた者をボコボコにしたのは力を借りたからだと聞いて目を鋭くさせたが、ディアロの自分の力だけで戦ったという言葉にもとに戻す。
もし力を借りてボコボコにしていたのなら嫌悪感を抱いていた。
「にしても何で学校の一部分が壊れているんだ?昨日はこんなことにはなってなかったよな?」
ディアロの疑問に全員が頷く。
たった一夜で教室が壊されていて授業はどうするのか疑問を抱いてしまう。
教室が復活するまで授業が無いと良いと思うが実際は別の方法で授業を行うことが予想できる。
だが色んな方法が思いつくがどんな方法になるかは予想できなかった。
「ディアロ……」
そんな中、ダイキがディアロへと話しかけてくる。
その手には何人かを引きずっており注目を集める。
「こいつらお前の机や下駄箱に悪戯をしていた奴らの一部だ」
「?」
何で、それをダイキが引きずっているのかディアロは理解が出来ない。
それは注目していた他の者も同じだ。
「何でそれをお前が引きずっているんだ?」
ディアロの質問にダイキはそういえば説明してなかったと思い出す。
奇襲をしてから、ずっと起きていたから頭が回っていない。
「昨日、生徒会と各部の部長でお前に嫌がらせをしている奴を捕まえようと話し合うことになったんだよ。先生もこれ以上、嫌がらせのせいで学校の備品が汚されたりするのは嫌だからって協力してくれたんだよ」
「そ……そうか。取り敢えず家に帰るか保健室に行って寝たら?」
「取り敢えず、ディアロがこいつらに何するか確認してからそうする」
「何もする気は無いんだけど……」
「え?」
ディアロの答えに全員が驚く。
ディアロのことだから犯人と聞いて仕返しをすると思ったのだが、そのつもりもないらしい。
その答えにダイキの眠気も吹っ飛んでいた。
「本気?」
「正直面倒くさい」
本当に面倒くさそうに言うディアロに嘘は言っていないと悟ってしまう。
それなら気が変わらないうちに嫌がらせをしていた奴らを連れて行く。
前みたいに何度も何度も蹴られたり頭を床に叩きつけられるのは見たくなかった。
「…………面倒くさいって」
ダイキが連れて行って見えなくなったのを確認してディアロの言葉を繰り返すレイ。
本当にそんな理由で仕返しをしなかったのか疑問だ。
楽しみを少しだけ見つけていたとはいえ余計な手間を増やしていたのに。
「いや既にボロボロになっている奴らに追い打ちはしないんだけど。最初から自分でやったわけでは無いのに」
ボロボロにしたのが自分だったら追い打ちはしたというディアロに、そういう問題なのかと呆れてしまう。
「それにしても良い加減に先生こないか?風が吹いてきて寒いんだが」
そんなことよりも寒いというディアロ。
話をあっさり変える姿に本当に仕返しはどうでも良いのだと理解してしまう。
そしてディアロの寒いという言葉に皆は頷く。
教室が壊れているせいで風が入ってくる。
「教師が来るまで廊下にいることにする?」
「全員が廊下に出るのも狭いと思うから俺は教室の中で待っている」
「じゃあ私もそうするわ」
ディアロとレイが教室の中にいるのなら自分達も出る気は無いとクラスメイト達も教室の中にいることを決める。
そして早く教師が来てくれないかと祈っていた。
授業は空き教室を使うことになった。
予想していたからこそ誰も文句を言わずに移動して授業を受ける。
そしてダイキが教室に戻ってきたのは昼休みが終わる少し前だった。
「はぁ………」
ダイキはため息を吐いて教室の中に入ってくる。
そのことにクラスメイト達は心配になってしまう?
「どうしたんだ、急に?何かあったのか?」
「うん。何というかディアロを崇拝しているのと嫌っているので喧嘩していてさ……」
自分の名前が出てきてディアロは驚いてしまう。
そして嫌われているのはともかく崇拝されていると聞いて困惑していた。
「崇拝……?」
「そう崇拝。ディアロが強すぎるから尊敬とか通り過ぎたみたい」
微妙な顔を浮かべるクラスメイトとディアロ。
クラスメイトはまさか自分達の身近な者が崇拝対象にされるなんて思ってもみなかった。
そしてディアロは嫌われているのは理解していても崇拝されているのは予想外だった。
強い者に憧れる気持ちは理解しているが自分もその対象になるのは考えてもいなかった。
「それにディアロに色々と開花させられた者たちも崇拝者たちに同調し始めて……」
ディアロに好意的な者たちが敵意を抱いている者たちに攻撃しているらしい。
数としては同じぐらいで止めても繰り返すそうだ。
「回復したと思ったら仲裁に駆り出されて疲れた……」
疲れている原因がディアロだということにクラスメイト達がディアロに手を貸してやれよと眼で文句を言う。
だがディアロからすれば理不尽だと思っていた。
もともとはレイがモテているから、こう問題が起きたのだと思っていた。
開花したとか崇拝したとかディアロの知ったことでは無い。
リィスだけでも手一杯だし自分から狙って開花させたわけでも無い。
「…………何か良い案は無いか、ディアロ?」
そしてダイキもディアロへと案を出してくれと頼んでいる。
ディアロなら何か良い案が浮かぶだろうと信頼しているし、ディアロのせいで問題が起きたとも考えているから答えてくれと視線を向ける。
その視線に呆れてしまうがディアロはわざわざ徹夜してまで嫌がらせをしていた者たちを捕まえようとしていた聞いて案を考える。
「…………一度思い切ってぶつけ合ったらどうだ?軽いぶつかり合いだったら何度もしてしまうけど、思い切りやらせたらぶつかり合う頻度は減るんじゃないか?勝つために準備をする必要はあるだろうし」
「深夜にぶつかり合ってたぞ」
「最後までやらせた?」
ダイキの文句にディアロは即答えを切り返すがダイキは何も言い返せない。
途中で奇襲による魔法を撃って気絶させることによって中断させたのも事実だ。
その反応にディアロは決着をつける最後までぶつかり合わせていないことを理解する。
「一度最後までやらせてあげたら?」
「そうだな……」
ディアロの意見を生徒会に提案することを決めるダイキ。
細かいルールも考える必要はあるが、何度も軽い衝突で終わらせて不満を溜めて爆発させるよりも、その前に盛大に爆発させるのも良いかもしれないと思っていた。
「さて彼らをどうしようか?」
生徒会室ではフィンが開口一番に愚痴をこぼす。
今日一日だけでも何度も喧嘩をして止めるのに疲れてしまった。
他の生徒会のメンバーも疲れたようにため息を吐いて同意し各部活の部長もここにいたら頷いていただろう。
「それなんですけど、ディアロが小さいぶつかり合いでフラストレーションを溜めるぐらいなら一度思い切ってぶつけ合った方が良いって提案されました。俺も知らないところで爆発させるよりも監視下で爆発させた方が良いと思います」
ダイキの意見にアクアもフレアも同意する。
ディアロの意見と聞いて相変わらず力になってくれていると思ってしまっていた。
「そうだね。知らないところで爆発させるよりは監視下で爆発させる方がマシか……。後は最悪の状況にならないように何時でも止めれるようには準備をするべきだね。ディアロ君にも協力してもらおう」
フィンの考えに文句は無いと全員が頷く。
特にどちらもディアロの存在が関わっているし責任を取らせるためにも絶対に協力させるつもりだ。
「さてと後は何時、やらせるかなんだけどね。出来るだけ早い方が安全だし今週中にはしたいね」
「そうですね。こちらも準備が必要ですし、また先生たちを巻き込みますか?もしかしたら今回も協力してくれるかもしれませんし」
「それも良いね。早速、職員室に行って先生がた全員を巻き込もう。職員室の中に入って今考えたことを言えば知らないふりも出来ないだろうし」
知らないふりをすれば生徒に押し付けて逃げたことになってしまう。
積極的に教師も巻き込んでいくフィンに他の生徒会メンバーも面白そうに笑っていた。
「それじゃあ、早速職員室に行こう」
先生たちがどんな反応を見せるか楽しそうに予想しながら生徒会メンバーは職員室へと向かう。
正直、自分達やディアロがいても手が足りないと想像している。
絶対に先生も協力させようと考えていた。
「さぁて、それでは皆さん!今からディアロ君排斥派対崇拝派の試合を始めます!!」
オォォォォォォ!!
学校にあるコロシアムを使っての宣言にコロシアムで観戦しに来たほとんどの者が歓声を上げる。
先日の職員室で大声で説明していたのが聞こえていたから経緯は知っている。
声からして生徒会の一年の者だとも理解でき生徒会のメンバーから虐められているのかと心配になった。
一年以外の生徒会のメンバーたちを知っている者は普段の姿からやらせないようなことに困惑したり、何かの罰ゲームなのかと気になってはいた。
「司会は私、シェートと!」
「ディアロです。実況をお願いされました。よろしくお願いします」
「……の二人でやっていきます!!」
ディアロの名前が聞こえてきて既にコロシアムの中心に立っている者たちは視線を司会と実況がいる席へと向ける。
正直に言ってディアロがそんなことをするとは予想していなかった。
「それにしてもディアロ君が実況をやってくれるなんて驚きました!」
「生徒会の者たちから実況をしてくれと頼まれましたので……。何か俺の机に嫌がらせをしている奴らを捕まえようとしていたとも聞きましたし、これで貸し借りなしになれば良いなと思います」
コロシアムの中央にいる者たちだけではなく観戦しに来た者たちもディアロの理由に納得した。
「なるほど!ちなみにコロシアムの方たちにはどう思っていますか!?両方とも貴方に関係がありますが?」
「どうでも良いです」
「片方は崇拝されているんですよ?可愛い女の子もいますし嬉しくありません?」
司会の言葉に全員が耳を傾ける。
特に排斥派はどんな言葉でも揚げ足を取って否定するつもりだ。
「レイがいるし。リィスもいるので」
「うわぁ。二人も女の子の名前を上げるなんて。………二股ですか?」
「殴ってくれ、蹴ってくれ、縛ってくれという女に付き纏われたい?崇拝者に下手に隙を見せると、それが男女関係なく増えるかもしれないのに?本当に望みどおりにやったら嬉しくて更に付き纏われるのに?」
「ごめんなさい」
そういえばリィスって子はマゾらしいということを思い出す。
確かにそんなのが増えるのは嫌だ。
「うん?でもマゾって痛みつけても喜ぶのよね?じゃあストレス発散で暴力振るえば良いじゃない」
「それを見られたら一発でアウトですね。隠れたり皆の目の前で俺はやりましたけど」
コロシアムにいた何人かは頷いている。
その様子に気付いた者たちは確認をして微妙な目をディアロへと向けた。
「ぶっちゃけ暴力を振っても罪悪感が普通は湧くんだよなぁ。リィスは衝動的にさせるぐらいには偶にウザいときがあるけど」
ディアロの理由に何とも言えないのがほとんどだが排斥派にとっては違う。
排斥派にとって攻撃するのに絶好のチャンスだ。
「だから何だ!そのせいでマゾに開花させられているんだろ!?恋人であるレイさんもマゾに開発させるつもりか!?」
そう言いながら何人かは崇拝派の何人かを見る。
それ者たちはもともと友人だったり、排斥派であるこちら側の者だった。
それなのにディアロの行動によって開花させられて崇拝するようになっている。
「お前にとってはマゾが増えて嬉しいかもしれないが友人であった俺らからすれば、ふざけたもんじゃない!」
「あ?」
排斥派の言葉に崇拝派は静かに怒る。
たしかに開花したキッカケはディアロのこともあるが、だからと言って排斥派には関係ないと思っていた。
もともと他人だから開花したとしても関係ないだろうというのが崇拝派の意見だ。
「はっ。性癖を開花した程度で離れる相手が友人とか本気で言っているのかよ。お前らのそれは押し付けって言うんだよ」
「そうそう。しかもディアロを排斥すると言っても結局やっていることは隠れてシコシコと嫌がらせをする程度。なっさけな~」
崇拝派の言葉に怒りを覚える排斥派。
前も介入されて邪魔はあったが、被害者とはいえ邪魔をするなら先につぶすべきだと再び決意する。
「いやぁ~。開始前に盛り上がってきましたねぇ!ちなみにルールですが問答無用の集団戦!一人が数人を足止めしている間に別の相手を袋叩きにするも可能です!ちなみにディアロ君はマゾを開花させているけどサドなんですか?」
「取り敢えず何もしていない他人の不幸な顔を見て興奮はしませんよ」
「………それは外道では?」
「サドって他人の嫌がることや痛みつけるのが好きなんでしょう?そういう意味では代わりありませんね。それにサドだからマゾを開花させるわけが無いと思いますよ。相性が悪いですし」
「相性が悪い?」
サドとマゾの相性が悪いというディアロの言葉に首を傾げる。
ディアロとシェートの言葉に罵り合っている二つの団体以外が興味を持つ。
二つの団体は司会者たちの会話を無視して罵り合っていた。
「どういうことでしょうか?」
「マゾって痛みつけられても喜ぶじゃん」
「えぇ。たしかにそういうイメージですね」
「サドが見たいのは痛みつけられて怯えたり恐怖したり痛がる姿を見たいんだよ。喜ぶ姿なんて見たくないでしょう?」
コロシアムのディアロの話を聞いていた者たちは納得する。
納得したがディアロはサドじゃないと否定していないし、こいつは真正なんじゃないかと思ってしまう。
そしてディアロのクラスメイト達は近くにいることに少し不安になった。




