第十六幕 ヨシュリアとの出会い
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修行僧のようなトオル、輝く瞳のヨシュリア。二人は…
「おじい様ーーーーーー」
少年の格好をしたヨシュリアが、手を振って祖父であるアルドを迎える。
「ただいま…ヨシュ」
と、アルドは迎えてくれた孫に微笑む。
銀髪で丸く愛らしい顔のヨシュリアは、祖父アルドに抱き付き
「おじい様、今日はどんな土産話があるのですか?」
孫にせがませて、アルドは王都であった事を話す。
王都ベルンでは、退治されたゴッドジオ級の解体が行われていて、それから取れる沢山の資源が色んな国々に輸出されていると…。
王都の叔父でありルイート王が、再びゴッドジオ級が現れた時の対処を考えているとか…。
孫に話して聞かせた。
孫の年齢は、13歳。
そろそろ外の世界、社会について興味を持ってくる年齢だ。
帰って来た屋敷で、ヨシュリアは兄弟姉妹達と、母親二人の…産みと異母姉弟の母達に、アルドの息子で父のアルファドと、アルドの妻二人の大家族全員で食事をしていると、弟妹の一人が
「ねぇ…おじい様! このギアナ町の近くにあるエルフの集落にゴッドジオ級を倒したマキナ・マイスターの人がいるんでしょう」
アルドは微笑み
「ああ…そうだよ」
弟妹達は顔を明るくさせ
「会いたい! 合わせておじい様!」
アルファドが子供達に
「こら、おじい様を困らせるな」
ヨシュリアの母親達が
「ダメよ。おじい様を困らせないで!」
『えええええ!』と弟妹の子達が残念そうに告げる。
アルドが難しい顔をして
「すまんのぉ…ちと、その者は今、マキナ・アーサーの製造を請け負っていて忙しいのだ。それが済んだら…頼んでみるぞ」
子供達は楽しげに「やったーー」「大きなマキナ見せて貰おう」と喜んでいた。
◇◆◇◆◇◆◇
夕食後、アルドは息子のアルファドと共に暖炉の前に座って話している。
「どうですか? 彼の具合は?」
彼とは食事の時に出ていたトオルの事だ。
アルドは難しい顔をして
「なんと言うか…修行僧のような輩だよ。きっちりして隙がない」
アルファドが渋い顔で
「大量のマキナ・スティグマを持っている方なのでしょう。ネオデウスを持ち、そして…そんな人物の血統をここで絶やしては…」
アルドが額を抱え
「分かっている。ディランのヤツもホトホト困り果てている。何か…良い手はないのもか…」
アルファドが
「まだ、37か8なのでしょう…。人生を諦めているとは、不思議でなりません」
アルドが渋い顔で
「それ程までに苛烈な何かを経験したのかもしれん。とにかく、色々とディランと共に考えてみるさ」
ヨシュリアは扉の入口に隠れて聞いていた。
ディラン…確か、ギアナ町にある商業を行っている貴族の…。
色んな意味で符合する。
夕食の時にあったマキナ・アーサーを作っている事、そして、ディランという商家の貴族。
確かにマキナ・アーサーを製造して売り出すなら打って付けだ。
ヨシュリアの好奇心が疼いた。
会ってみたい!
◇◆◇◆◇◆◇
トオルは何時も通りディランの屋敷でマキナ・アーサーの製造をしている。
製造装置の祭壇の壇上に立ち、その前には原材料となる様々な鉱物の塊が置かれている。数十トンになる金属のインゴット達を材料に、マキナ・アーサーを作る。
大体、普通の十メートルサイズは、五トンくらいの材料インゴットで十分だ。
だが、その十倍近い量のインゴット達を使って作られるのは、大型の30メートルのマキナ・アーサーだ。
ここ最近、大型のマキナ・アーサーばかり作っている。
多分、軽く百は超えている。
大きな戦争でもあるのか?
トオルはそんな事を考えるも、それを追求した所で作るだけの自分には、どうする事もできない。
兵器を作る人達が悪いのか? 兵器を使う人達が悪いのか?
イタチごっこ的な問いだが、その答えを悩む程、トオルは若くない。
結論、どちらも正しくどちらも悪なのだ。
なら…せめて…この仕事を真っ当して助かる人の事だけを考えよう。
そうして、トオルはマキナ・アーサーを製造する。
今日の目標は大型の製造を七機だ。
トオルは黙々と作業を続ける。
ディランの屋敷には、アルドも来ていた。
その付き添いとして孫のヨシュリアも来て、屋敷内をメイドのルリナと共に回っていた。
ディランの屋敷には様々な調度品が置かれていて、どれも美的なセンスに溢れている。
それはフランスにあるヴェルサイユのようだ。
だけど、生活するスペースはチャンと確保されている。
見栄のような屋敷だが、しっかりとしている所はしっかりしている。
少年の格好をしているヨシュリアがルリナに手を合わせて
「お願い! ここでマキナ・アーサーを作っているんだろう。その製造風景を見せてくれないか?」
13のヨシュリアより、3つも年上のルリナは困った顔をして
「その…ディラン様の許可が…」
ヨシュリアはルリナの手を取り
「ムリに言われて通されたって事にしてよ。それなら、ルリナのせいにならないから…」
ルリナは困った顔をして、愛らしいヨシュリアの顔を見詰める。
男装のヨシュリアの中性的で愛らしい瞳に、ルリナはハァ…と溜息を漏らし
「ちょっと見るだけですよ」
「やったーーーーー ありがとうルリナ」
と、ヨシュリアは抱き付く。
そして、ヨシュリアはルリナに連れられてトオルがマキナ・アーサーを作っている製造場に来る。
製造場の開いている大扉から閃光が漏れる。
それを見てヨシュリアは、顔を輝かせて走り出す。
「お、お待ちください!」
ルリナが慌てて追った。
ヨシュリアが、勝手に製造場へ入る。
その中心にある巨大なマキナ・アーサー製造の祭壇システムの台座に一人の男性が立っていた。
両手を広げて、そこから、マキナ・アーサーを作り出す力を放っている。
そして、その閃光と露出しているウナジや、手首からマキナ・スティグマが見えた。
そう…彼が、探していた男性だ。
王都で、ゴッドジオ級を倒した超巨大なマキナを持つ男性。
ヨシュリアは、好奇心に推されてその台座へ走った。
トオルはマキナ・アーサーの製造を終えた。
黒光りする巨大な30メートルのマキナ・アーサーを前に出来映えを確認していると…
「貴方が! ゴッドジオ級を倒したマキナ・マイスターですか!」
トオルは顔を渋め声のした後ろを見る。
「んんん?」
製造の壇から見下ろす位置に、ヨシュリアがいた。
年齢的に十代半ば、銀髪に愛らしい丸く輝く瞳、少年の様相をして、形態的にエルフではない人族。
好奇心に瞳を輝かせる子、ヨシュリア。
誰だ?と疑問に思っている大人、トオル。
二人の視線が交差する。
トオルは、壇に続く階段から降りつつヨシュリアに
「君は…誰だ?」
そんな事を聞いていないのかヨシュリアが
「貴方は…王都ベルンの戦いでゴッドジオ級を倒した英雄なんですか?」
その愛らしい瞳を輝かせている。
トオルは右の眉間が上がる。なんだコイツ?
ルリナが来て
「すいません。ヨシュリア様…戻りましょう」
トオルが
「ルリナさん、この子は?」
ルリナが困った顔をしつつ
「アルド様のお孫さまです」
「ああ…」とトオルは頷く。
ヨシュリアが何度も
「教えてください。貴方が…」
トオルは頭を掻いた後、背を後ろに向け、上着を脱いで背中にあるデウスマギウスのマキナ・スティグマを見せた。
背中の大半を覆う程のマキナ・スティグマを見て、ヨシュリアは更に瞳を輝かせる。
トオルはワザと背中を見せた。
普段からアルドには世話になっている。このぐらいはしてやらないと…。
見せた後、トオルは上着を羽織り
「そうだ。で…何の用だね。ええ…」
ヨシュリアが
「ヨシュリア。ヨシュリア・アファルド・ウィルフト…です」
トオルが肯き
「満足したかいヨシュリアくん」
ヨシュリアがトオルに抱き付き
「凄い! 本当に凄い! あんな大きなマキナ・スティグマなんて見た事ありません」
トオルは少年に抱き付かれて…いや…これは女性が持っている独特の甘い匂い!
「君は!」
と、トオルはヨシュリアを離して
「もしかして…え…女の子?」
少年の格好をしているヨシュリアは肯き
「はい!」
と、答えた後にヨシュリアは再びトオルに抱き付いた。
「いや、ちょっと!」
トオルが離そうとしたが…
「何をやっておる?」
と、トオルの正面からアルドがディランを伴って現れた。
トオルがアルドを見て
「アルドさん。孫娘さんが」
それにヨシュリアが被せてきた。
「おじいさま! 決めました! ぼく…この人のお嫁さんになります」
「ええええええええええ」
トオルの悲鳴に近い驚愕が放たれる。
アルドがトオルの肩を固く握り締め
「説明…をしてくれないか?」
と、アルドの目は鋭かった。
トオルは青ざめ
「いや…オレは…知りませんよ…」
勝手に事態が悪化した。
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