7 明日
「し、死ぬかと思った…」
頭が破裂した怪物を見ながら俺は安堵の息を漏らして、甲板に寝転ぶ。
チェリーが言ってた、『こんなので疲れてたら困る』って意味、こういうことか.....
レピが俺に言う。
「ありがとうございます。」
「無事でよかった。」
と俺が呟くと、こちらにやってきたエラが
「ずっと言おうと思って忘れてたんだけどさぁ〜」
「?」
「二人、同い年なんだし敬語やめたら〜?」
「え!?」
お、同い年?
レピがしっかりしているからか、年齢が同じという気がしない。
「あ、えっーと.....よろしくな!レピ!」
レピは一瞬驚いた顔をしたが、笑顔で
「よろしく。」
と言った。
アズル中尉が
「安心してる場合じゃないぞ。ほっといたら次が来る。」
つ、次が来る!?
あんな気持ち悪くて恐ろしいのが.....
青い顔をしていると、レピが
「.....大丈夫だよ。スミス少尉とアズル中尉がいるから。」
「お、おう。」
アズル中尉が不意に
「エイデン、チェリー、あとジョン。仮眠取ってこい。」
仮眠?何の話だ?
「.....夜も怪物が襲ってくるから、交代しながら見張る。」
「なるほど.....え?じゃあ俺、夜見張るの!?」
「うん。…夜のほうが夜行性の怪物が少ないから、襲われにくいよ。」
「そうなのか!よかったぁ~」
ということはレピは危険な方ということだ。
「気をつけろよ!」
レピは頷くと、船尾へ歩いていった。
「あのアズル中尉、その変な武器なんですか?」
「怪物用武器だ。毒で殺す仕組みになってる。レピに見てもらってたやつだ。対人戦闘にも使えるから、まぁ便利だ。」
あの黒い箱か.....というか毒.....!?しかも対人戦闘にも…
「雑魚の怪物にしか効かねぇけど。」
あ、あれで雑魚......
驚いているとスミス少尉が
「おい!エイデン、早くしろ!」
「あ、はい!」
隣にやってきたチェリーが不満そうに俺に言う。
「私何もできなかった.....」
「まぁ、お前が活躍できるのはもっと別のときだからな。」
俺の代わりにスミス少尉が答える。
「そうですけど.....」
まだ不満そうなチェリーに
「まぁ、夜頑張ろうぜ!俺もあんま役に立ってないし。」
チェリーは少しの間黙っていたが
「そうね。」
と小さくつぶやいた。
*** ***
「明日か.....」
銃を握る手に力が入る。
月光に照らされながら俺は呟く。
あれから数日、何回も怪物に襲われながらもとりあえず今のところ全員無事だ。
明日になればクレオメ島に着く。
その事を考えるたびに緊張する。
暗闇の中、海を見つめているとスミス少尉が
「どうした。そんなガチガチに固まって。」
「いや、明日だと思ったら緊張してきて.....俺、全然役に立ってないし、なんでアズル中尉は俺を救出部隊に
入れたのかわからないんです。」
ザバッ。と小さな波の音が響く。
「まぁ、アズルが何考えてお前を救出部隊に入れたか、俺にはあんまりわかんねぇけどよ、一つだけわか
る。」
「?」
「チェリーがお前の話をよくしてたんだよ。文句ばっか言ってたけどな。」
「チェリーが.....?」
「戦闘面で役に立たなくても、お前はレピを助けてくれた。それだけで十分だ。」
「...ありがとうございます。」
アズル中尉へのタメ口を聞いているとやっぱり、二人は仲が良いんだなぁと思う。
…タメ口?なにか忘れてる気がする.....あ。
「あの〜スミス少尉、エラさんってアズル中尉と仲良いんですか?」
チェリーとのいざこざで全く気づいてなかったが、初日にエラがアズル中尉に敬語を使ってなかったことに
気づいたのだ。
「ん?あぁ、そうだ。エラと俺とアズルは同じ時期に軍に入ったしな。」
「そうですか.....」
ふと、空が明るくなり始めていることに気づく。
夜が明ける。
俺は俺のできることをする。みんなの役に少しでも立てるように。
覚悟を決めた俺はさらに強く銃を握りしめた。




