6 フイッシュ
桁違いの音量に思わず俺は耳をふさぐ。
船尾には何もいない。つまり、
船首。
レピが
「エラさん!船尾をお願いします!」
と叫びながら走り出す。
俺も急いで追いかける。
船首に出た俺は思わず立ち止まる。
異臭が鼻腔をつく。
語彙力のない俺には言葉にして表すのは難しい光景だった。
船の進行方向を塞いでいたのは巨大な怪物。いや、巨大な魚のようなものだった。
大量に目がついていてその黒い瞳孔はすべて俺たちを見つめていた。
恐怖で足がブルブル震える。
そのとき魚の怪物はザバーンと海に潜った。
波の音だけが響く。
不気味な沈黙の中、突然アズル中尉が船尾に向かって走り出しながら叫ぶ。
「ジョン!前進しろ!」
船が前進したと同時に船尾の海面が盛り上がる。
大きな波の音とともに魚が大きな口をあけて現れる。
アズル中尉がなにか小さなものを2つ取り出した。
手榴弾。
ピンを抜いて怪物の口の中に放り投げる。
同時にスミス少尉が怪物から船を引き離す。
『ドカーン』
巨大な爆発音とともに、船が大きく揺れて、赤黒い液体が空中を舞う。
『ギャァァァーーー』
怪物の叫び声を聞いて俺の全身から血の気が引く。
まだ生きてる……
船がすごい勢いで怪物から離れる。
波の音とともに魚の怪物の尾びれが海中に消えていく。
「クソ。また潜ったか。」
スミス少尉が呟く。
突然、アズル中尉が
「右だ!」
レピがダッ!と船の右側面に向かう。
同時に怪物が顔を出す。
そのとき、ボコッ。と怪物にたくさんの小さな穴が空いた。
ヒュッ。
黒いトゲのようなものがレピに向かって飛んでくるのが見えた。
マズイ!
俺は走ってレピを突き飛ばす。
黒いトゲが俺の肩をかすめる。
ルズが怪物に向かって銃を乱射する。
血が船の上に飛び散る中、アズル中尉が何か長い刀身のついた”奇妙な武器”を持って、船から魚の怪物の上
に飛び乗った。
「!?中尉!」
思わず俺は叫ぶ。
アズル中尉が思いっきり怪物の脳天に刀身を刺した。
怪物が大きな口を開けて咆哮を上げようとしたその瞬間。怪物の頭が破裂した。
血の雨の中、アズル中尉がスタッ。と船に乗り移る。
雲の隙間から陽光が差し込んでいた。




