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22 記録




怪物の咆哮が鼓膜を揺らす。


最後に走って来たアズル中尉がドアを蹴って閉める。


「人生で初めて死ぬかと思ったわ……」


「なんか地下に入る前も同じようなことあったね〜」


とエラとチェリーが疲れたように言う。


た、助かった〜


さすがにアズル中尉も疲れたのか壁にもたれて息を整えている。


「あの、アズル中尉。さっき離れたとこにいたのに、なんで俺を助けられたんですか?まるで瞬間移動した

みたいでしたけど……」


俺が不思議に思っていたことを聞くと、アズル中尉が口を開く前に、エラが言った。


「アズルはねー。人間と宇宙人のハーフなんだよ〜。」


「へぇ〜って、えー!?」


チェリーやルズたちも知らなかったらしく驚いた表情をしている。


「だから、身体能力が異常なんだよねー。力も強いし。その代わり疲れるみたいだけど〜。」


レピがぽつりと


「……じゃあ、アズル中尉の出身って……」


「宇宙だ。」


スミス少尉が肩をすくめて答える。


マジか……


エラがニコニコしながら言った。


「で、アズル。怪我は?」


「……くじいただけだ。」


「むかーしに同じようなこと言って、大怪我してたけど……?」


「……」


アズル中尉がやり込められてる……


スミス少尉が立ち上がって


「アズルの怪我を治療してる間に、俺たちはこの部屋調べるぞ。」


「わかりました。」


俺たちは手分けして部屋を調べ始める。


そんなに広い部屋ではなく、大量のスチールラックが壁に並べられていて、中央には大きなデスクがある。


正直言って、ドア付近は調べたくない。


理由は、怪物が引っ掻いてるのか突進してるのか、ドアがガンガンと音を立てているからだ。


チェリーがボソリと


「ドアいつか壊れそうね……」


「怖いこと言うな!」


そのとき、ルズが


「このファイル……あの巨大怪物の研究資料!」


!?


アズル中尉が怪我をしているからか、チェリーが


「読むならアズル中尉の近くで……」


「別に俺歩けないわけじゃ……」


「はいはい、座ってて。」


アズル中尉が何か言いかけたがエラに遮られる。


アズル中尉の表情が若干ムスッとしてる気がするのは気のせいか……?


「読むぞ。」


スミス少尉がファイルを開く。


内容は日付ごとにまとめられていた。



2305年 7/6


全長40mの大型怪物の卵発見。エネルギー値は653。


見た目は全体的に灰色。


コード333を実行。


地下に保管。


あの通信記録と同じようなこと書いてあるな……コード333って本当に何なんだ?


2305年 7/18


一部分にひび。3週間後に生まれる予定。


エネルギー値が662に上昇。


2305年 8/10


誕生。


予定日より2日遅れ。


新種と判明。


見た目は岩のようにゴツゴツした肌で、青い目、足が五本ついている。


種類番号は343に確定。


個体番号は110に確定。


2305年 8/19


110の血液から怪物用毒薬新種4本を制作。


・リテイロ   強い感作性


・トラルト   非常に強い腐食性


・セベン    混乱薬


・アイリテイラ 麻痺性


あの保管庫の新種の毒薬はやっぱりここで作られたのか……


その後も経過観察のような感じで続いていたが、突然内容が不穏になってくる。


2305年 9/22


エネルギー値が345に急低下。研究員たちの大半が体調不良。


どちらも原因は不明。


2305年 10/28


2名死亡。


エネルギー値456に上昇。


コード333の中止を提案。


返事はなし。


2305年 12/6


エネルギー値497に上昇


11名死亡。


コード333の中止を再度提案。


返事はなし。


なんだこれ……


チェリーがボソリと


「何が起きてるの……」


読み進めるうちに、どんどん死者数が増えていく。


2306年 4/5


18名死亡。


エネルギー値648に急上昇。


港付近で正体不明の人影の報告。


そして突然資料が途切れた。ただ一言を残して。


今までと違う、書き殴られた文字が目に映る。


『Help』


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