21 ゲーム
ドーン!
鉄骨が轟音を立てながら落下し、黒髪の男とアズル中尉を分断する。
驚いて一瞬、注意がそれた仮面の人物に向けて、チェリーが引き金を引く。
足を撃たれた仮面の人物は、ぐらりと体勢を崩し倒れる。
同時に、アズル中尉が、驚いて固まっているアメの背後に回り込む。
「!この……」
アメが振り返ろうとするが、その前にアズル中尉が首筋に手刀を叩き込んで気絶させる。
「よしっ!」
これならレピたちも大丈夫になる!
黒髪の男は目を見開いてその光景を見つめていたが、やがて笑みを浮かべると
「いや〜すごいわ……こんな一瞬で制圧されるなんてな……隙だらけやから気にせんでええと思ったんが、
間違いやったか。」
と言って、俺をガラス玉のような冷たい瞳で見上げる。
その目に背筋が寒くなる。
「ん〜俺だけになってもうたな……どうしよか……」
あいつまだ余裕がある……何を企んでるんだ……!?
「まだ時間あるしちょっとゲームしよか。」
時間がある?ゲーム?何の話をしてるんだ?
そのとき。
ドンッ!
ドアを突き破って大量の怪物が部屋になだれ込んでくる。
なんでこんな大量に!?
「ルールは簡単。俺と怪物から逃げてあんたらが死なへんかったらOKや。」
黒髪の男は笑みを浮かべながら続ける。
「まぁ、怪物が大量におる上に、足怪我してんねんから相当きついやろうけどな。頑張りいや、アズル中
尉。」
怪我してる……!?
アズル中尉は舌打ちをすると怪物の群れに向かって走って行く。
スミス少尉が大声を上げて言う。
「アズル!怪我ってどういう……」
「くじいただけだ!」
アズル中尉はそう返すと怪物を切る。
怪物が破裂して血飛沫が飛ぶ。
アズル中尉が離れた隙に、
「死んだら困るし。」
と黒髪の男が動けない仲間たちを担いで怪物の群れから離れる。
俺も行かないと……
急いで配管を伝って階段に戻る。
「さて、また変なことされたら台無しやし、俺が先に殺っとこかな。」
「!?」
黒髪の男の声が聞こえて俺は思わず振り返る。
いつの間にか後ろにいた黒髪の男がナイフを振り上げて言う。
「ほな、さいなら。」
ダメだこれ……殺される……!
キーン
な、なんでここに……?
目の前でアズル中尉が黒髪の男の攻撃を受け止めていた。
アズル中尉は怪物の群れの中にいたのに、どうやって一瞬でここに来たんだ……?
黒髪の男が後ろに飛んで距離を取ってから少し不思議そうに言う。
「離れたとこにおったはずやけど……?」
アズル中尉は何も返さず、俺を掴んで後ろに飛ぶ。
「……大丈夫?」
レピが俺のところまで走ってきて言う。
「おう。全然大丈夫だ!」
「……よかった。」
そのとき後ろから怪物の咆哮が聞こえ、俺は身を固くする。
辺りにはうじゃうじゃと怪物がいる。
このままじゃ……
「どうするー?アズル。」
エラが周りを見渡しながら言う。
アズル中尉は培養槽の奥を見つめていたがふいに、
「全員走れ。」
「?」
そのとき、ふっとアズル中尉の姿が消える。
「!?」
どこに……
そう思った瞬間、目の前の大量の怪物から血が吹き出す。
視界を覆い尽くす血しぶきの中にアズル中尉の姿が垣間見える。
「なんや……!?」
黒髪の男が驚いたように呟く。
「セルザ!こっち!」
チェリーが俺を引っ張る。
どうやったかわからないが、アズル中尉が一気に怪物を切ったおかげで培養槽のほうに一時的に道ができて
いる。
エラが叫ぶ。
「ドアがあるよ!」
よく見ると確かに培養槽の裏にドアがある。
「これカードキーがないと……!」
ルズがそう言った瞬間、レピがあの黄色いカードキーを取り出してドアについていた機械にあてる。
ピコン
という音とともにドアが開く。
「早く入れ!」
スミス少尉が叫んだと同時に、俺はチェリーを引っ張って部屋に滑り込んだ。
10/15 エピソードタイトルを一部修正しました。内容に変更はありません。




