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20 作戦



さっきから一発も当たらない……


アズルはそう思いながら武器を構える。


「さて、俺も避けてばっかりはあかんしな。」


黒髪の男はそう言うと、着ていた上着の下から武器を取り出す。


タクティカルナイフか。


相手の様子を窺いながら俺は一瞬だけレピたちの方を見る。


早く加勢にいかないとマズイな……


ギリギリで避けられているだけで、このままではいつか攻撃をくらう。


黒髪の男がわずかに、青白い光を放っているナイフを構えながら言う。


「部下が心配なんはわかるけど、こっちに集中して本気でやらんと死ぬで〜アズル中尉。」


「どこかで会ったか。」


それを聞き流しながら俺は疑問に思っていたことを聞く。


黒髪の男は一瞬無表情になって言った。


「覚えてへんならええよ。」


甲高い音がしてナイフと刀身がぶつかる。


ピリッ


音とともに反射的に後ろに下がる。


痺れた手がかすかに震えている。


放電系の武器か……


「ほら、どした。早く来いや。」


黒髪の男が余裕の表情で挑発してくる。


どうする……レピたちだけじゃなくチェリーも限界だ。

「こうへんならこっちから行くで。」


黒髪の男が攻撃しようと駆け出したとき声が響いた。


「おーい。」


黒髪の男が足を止めたと同時に俺も振り返る。


エラ……!?


普段戦闘には参加しないのに何をしようとしてるんだ?


ジョンやレピたちも驚いていて、敵は訝しげな視線をエラに向けている。


「エイッ。」


明らかに場違いな掛け声とともにエラが何かを投げる。


あれは……


何かが地面にぶつかる。


パァン!


という音とともに白い煙が吹き出す。


黒髪の男が煙の中呟く。


「……へぇ。非戦闘員が何する気なん。」


煙幕弾……!?


確かエラが護身用に持っていたものだ。エラは一体何を考えてる……?


そのとき、風を切る音とともに煙が少しずつ晴れる。


アメがナタを振り回して煙を晴らしていた。


「何だよてめぇ。ぼーっと突っ立ってる内にぶち殺すぞ!」


ジョンと戦っていたシストが大声を出しながらエラに向かって走りだした。



*** ***



煙幕!?


白い煙でレピたちやアズル中尉の姿が消える。


エラさんが何をしようとしてるかわからないけど……今なら誰にもバレずに移動できる!


セルザは戦場の中央から走り出すと、あちこちにある階段の一つを上る。


深呼吸しながら天井に張り巡らされている配管に震える手でぶら下がる。


配管が軋む。


手が離れたら死ぬ……


ふと下を見て気づく。


煙が晴れてる……


エラが起こした状況を見ながら俺は呟く。


「エラさん何しようとしてるんだ……?」


エラはポケットから一本の小さなナイフを取り出すと、シストに向かって投げた。


だがナイフは当たらずシストは


「へっ、残念だったな!」


と言って拳を握る。


それを見ながらエラが


「ん〜。私より後ろ見たほうが良かっただろうけどなぁー。」


「あ゙?」


同時にシストの腕に切り傷ができる。


後ろにいたスミス少尉が外れたナイフをキャッチしてシストに投げたのだ。


「この程度の傷がどうした!」


「すぐわかるよ〜。」


「はぁ!お前何言って……」


言い終わる前にシストが突然倒れる。


何が起きてるんだ!?


「お前…なに、しやがった……」


「毒だよ〜。」


毒!?


「怪物用の毒薬は人間にも効くからね〜上の保管庫から何本か拝借してきたんだよねー」


エラがチャプチャプと音を立てる液体を、ポケットから出して言う。


い、いつの間に……


「で〜それをナイフに塗ってジョンに投げてもらったんだよね〜。」


「こ、のやろう……」


シストが動かない足を動かそうとしているのを見ながらエラが言う。


「これはアセビっていう麻痺効果のある毒薬で〜死んだりはしないから大丈夫だよ〜。できれば使いたくな

かったけどー。」


エラさんすげぇ……


そのときふと気づく。


今、エラさんに注目が集まってるから俺がいないことに気づかれてない……今なら!


俺が配管を伝って少しずつ進む。


下から黒髪の男の声が聞こえる。


「へぇー。頭脳面も戦闘面も強くてええ部隊やなぁ。……まぁ、それならなおさら潰さへんとな。」


ヤバい……早くしないと……


そのとき右手が滑って配管から離れる。


「っ……」


腕に力が入らずガクンと体が揺れる。


エラさんが頑張ってくれたのに……こんなとこで死んでたまるか!


息を整える暇もなく配管を掴み直して進む。

ここだ……


俺は軍の支給品のナイフを取り出す。


位置的に……狙うなら……あの場所だ。


俺は大声で叫ぶ。


「アズル中尉!」


アズル中尉は上を見た瞬間その場から飛び退く。


それと同時に俺は鉄骨を固定しているロープを切った。



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