18 沈黙
薄暗い地下通路に俺たちの足音だけが響く。
地下を進みながら俺は疑問を口にする。
「48人ってことは、まだ宇宙人がどこかにいるかもしれないですよね?」
船の前にだいたい32人、それとあの二人だから、あと14人ぐらいはいるはずだ。
「あぁ。残りのやつらは調査のためにバラけてるらしい。」
アズル中尉が答えると、突然エラが
「あ!」
「どうした。」
「言うの忘れてたけどー、みんなとはぐれたとき宇宙人が一人で歩いてるの見たんだよねー。」
「一人は地上。13人は行方不明ってことか。」
スミス少尉がボソリと言う。
その言葉に俺は不安を感じる。
13人もどこにいるかわからない。その上、黒幕が別にいる可能性があることを考えると背筋が寒くなる。
不気味な静けさの中、進んでいると、突然レピが止まって危うくぶつかりそうになる。
「急に止まってどうしたんだよ、レピ。」
といいかけたところで気づく。
レピのいつもの無表情が少し険しい表情になっている。
俺の質問には何も答えず、通路の奥をしばらく見つめていたが、ふいに歩き出す。
どうしたんだ……?
他のみんなも不思議そうな表情をしている。
アズル中尉はじっとレピを見つめていたが、レピを追いかけて歩き出す。
「レピ、なんか見つけたのかな……?」
チェリーの呟きを聞きながら俺はレピを見つめる。
先頭を歩くレピは何かに導かれるように迷わず進んでいる。
なにかあるのか……?
そのとき嗅いだことのある匂いが鼻腔に届く。
この匂い……もしかして……
歩くたびに匂いが強くなっていく。
スミス少尉の表情がだんだん険しくなっていく。
やがてレピは一つのドアの前で止まると静かに開けた。
その先には体育館ぐらいの広い空間が広がっていた。
あちこちに階段があり、右の壁が大きく崩れている。
天井には配管や電球、鉄骨などがあり、中央に割れた数十メートル級の巨大な培養槽のようなものがそびえ立っている。そしてその前に血を流して散らばって倒れている13人の宇宙人がいた。
「死んでるね……」
エラが真剣な声でつぶやく。
宇宙人の死体に近づくにつれて、あの基地で見た死体の山と同じ腐った匂いが鼻に突き刺さる。
なんで……一体誰が……
そのとき、アズル中尉が静かに拳銃をホルスターから抜く。
「……え?」
アズル中尉が突然銃を抜いたことに、俺は思わず声を漏らす。
次の瞬間、アズル中尉は左方向の物陰に向けて引き金をひいた。
バンッ
銃弾でえぐれた壁の破片が飛び散る。
「へいへい、バレてんのね。」
と聞き覚えのないだるそうな声が静かな空間に響く。
アズル中尉が撃った方向の物陰から一人の男がゆっくりと現れる。
黒い髪に銀色の目をしていて、不気味な笑みを浮かべているその男は、俺たちを見回したあと肩をすくめて静かに言った。
「ま、バレたなら殺すわ。」




