12 違和感
「なぁ、アズル。なんで基地集合にしたんだ?」
走りながらジョンは聞く。
撤退するって言ってたから、近づきたくないのかと思っていたが.....
「海から離れているし、あの巨大な怪物もいない。それに少し気になることがある。」
「?」
「あの怪物は基地から出てきた。どこからかクレオメ島にやってきて、基地に入ったとしたらおかしい。」
「なにがだ。」
「あの数十メートル級がしゃがんだとしても、自分にとって小さい入口から入るのは無理だ。必ずどこかを
破壊しないと中に入れない。だが俺たちが着いたとき、基地はどこも壊れていなかった。」
「おいおい、まさかお前が言いたいのは、最初からあのデカい怪物が基地の中にいた、ってことか?」
「そうだ。」
「マジかよ.....」
ぶっ飛んだ推理だが、本当のことは自分の目で見ないとわからない。
宇宙人といい、巨大怪物といい、今回の任務は何か変だ。
宇宙人といえば、船に放り込んだやつら.....喰われてなきゃいいが.....
俺はため息を吐きながら、足を早めた。
*** ***
デコボコした斜面を走りながらセルザは周りを見渡す。
目の前にいるレピは基地の方向がわかっているのか、地図も見ずに迷わず走り続けている。
さすが軍曹だなと思いながら、視線の向きを変えると少し薄くなってきた霧の中、遠くにぼんやりと巨大怪
物が見える。
あいつは一体どこからやってきたのだろうか。
それにしても自分にできることを決心したとはいえど、島についてから何もできていない。俺が生き残れて
いるのは、半分以上アズル中尉やレピ、みんなのおかげだろう。
このままじゃダメだ。
少しでも役に立たないと。
*** ***
「この状況で暴走はまいったねー。」
エラがため息をついて言う。
「そうですね.....」
チェリーはそう返しながらセルザたちを思い浮かべる。
レピがいるから大丈夫だとは思うが、少し心配だ。だが、アズル中尉が一番心配しているのは、私たちなのだろうけど。
そんなことを考えているとエラが
「それにしても、戦闘面で心許ないメンバーになったね〜。特に私。」
と、私が考えていたことを言う。
「えーっと.....」
「まぁ、その分索敵で頑張るよ〜」
と言うとスッと、真剣な顔になる。
「?」
そのとき、突然私を茂みに引っ張り込む。
「!?」
エラがある方向を指さす。
人影.....?
コソコソと隠れるように誰かがいる。
その誰かがこちらの方向を見る。
灰色の肌に指が七本。もしかして.....
「船の前にいたのと.....」
「同じだね。」
宇宙人はキョロキョロしながら歩いている。
「どうするんですか。」
「うーん。交戦は控えろって言われたし、隠れてやり過ごそうか〜」
「わかりました。」
あいつらは何の目的でここにいるのだろう。
茂みの中で私は、言いようのしれない不安を感じていた。




