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9 異常



この匂いは死体の腐った匂いだったのか.....


誰も喋らず黙っていたが、スミス少尉が沈黙を破る。


「アズル。地下はどうする。」


その言葉に俺は顔を上げる。


地下があるのか?もしかしたら.....


「いや。撤退する。」


「!でも中尉!まだ、生き残りが.....」


「危険だ。」


アズル中尉はそう言うと歩き出す。


「そんな.....」


もっと早く来ていれば.....


そのとき、アズル中尉が一階を見つめて訝しげな表情をしたが、そのあと段々顔が青ざめていく。


そして、ポツリといった。


「逃げるぞ。」


「?」


「早く!」


いつもと違うただならぬ雰囲気に、全員急いで走り出す。


何かあったのか?


そう思った同時に


ドォーン


と大きな音が響いた。


「隠れろ。」


アズル中尉がそう言った途端、ルズがすぐ近くの部屋のドアを開けて、俺を引っ張り込む。


何だ今の音.....?


みんなも近くの他のところに隠れたらしい。


だが何も起きない。


そろそろ出ていいか.....?


そう考えたとき、大きな影が床に映った。


怪物!?


だがすぐに影は消える。


数十秒なのか1分なのかわからないが待っても何も聞こえない。


もうどっか行った.....?


立ち上がろうとしたが、ルズに止められる。


「?」


どうしたんだ.....?


『ドーン!』


!!?


『ギャァァァーー!』


咆哮が響く。


たらりと頬に汗が流れた。


恐怖でカタカタと手が震えている。


バシャバシャ。


唐突に液体の音が聞こえてくる。


水.....?でも、そんなわけ.....


それがしばらく続いたあと、ドーンという何かの足音が遠ざかっていき、そして聞こえなくなった。


2分。3分。


「大丈夫か?」


ひょこっとスミス少尉が顔を出す。


「だ、大丈夫です。」


安心した俺は一気に息を吐き出す。


ルズも疲れたように息をつく。


みんなのところへ行くと、


「何なのよあれ.....」


チェリーはそう呟きながら床に座っていて、レピは銃を抱きしめて壁にもたれている。


アズル中尉は左のこめかみをおさえて何か考えている。エラはじっーと一階を見つめていた。


「あんなにデケェ怪物は初めて見たな。」


スミス少尉が天井を見上げて呟く。


よほど巨大な怪物だったのか、天井が壊れて上の階に突き抜けている。


「ねぇ、見て。」


エラが下の階を指さす。


「?」


一階にはさっき見た死体の山があるはずだった。


しかし。


さっきの怪物がやったのか.....


眼下に広がっていたのは、赤黒い血の海だった。



*** ***



さっきの道を逆戻りしながら、耳をすます。


あれだけ大きいのだから、近くに来たとしても足音で察知できるはず。エラは考えながら走る。


静かな森からは何も聞こえない。


ふいにアズルがなぜか森の中へ入る。


?もう船はすぐそこだけど.....


そのとき気づく。


船の前に数十人の人影が立っていた。


10/7 エピソードタイトルを一部修正しました。内容に変更はありません。

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