149 開幕戦決勝スタート
杏香はQ2で、燃料ギリギリの軽量化作戦で決勝2位に入りましたけど、あれはやめてほしいです。しかも、独断でやってますから怖いです。
開幕戦、Q2予選が終わりました。PPは中森勝利でした。
やっぱり今シーズンもこいつを何とかしないと優勝もシリーズチャンピオンも狙えないという事か……
でも2位に杏香が入りましたので、まだ優勝も狙えると思います。
3位にルーキーのひとりメンゼル、4位に結菜が入りました。彼女はかなり頑張ったと思います。
5位にルーキー2人目のライブリー、6位にルーキー3人目のヨハンソン、7位に松島、8位にルーキー4人目のマクレーでした。
しかしこの8人、今回はこのような順位だったけど、タイム的にはあまり変わらないから、今回8位だったマクレーが次はポールになる可能性もあるし、2位だった杏香が8位になる事もあるのです。
あーっ、今シーズン始まったばかりなのに頭が痛いです。
この後11時からピットウォークが始まります。アンバサダーの三人にも手伝ってもらわないと……
「美郷さん、私達はどうしたら良いですか?」
梨帆さんが訊いて来ました。
「そうね、両サイドに1人ずつ、真ん中に1人の配置で、あとドライバーのサポートをよろしく」
そう言って準備をしている時、ピットウォークが始まりました。ファンサービスの始まりです。
まあ、写真を撮ったりサインしたり握手したりなんですけどね!
ピットウォークは40分くらいで終わり、私達はお昼を食べるため蛍亭に来ています。ここは鈴鹿でレースがある時は必ずお世話になるお食事処です。
「ねえ小山内さん」
「えっ、なに?」
「小山内さんってファンの人と一緒に写真撮ったり、サインをしたりしますよね」
そう言うのは綾原遥華さんです。
「うん、ファンサービスだよ、他のドライバーもやってる事でしょう」
「まあ、そうだけどパンちゃんはやらないけどね」
すかさず結菜がそう言います。
「パンちゃんってそうなの?」
杏香と結菜がそう言って話していると……
「パンちゃんって誰?」
今度は梨帆さんが訊いて来ました。
「もう、梨帆も遥華もどうしたの?」
そう言って、美姫さんが話に入って来ましたけど……
「いや、スーパーフォーミュラの女性ドライバーってどういう人なのかなって思っていたから、でも私達と変わらないんだなって」
そう言う遥華さんは、杏香と結菜をどういう風に見ているのかな……
「まあ、有名人だから特別に見えるかも知れないけど……」
なんだか呆れたように美姫さんが言いました。
「でも、こんなにゆっくりしていて良いの? もうすぐ決勝なんでしょう」
梨帆さんがそう言うので……
「お昼休みは必要でしょ! 大丈夫、決勝が始まれば、ちゃんと働いてもらうから」
私がそう言うと……
「美郷さん、何時までゆっくりしていて良いんですか?」
結菜がそう訊きました。結菜もQ2は頑張ったから疲れちゃったかな……
「そうね、2時からミーティングだから1時半にはここを出ようか」
私がそう言った時、アンバサダーの三人は座敷の上で横になりました。午前中アンバサダーも結構忙しかったみたいだから、ゆっくり休んでもらいましょう。
そして、決勝レースが始まりますが、今はグリッドウォーク中で、杏香の所には美姫さんが、結菜の所は遥華さんがパラソルを持って日陰を作っています。
ちなみに梨帆さんは、パドックで休憩中です。
この後、マシーンのエンジンが掛けられました。グリッドウォークも終わり、ドライバー以外はグリッドから離れます。まもなくフォーメーションラップが始まります。
今、グリーンフラッグが振られて、先頭の中森がマシーンをスタートさせ、杏香がそれに続きます。
マシーンを蛇行させながらタイヤを暖めて走り、レーススタートに備えます。
各マシーンが最終コーナーを回ってメインストレートに戻って来ました。所定のグリッドに着いてスタートを待ちます。
焦げついたタイヤとオイルの匂いが漂う中、緊張の一瞬です。
今、後方でグリーンフラッグが振られレッドシグナルが点灯を始めました。これがひとつずつ点灯して、五つ目が点灯して、今、ブラックアウト! レースがスタートしました。
1列目2番手からスタートした杏香が、いきなり中森の右側に並び第1コーナーのインを狙いますが、中森に上手く被せられ、オーバーテイク出来ませんでした。
「おいおいまったく、スタート直後にハラハラさせやがって」
源さんもこうなると人の親ですね! チームとしてはトップを狙わなければならないけど、親としては安全に走ってほしいというところでしょう。
この後S字カーブを回ってすぐの逆バンクで杏香が仕掛けますが、中森に読まれていたようで、なかなかオーバーテイクさせてもらえません。
手強いです。
「うーん、なかなか上手くいかないな」
オーナーがそう言いますけど……
「まだ、始まったばかりですから」
私はそう言いますけど、内心はオーナーと同じ気持ちです。前半にトップに立てれば、後が楽なんですけどね……
中森と杏香が最終コーナーを回ってメインストレートに戻って来ました。タイムは?
「小山内さん1分37秒628です」
オープニングラップは中森の1分37秒596です。まあ、良いコンディションで走れているかな。
「姫が1分38秒267です」
菜穂子さんがそうコールします。
結菜も良い感じですね。
さて、スタートは上手く行きました。タイヤ交換を13LAPから15LAPに予定してますけど、上手く行くでしょうか……
開幕戦決勝がスタートしました。取り敢えず良いコンディションで走れています。後はタイヤ交換でどういう風なレース展開になるでしょうか? 開幕戦なので良くて表彰台、悪くても6位くらいまでに入れれば良いかな……




