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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第六章 SFシーズン2年目
148/156

148 危険な作戦

開幕戦、予選Q2が行われています。杏香と結菜は1回目のアタックで、まずまずのタイムが出たようです。

 スーパーフォーミュラ開幕戦in鈴鹿です。予選Q2で杏香(きょうか)結菜(ゆいな)が1回目のアタックを終えたところです。


「二人とも1分36秒台ですけど、36秒の中に6人いるんですね……」


 そんな事を言うのは菜穂子(なほこ)さんです。今までそんなに気にした事なかったのかな……


「そりゃそうよ、1000分の1秒差を競っているんだから」


 小林(こばやし)さんは当たり前のように、そう言ってますけど……


「まあ、そう言われればそうなんですけど、今まで姫が1000分の1秒差の争いをした記憶がなくて……」


 まあ、そんな事はないでしょう、タイムだって1000分の1秒まで計測してるんだから。


小山内(おさない)さん2回目のタイム1分36秒297です」


 小林さんのコールに菜穂子さんも驚いています。まあ、私はこれくらいではもう驚かないけどね。


「えっ、凄くないですか!」


 まあ、1回目が1分36秒328で2回目が1分36秒297だから0.03秒短縮してますからね。


 1回目はヨハンソンに邪魔されたからとは言うものの、速すぎる気はします。あれ……


山口(やまぐち)君、杏香の燃料給油した?」


 私がそう訊いた時、彼の目が泳いだのを私は見逃しませんでした。


青木(あおき)、給油したよな……」


「いや、俺はタイヤ担当ですから……」


 という事は……


「山口君! どういう事?」


水上(みなかみ)!」


「山口君! どういう事?」


 私はもう一度声を掛けました。


「Q1前に40リッター給油しています」


 水上君がそう言いました。まったく、もう!


「杏香の順位は……」


「今、トップです」


 小林さんがそう言いました。


「あの……」


「どうしたの菜穂子さん?」


 菜穂子さんの顔が緊張してるような……


「姫の2回目1分36秒698です」


 凄く言い辛そうにコールしてくれました。でも、順位は5位です。


 いや、そんな事より……


「山口君、止まらないよね、大丈夫なんだよね」


 私は山口君に確認しましたけど……


「えっと、計算上は大丈夫です……」


美郷(みさと)さん、ちょっと怖いですよ! 目が吊り上がってますから」


 はあ、まずい私はそう思いましたけど、小林さんからの一言で私はちょっとだけ冷静になれたかな……


「山口君、出走前に必ず確認してね!」


 私は笑顔のつもりでニコッとしましたけど……


 他のスタッフは、かなり恐怖だったようです。


「はい、すみません……」


 まあ、2回目のアタックでトップなら3回目の途中で止まっても5位以内には入れるでしょう。まったく無理するから……


「でも小山内さんも大胆ですね、Q1で40リッター入れてQ2まで走り切るなんて」


「菜穂子さん、だから困ってるのよ! 杏香の事だからQ2は燃料を少なくしてマシーンの重量を少しでも軽くしようと思ったんだろうけど」


「あっ、そうか! そうすれば少しでも速く走れる訳だ、凄いですね、そこまで考えられるなんて」


「まあそうだけど、途中で止まるリスクもあるのよ……」


 杏香には呆れるわ、メカニックまで巻き込むなんて……


「小山内さん3回目、1分36秒316で現在2位です」


 うーん、これまでかな…… でも、よく止まらなかったわよ! しかも2番手スタートなら上出来でしょう。私がそう思った時でした。


「あの、小山内さん止まりました。第1コーナーの手前です」


 小林さんから報告がありました。はあ、やっぱりギリギリだったのか……


「山口君、マシーンの回収よろしく!」


「あ、はい……」


 山口君はそう言ってレッカーの手配をしてるようです。


「結菜の3回目1分36秒428で4位です」


 うん、結菜も4位に入ったから上出来だね!


 あれ、あまりにも良過ぎないかな……


 私はQ2の順位を確認しました。


 ポールが中森です。2位に杏香、3位にメンゼル 、4位に結菜、5位にライブリー、6位にヨハンソン、7位に松島、8位にマクレーですが……


 中森が1分36秒162、杏香が1分36秒297…… そして、マクレーが1分36秒758です。1位から8位までが1分36秒台という事は、ちょっとでもタイムロスをしただけで8位になるという事か……


 今シーズンは大変だ…… 決勝でも、タイムロスをしたマシーンから脱落するんじゃないかな……


「ただいま」


 杏香が戻って来ました。一言言っておかないと。


「杏香、出走前はある程度燃料は給油しておくように」


「いや、入れていたんだけどね……」


 はあ、今回の主犯はこいつか……


「Q1前に40リッター給油して、Q2前には何リッター給油したの?」


「えっと、確か5リッターだったかな……」


 まったく見えすぎた事を……


「それじゃ杏香が給油したんだ、メカニックはみんな知らないらしいから」


「えっ!」


 杏香は周りを見渡していますが、もちろんメカニックは、誰ひとり目を合わせてくれません。そして、杏香が私の方を見ました。


「ごめんなさい……」


 うん、今回は素直に謝ったわね、でも……


「杏香、ちょっと来て!」


 私はQ2の結果を彼女に見せました。


「杏香、これがどういう事か解る?」


「あっ、私2位なんだ! 一列目じゃん」


 もう、見るところはそこじゃないつうの!


「そうじゃなくて、1位から8位までが1分36秒台なの! 一歩間違えば8位以降になるのよ」


 まあ、今回は最初から飛ばす事が出来た杏香は2位だったけど…… あれ、これって、結菜は相当頑張ったって事だよね…… いや、凄い事です。

予選Q2が終わりました。杏香は計画的犯行もありましたが結果2位です。結菜も相当頑張っての4位だけど…… タイム的にはさほど差はありません。決勝はどうなるでしょうか……

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