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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第六章 SFシーズン2年目
146/156

146 開幕戦Q1B組

今シーズンも杏香はQ1A組でベストタイムを出してトップ通過しました。次は結菜の番です。

 開幕戦Q1A組でトップ通過を果たした杏香(きょうか)、かなりのドヤ顔でパドックへ戻って来ると思いましたけど……


「杏香、やったな!」


 ピットに戻って来た彼女に(げん)さんが声を掛けます。


「うん、ありがとう……」


 あれ、なんだか平常心を保っている杏香です。


結菜(ゆいな)、B組頑張ってね!」


 マシーンのキャビンに収まっている結菜に一言声を掛けた杏香です。


「うん、6位以内になるように頑張るよ」


 そう返事をした結菜がゆっくりとピットロードを通ってコースへ出て行きました。


「杏香、ベストタイムだよ!」


 私は嬉しくてそう声を掛けましたけど……


「うん、でも…… カーナンバー22はもっと凄いよ」


 えっ、カーナンバー22って、MINAMINO Racingライアン ヨハンソン!


「どういう事?」


 私の問いに杏香は……


「アタック中にライン上にいたカーナンバー22を抜いたんだけど、ずっと私の背後に着いて来たの! しかも余裕の笑顔で……」


 私は杏香からその話を訊いて、ゾッとしました。外国人ルーキー四人の噂は訊いてはいたけど……


「あいつ、いつでもオーバーテイク出来るからって言ってるみたいだった」


 要するに、この後のQ2が本番というところでしょう。


美郷(みさと)さんB組始まりますよ」


「あっ、はい」


 丁度結菜が最終コーナーからスピードを上げて、メインストレートを今、通過して行きました。同時に菜穂子(なほこ)さんもストップウォッチをスタートさせました。


 第1コーナーを回った結菜は、S字コーナーから逆バンクへ、しかしここでスピードが落ちてしまいます。そうしないと右コーナーなのに右側にバンクがあるように感じるから左にスピンしそうで怖いからです。


「結菜にはまだ、無理かな……」


 そう言うのは鈴木(すずき)オーナーです。


 その後、加速しながらダンロップコーナーへ行きますが、逆バンクであまりスピードを落とさなかった他のマシーンに遅れを取ってしまいます。ダンロップコーナーを回った後、デグナーカーブを回ってヘアピンカーブへ行きます。ここで結菜は速度を落として、マシーンのギアを2速でヘアピンを回っているように思われます。その為、加速が遅いです。


 でも、杏香を含めた他のドライバーは1速で回り、加速した直後に2速へ入れます。そうする事で、加速の度合いが違うのです。


 ここで1秒とは言わないけど0.5秒くらいは結菜は遅れをとります。


「やっぱり逆バンクとヘアピンで結菜は遅れるね……」


 鈴木オーナーも解っているようです。でも、以前杏香が結菜に言っていた事だよね……


 その後、スプーンカーブから西側ストレートを加速して、そのまま130Rに突入して、シケインの手前で急減速、そのままのスピードでシケインを攻略して最終コーナーを加速しながら回りメインストレートへ戻って来ました。


「1分38秒026です」


 菜穂子さんがそうコールします。


「うーん、このままじゃQ2は難しいかな……」


 鈴木オーナーがそう言います。


「8位ですね……」


 杏香もそう言うけど…… この間の公式テストでは36秒台で走っていたのに……


「公式テストでは速かったですよね!」


 菜穂子さんもそう言いますけど……


「あれは、前に小山内(おさない)さんがいたから、一生懸命に追いかけていたんですよ」


 岩崎(いわさき)チーフもいつの間にかパドックにいました。


 うーん、それじゃどうする…… このままじゃQ2へは行けない! 決勝スタートが13位以降が決定してしまう……


美郷(みさと)さん、無線を貸して!」


 杏香がそう言って、私から無線を取りました。


「結菜聞こえる、アタックの時、前にいる速いマシーンを追って!」


『えっ、杏香? なに? どういう事?』


 結菜は何も判らないからそういう反応だろうけど……


「良いから言う通りにして! Q2に行けなくていいの?」


 杏香がそう言った後、タイミング良く最終コーナーから加速して2回目のアタックを始める結菜です。


 しかし、メインストレートを通過した彼女の前にマシーンはいないけど……


「あっ、カーナンバー21番が…… これ抜かれるぞ」


 鈴木オーナーが頭を抱えてそう言ってるそばから第1コーナーで結菜はオーバーテイクされました。


「あっ、チャンス」


 そう言う杏香と……


「ああ、やられた!」


 そう言う鈴木オーナーだけど……


「結菜、カーナンバー21を追って!」


 杏香が無線で結菜に言いました。カーナンバー21ってクリス メンゼル、だっけかな……


『了解、イケるとこまでやってみる』


 そう言った結菜でしたけど、S字コーナーで少し差が開いたかな……


「あまりスピードを落とさないで! Gを堪えて」


 杏香の言う通りあまりスピードを落とさないで逆バンクを回りましたけど……


「ちょっと膨らんだけど大丈夫だよ結菜」


 その後、ヘアピンカーブですけど……


「結菜、ヘアピン手前でスピードを落として1速にしてからヘアピンを回って、それからすぐ加速、2速に入れてスピードを上げて!」


『えっ、減速、1速?』


 ちょっと戸惑っているんじゃないかな……


「そこで2速、加速して」


 結菜は、杏香の言う通りに操作してるみたいです。なるべくカーナンバー21番と差が開かないように頑張っているようです。


 その後も、スプーンカーブ、西側ストレート、130Rと頑張った結菜がシケインと最終コーナーを回ってメインストレートに戻って来ました。


 今、カーナンバー21番が通過、その後すぐに結菜が通過しました。


「タイムは?」


 杏香が菜穂子さんに訊きました。


「ピッ」


「えっと……」


 1分36秒946とモニターに表示されました。


「4位です!」


 菜穂子さんがそう言いました。はあ、どうやら、なんとかなりそうですね……

結菜は、杏香の助言通りに走った事でQ1B組で4位につける事が出来ました。しかしまだ、残り1分あります……

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