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俺が『見』てるセカイ、君の生きるミライ  作者: 六錠鷹志
第二章 昇らない陽 と 静かな海
23/33

17R ちょろまかされたんじゃ…

「やだぁぁぁぁぁぁぁ、そんなら行きたくぬあぁぁぁぁぁああい」


 「実家へ行く」ことについて、ラウラに詳しく聞いた。

 それをまとめるとこんな感じ。


〇実家はユルランド大陸(世界で最大の大陸)の東に位置するブリーズという国にある。海が近くにあり、漁業や貿易で栄えている。海岸沿いから離れると山に囲まれているが、山は急こう配なため、開発はあまりされていない。


〇行き方は主に2つで、山を迂回するルートと、船で海上から行くルートに分かれる。

 [迂回ルート]ノトールという北東にある国を通る。そこを経由して、ブリーズへ。

 [海上ルート]港から船を使い海上を進み、直接ブリーズへ。港はスレッドにもあるが、現在、陰の偽刻であるため港は使えない。


○なぜ、俺がついていかなければならないのか。理由はまだ言えないらしい。

 →(まぁ、ここはどうでもいい、重要なのは次だ)


●ミーシャは連れていけない

 ⇒はあああああああああああああああああああ?


(ありえないだろう? なぁ?)


「だから、ミーシャを連れていくと危ないの」

「それは………まぁ、だが」


(正論かもしれないが、そんなら)


「俺は行かないからな」

「魚食べさせてあげるから」

「行かないからな、絶対!」

「貝も食べたいの? いいわよ!」

「そんなもん知るかい、俺はミーシャといるんだ。お前なんか、どっかいけぇぃ」

「そんなこと言わなくてもいいでしょ」

「<ミーシャ、あの人は危ない人だから、近寄ったらダメだからね>」

「<わかった>」

「ちょっと、今なんて言ったの、ねぇ。おい、おいおいおい、ねぇ」


 俺はラウラという悪魔をほっぽって、ミーシャと部屋に戻ることにした。




 その日の夜。


(って言っても、ずっと暗いので、月が出ているときと言った方がわかりやすいかねぇ)


 俺はミーシャが眠りについてから、扉を開け外に出る。

 ミーシャは眠りにつくのが早く、また、ちょっとやそっとじゃ起きないのだ。この前、とある事件(・・・・・)があって、大きな音が出たのに、ミーシャは余裕で寝ていたことからいえる。


(ミーシャって、結構大物かもしれないな)




 きぃきぃと、音をあまり響かせないように、廊下を進み食堂に出ると仕事中のバルトとレイカがいた。


「やっほ~、タケルん」

「<こんばんわ>、バルトさん、レイカさん」


 レイカは机に伏せるようにしながら、、、てか実際に床に伏せた状態で手だけを動かしてお金(コイン)を仕分けて数えていた。

 たぶん、足音とか気配とかなんかで、俺のことに気が付いたんだろう。

 レイカはのほほんとしているようで、まわりの環境とか人の心情の変化に聡いのだ。

 俺は、レイカのいる机の椅子に座る。作業の手を止めさせてしまったので、俺も少し手伝うことにした。




 仕事を手伝い始めて間もなく、レイカが俺の持つお金(コイン)を見つめて唸った。


「ん~、んっ? タケル~ん、それちょっと貸して~」

「えっ、はい」


 俺は素直にそのお金(コイン)を渡すと、ミリスはふむふむとお金(コイン)を手で遊ばせる。


「ふむふむ、ふ~むふむ、ふむふむ? ん~、これは~? お父ち~ん」

「なんだ?」


 洗い物の手を止め、エプロンで手についた水をふき取りながらバルト。


「手伝ってくれてたのか、タケル。<さんきゅー>だな」

「いえいえ。<どういたましてです~>」


(ごつい男が拙い感じでさんきゅーってっクスクス、なんて思ってないからな)


「んで、どうしたんだ?」

「あー、それが…」

「***はっけーん、なのだ~」


(***って?)


 バルトは「見せてみろ」とレイカが今にも巨大化して怪獣と戦いに行きそうなポーズで持ち上げていたお金(コイン)をひったくる。


「ほんとだな。こりゃダメだ」

「でしょ~」

「前にもあったよな、こんなん」

「だね~、最近たま~に、あるね~。今まではなかったと思うのに~」

「……いや、お前がちゃんとしてればいいんじゃないか」

「そんなこと言わないでよ~。いっそがしいときは、いちいち見てられないって~」


(やばい、話についてけない)


「………***って何なんですか? それより、何かあったのですか?」


 わからんものは仕方ないので、何があったのか聞くことにした。


「***、まぁ端的に言って、カネの中にニセモンが混じってたんだ」

「えっ、それって………騙されたんですか?」

「騙されたってもな………これ見てみろ」


(ちょろまかされたんじゃないのか、、、よ)


 そう言って、バルトは2枚のコインを俺の前に置く。


「この2つ。違い、わかるか?」

「ん………、何が違うんですか」


(ほぼ同じじゃね。てか、同じ。………こんなんじゃ、わかんねぇだろ。ホンモノとニセモノって)


「そりゃ、同じやつだもんな」


(一発殴りたい)


「いじわるはいけないよ~。ねぇ~、タケルん」

「そうですね~。バルトさんは意地悪です」


 バルトは袖に隠していたニセモノを取り出し、2枚の横に置く。


「ちょっとした冗談だって。見てほしいのはこれとこれだ」

「あっはい」


 俺はそのホンモノとニセモノに目を凝らすとーー


「あ~、なんかちゃいますね」


 ーー違いがわからんので、適当ぶっこきました。


「まぁ、タケルには難しかったか」


(速攻ばれたやんけ)


 バルトはそう、ニセモノだというコインをブツブツと呟きながら持ち上げる。

 すると、コインを持ったバルトの右手が青白く光りだしーー


(あっ、やべっ)


 ーー俺は嫌な予感がしたので、ちゃっかり『見』てみた。


 そして、「ほい」と、バルトが(・・・・)投げてくる(・・・・・)前に(・・)俺は、椅子から飛ぶように離れた。


 俺のさっきまでいた場所で、コインは白い光をギュィィィンと甲高い音とともに放った。


 バルトはタケルを頭に疑問符をいくつも浮かべながら、少しの間ぼうっと見ていた。

 タケルはしばらくの間、激しい光によりなかなか視力が回復しない。

 バルトの呆け(ずら)は見られずに済んだのだが、妻であるレイカにはガン見され、生あったい視線を送られている。


(あぁぁ、目が目がぁぁぁ)


 目が痛い。眼球に瞼が張り付いているようだ。

 バルトが独り言のようにつぶやく。

 俺はその言葉に、目を開くとーー


パリン!


 --窓ガラスがナニカ(・・・)によって割られた。


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