23 襲撃する2つのグループ
23話です。
ほとんの部分が残酷なシーンです。殺人があります。
言葉を濁したつもりですが、苦手な方は読まない方が良いと思います。
判りやすい様に印を付けてみました。★から★★までが戦闘と残酷なシーンです。
元軍人組が現れた後ろを、みんながゾロゾロと防空シェルターへ歩いていく。
みんなおそろいのパジャマがかわいい。
「賊だってね」
髪がボサボサのカリオペが眠そうに、今更な質問をする。
「ああ、お前達にはこっちの連中を頼む」
全員にモニターを見せて、彼女達の担当を線で囲んだ。
「魔法の使用を許可する。ただし、落雷の傷は誤魔化せない、使用を禁ずる。雷魔法を使うなら相手を確実に殺せ」
3人は真剣な目つきになってヤナカに頷く。
「装備はこれだ、使用法が解らないなら他の武器から選んでいいぞ」
バックパック型バッテリー式レーザーライフルと自動照準対応スコープに防弾シールドが3人に渡された。
数年のブランクがあるとはいえ兵隊だ。スコープを装着し、ライフルの操作方法を再確認し始める。
「この足を狙う照準位置はデフォなの?」
「そうだ、何人かは捕虜にして尋問する。一度撃った相手ならもう一度照準を合わせれれば任意の位置に照準が合う」
「つまり殺すなら動けなくしてからね」
「そうだ。それから風魔法を使うときは実弾に切り替えろ。土埃でレーザーが減衰する」
「実弾?」
このレーザーライフルは拠点制圧用に開発され、銃身が2つある。
対レーザー防御や火災や催涙弾、スプリンクラーなどでレーザーの威力が減衰する場所での使用を考えて作られたが、40キロもある重さで兵士には不評だった。実践では予備のマガジンも装備し、さらに重量が増してしまう。
「ああ、モードを実弾に変えれば30発まで撃てる。連射は1点、3点、フルオートだがデフォは3点だ。焦ってチャージングを忘れるなよ」
「「「おお」」」
ヤナカの作戦はこうだ。
元軍人の3人はバラけて壁の歩廊に潜伏。
敵が基地内に侵入を開始した時点で、高照度照明弾と電磁パルス弾で敵の暗視スコープと電子機器を使用不能にする。
言うまでもなく味方の装備は電磁パルス対策品だが、電磁パルス弾が至近距離で炸裂するため、5秒間停止後に再起動するようヤナカが遠隔操作する。
その後の作戦は無い。
自由に敵を狙撃するだけ。敵が重火器を使用した場合は上空のドローンが対処する。
反対側のプロっぽい集団にはヤナカと私が対応する。
「まだ敵は動いていない。さあ祭りの時間だ!これであってるか?」
「「「ははは」」」
「あってるわよ」
2つのグループは3分と違わない時刻に動き出した。
もしかして同じグループなのか?
サーマルセンサーで丸見えのグループが先にミサイルを発射した。
盗賊ならそんな高級品を安易に使わないし、軍隊ならば攻撃を畳み掛けてくる。
完全に素人だ。
囮だと見ていい。
発射準備に梃子摺って、ドローンに補足されていたミサイルは、あっけなく撃ち落とされる。
2射目が無く。連中は壁に向かって移動をはじめた。
「マルグリット。こいつら雑魚だろ。やっていいのか?」
呆れたアーケが聞いてくる。
「良いわよ。時間がもったいないから無力化して放置ね」
「そっちはどうなってる?」
「2つに別れてるわ。1つは壁に取り付いた」
残ったグループの4人はミサイルの発射準備を始めている。
ミサイルで撹乱して同時に突入部隊が来るのだろう。
7人が壁を登り、3人が下で周囲を警戒している。
★
「おい!何でマリエがいるんだ?」
ヤナカが叫ぶ。
監視モニターに鬼のような形相をしたマリエとブリシアとサンネがネグリジェ姿で歩廊に立っているのが映し出される。
(ブラぐらい着けて来なさいよ! 透けてるわよ)
「何よあれ!」
「「ああ!」」
3人が同時に歩廊の銃狭間から顔を出して下を覗き込んだ。
ダダダ、ダダダ。
ダダダ、ダダダ、ダダダ。
監視役の一人が気付いて発砲がはじまる。
3人は安全な場所まで下がって、手を繋いで頷き合うと、
バリバリバリ。
「ギャ───」
ドン、ドサ、ドサドサ。
強烈なスパークが壁一面に発生して、壁の上方まで達していた7人が地面に叩きつけられた。
次に2人は各々下を覗きながら水魔法で敵を水浸しにし、1人が雷魔法で殲滅してしまった。
「「あーあ」」
ミサイルをランチャーにセットした4人が、銃声に驚いて基地を観察していたが、仲間がやられた事を知ったのか、装備をほったらかしにして逃走を始めた。
周囲に接近していた警備ロボット2体が発砲を開始する。
「もう、何やってんのよ!」
私は抱き合って震えている3人に走り寄って抱きつく。
「だって…」
マリエが何か言いかけて黙ってしまう。
右肩に血が付いていた。
「怪我したの?見せなさい!」
マリエの顎を掴んで左に回す。
右の耳に少し欠損が出来て、そこから出血して肩に落ちていた。
サンネがハンカチで耳を押さえる。
「まったく。無茶してぇ。奴らは全員死んだわよ。スッキリした?」
「「「うん」」」
「大怪我は無かったし、3人とも良くやった」
「「「うわー!」」」
3人は私に抱きついて泣き出してしまった。
嬉しかったり、怖かったり、悔しかったり、イロイロな感情が吹き出した様だった。
「医療さん、怪我人よ。あ、ちょっとくっつかないの!キスなら男としてよ!んんん!や…め…」
元軍人組も素人相手に楽しんでいた。
逃げ惑う6人の足元にレーザーを打ち込んで追い詰めて行く。
「カリオペ、1人行ったよ」
「了解」
ジュン。
「ギャー」
1人ずつ仕留めて今は最後の1人になっていた。
「誰がやる?」
「「「私!」」」
「全員ね」
「じゃんけんか同時に撃つか?」
「「「同時!」」」
ジュン。
ジュン。
ジュン。
「ギャ────」
長い悲鳴で全てが静寂にもどった。
素人組は全員が重症。
玄人組は10人が感電死、4人が重症。
重傷者は全員脚部負傷で歩行不能。
捕虜を独房に収容して今夜は終了。
「貴女達が殺ったんだから最後まで見るのよ」
「「「はい」」」
彼女達が魔法で殺した10人は、証拠隠滅のために焼却した。
死因が判らないように骨になるくらいまで焼く。
マリエとブリシアとサンネの3人が、姿が変わって行く死体を無表情に見つめていた。
翌朝遅い時間から尋問を開始する。
「玄人組の生き残りも殺す?」
「尋問してから殺るぞ」
「素人組は尋問したら開放ね。憲兵隊か警察に渡すのも危ないわよね?」
「尋問の結果しだいで連中も殺ろう」
素人組は、この辺りを根城にしているチンピラというかハグレ者集団で、1人金貨1枚で桃源郷に雇われた。
前金を半分もらって信用したと言う。使ってしまったのだろう、現金を持っていなかった。
どうせ囮に使われたのだから死んでも良いんだろうが、どちらにせよ仕事が上手く行ったら、桃源郷に殺されて埋められていただろう。
玄人組の素性は、桃の入れ墨が見つかって判ったが、その先の情報を吐かない。
ここからは拷問の時間だ。
新人ちゃん達が拷問をやらせろと言って聞かなかった。
仲間や家族、自分がやられた事を体験させてやると興奮している。
「そうか。2人まで殺していいぞ」
わざと捕虜の前でヤナカが言った。
桃源郷兵はそれぞれ裸に剥かれて椅子に縛り付けられている。
平然と女達を眺めてニヤニヤしていた。
「何見てんのよ!」
マリエがいきなり1人の顔面に正面から蹴りを入れて後ろにひっくり返した。
男は目を開いたまま動かなくなった。
「まだ殺さないでよ!私達にも取って置いて!」
「ごめん! イヤらしい目で見られたから、つい」
マリエは悪びれもせずに女達に謝る。
「私達はね、盗賊に攫われて家族や仲間を殺され、監禁されて玩具にされ続けたのよ。だからお前達に同じことをじっくり味わってもらうわ。頼んでも楽にしてやらない!」
リリアナが汚らしく髪を伸ばした男の髪を鷲掴みに引っ張って倒し、顔を踏み付けて言った。
男を4人で大股開きに押さえつけ、ゼーリシアがニヤニヤしながら言う。
「貴方達って女のここも大好きよね?」
男の顔が歪んだが、口を塞がれて喋れない。
直径5センチ近い金属の棒を見せつけてから、そこにあてがって押し込んでいく。
「あれ?意外と力いるのね。ゾフィ手伝ってよ」
「オッケー」
暴れて抵抗する男を無理やり押さえつけて2人がかりで金属棒を押し込んで行く。
「んぐ──っ」
椅子に縛り付けられたままの2人が、仲間の身体にめり込んでいく金属棒を、見えるように首を押さえられ、見ていないと電撃を食らわされている。
「入った! この後どうするんだっけ?」
「押したり引いたりするんだよ」
「私は3人一緒にやられたよ」
「「「「私もやられた」」」」
「決まりだな」
男の喉にもう一本の金属棒が嘔吐しても無理やり押し込まれ、1メートルはある棒が半分入り、上を向いたまま動けなくなる。
そして下腹部には金属のマドラーが差し込まれる。
「これじゃあ喋れないじゃない。言いたくてもダメね」
「そうだな。はははは」
「ングググググッ」
「どうした?」
マドラーに電気ショックを与えて楽しんでいるグレタがいた。
「私もこれで痛めつけられたのよ」
「全部一緒にやるか」
「んんんんんんん!んぐー…」
2人の女が上と下の金属棒を掴んだ瞬間だった。
男は体中に力が入り、すぐ後に動かなくなる。
このまま死なれても困るので、ヤナカが喉に刺さった金属棒を抜いて呼吸を楽にさせた。
女達の目線が隣の男に集中する。
「た、た、た、たたたたった」
助けてくれと言いたいのだろうが、ガタガタと震え上がって言葉にならず、床にポトポトと液体を垂らしていた。
そこにマリエが近づいて怒鳴った。
「お前らはどんなに許しを願っても止めなかった。今度はお前の番よ。おしっこ漏らしても、うんちもらしても止めてもらえないのよ」
マリエの恐怖が怒りに昇華していっているのだろう。
生き物は恐怖より怒りの方がずっと、環境をコントロールする力がある。
「な、な、ななんでもい、言いま」
「ストーップ」
「「「「「えー!」」」」」
「喋る気になったんだから喋らせないと」
「後でやらせてあげるから」
捕虜に聞こえないようにマリエに耳打ちする。
マリエの怒りは和らいで男から離れてくれた。
「洗いざらい言わなければ次はお前達の番ね」
「捕虜の扱いは…ギャ──ッ」
4人目の男が交渉しようとして話し始めた時だった。
「ちょっとマリエ!」
「あーあ、死んじゃったじゃない。これじゃ尋問にならないよ」
激しい電撃を受けた4人目の男は、煙を上げてぐったりしてしまった。
「ごめんなさい。こいつ偉そうな事言ったからつい」
残りの1人は気を失ってしまった。
冷水をぶっかけて起こそうとしたが目を覚まさなかった。
「また明日ね。死んだのは2人?」
不満が収まらない新人ちゃん達には、絶対に殺さない、魔法は使わないと約束させてから、素人組を玩具にする許可を出した。
(だって怖いんだもん)
夕食の時間まで独房が騒がしかったが、朝からリノリ達をバザーに出店させて誤魔化せたので、なんとか見せずに済んだ。
その夜。
「昼間は大変だったようね?」
「助けて!ウウッ」
「ヒ──ッ。助けてー」
「く、く、来るな!」
すでに女達が全裸にしていた捕虜は、全員が独房の簡易ベットで大の字に固定されたまま放置されていた。
体中が傷やアザだらけだ。
「泣くんじゃないわよ。今度は私が愉しむ番なんだから!」
「嫌だ!やめてー!」
「大人しく上を向いていい子にしていればすぐに終わるわ。よいしょ」
私は素人組の捕虜に跨がって彼らの尋問を始める。
「ほらほら、もっと力入れて!」
ペタン、ペタン、ペタン。
「お、お願いです。き、傷の上に乗らないで、痛い!」
「もう明日も彼女達に虐められたくなかったら我慢するのよ!」
「アーッ! 助けて。何でもします! 我慢します!」
私の尋問は朝までに6人を3周して終わった。
何も聞き出せなかった。
何も聞いてないから。
★★
桃源郷の兵士が吐いた情報に重要なものは無かった。
タカチホノミネ丸への襲撃に2度も失敗した桃源郷は、合計10隻の戦闘艦を失い壊滅的な損害を受けたが、ジアナ星とナンナ星の拠点と巡視艇クラスの戦闘艦が2隻が残った。
生きている隊員は総勢150人程度だと判り、幹部は隊長以下陸戦部隊のみが残っている。
なぜこんなに執拗に狙われるのか、下っ端では情報を得られなかったが、組織全体が、1度目の襲撃後から急に羽振りが良くなったという。
「幹部が生き残ってるなら次もありそうね」
「金回りが良くなってるのも解せない。黒幕がいるのか?」
「この拠点なら向こうも攻め込み安いけど、こっちも大っぴらに魔法が使えるわね」
「確かに見通し距離に藪くらいしか隠れる場所がないからな。陸戦用兵器を下ろして置こう」
「昨夜の3人の魔法は凄かったわね」
「拷問の時もそうだが、訓練よりずっと威力が強かった。感情の高ぶりで変化するのだろう。もっとデータが必要だ」
「そうね。あんなの見たこと無かった」
「彼女達は兵器として実用できる事を証明してしまった」
食堂で話している私達のところに、慌てた様子のリノリが走って来る。
「ヤナカ!大変よ!」
「どうした?襲撃か?」
「そう、襲撃!」
「どこだ?」
ここまでありがとうございます。
新人ちゃん達の心の痛みを捕虜に対する暴力で表してみました。
R15を越えているかもしれません。




