幕開け15
『それで、具体的に君は何をしているの!?』
『私はただ、世界を見守っているだけです。そこで、私の代わりにまた同じ過ちを繰り返さぬように、人類の中から無作為に一人選び、その選ばれた方に神の代役をお願いしています』
『…なるほどね。…あれ!?』
嫌な予感がした。
それは少女と初めて出会ったときに、聞いた言葉。
それを思い出すと、今にして思えばとても重要だったような…。
たしかあれは…
『あなたは選ばれました』
『もしかしてさ…、その無作為に選ばれた一人ってさ…』
『はい、鏡也様。あなたが神の代行に選ばれました』
『…やっぱり』
少女はまたニッコリろ笑って言った。
僕としては、寝耳に水と言った感じである。
何故僕が選ばれたのか!?
それは分からないが、この状況を推測するに、少女の言ったことは本当であろう。
『ここまでで、何か質問はございますか??』
『えっとね…、神様は生き返らないの??』
『そうですね、大変ごもっともな質問ですね。お答えします。神は生き返りません』
『…それはなんで??今も人間は信仰を続けているし、その…世界では宗教戦争なんてやってるぐらい、神様って身近なことだと思うけど??』
『神という存在は、人類の希望です。その希望を背に争いが起こるのは私としては心が痛みます』
そっか…。
神様って、人間が創りだして、そのせいで争いが起こってるんだ…。
なんか勝手だよな人間って…。
『じゃあさ、神様が干渉したらだめなの??争いはいけませんって!!』
『それは不可能です。神は居ませんし、私はこの場所から動けません』
『そっか…』
『先ほど申しました通り、神は生き返りません。それは神が望んだ結果なのです』
『望んだ結果とは??』
『神は自分を理由に争いが起きることを極端に嫌いました。そして、人類が滅びた原因というのが、先ほど鏡也様がおっしゃった、宗教戦争なのです』
『…あっ!!そっか…なんかごめんね』
『いえ、気にしないでください。神は絶望しました。しかし、それと同時に私という存在を作り、残したものがあります』
『それは??』
『希望です。この世界は人類の希望であると同時に、神の希望なのです。神を作り出したのは人類で、言わば母なのです。その母を守りたいという思いを私は受け継ぎました』
少女の一言、一言が、何か胸に刺さりそうだった。
自分という世界から見たらとても小さな存在が、地球という大きな規模で話をされたら、他人事のようにも聞こえた。
だけど、なんとなく分かることはある。
この世界はとても優しい場所であるということを…。




