鼓動1:静寂の後に
(キャンプ場へと続く道は、先ほどまでとは違って感じられた。粕美 白は、自分の手と重なる白崎 華の手の温もりを感じていた。柔らかく……けれど、確かに。彼の心臓は、まだ森の中にいる時のように激しく脈打っていた)
白崎 華:(真っ赤になった顔をマフラーに埋め、恥ずかしさと決意の入り混じった様子で白の手を握りしめる) —「白くん……もうすぐ着きます。見て、みんなあそこに……」
(焚き火の明かりの中に、仲間の10人のシルエットが浮かび上がった。二人の姿が見えると、それまでの喧騒がピタリと止まった)
高木 蓮:(元気よく爆笑し、跳びはねる) —「おいおい、誰が戻ってきたかと思えば!『極秘ミッション』からご帰還かよ! 救助隊を呼ぶところだったぜ。白、いつもより顔が青白いぞ!」
森田 大輝:(ジャケットを整えながら、観察者のような穏やかな笑みを浮かべる) —「やめておけよ、蓮。きっと現地の動植物を……ものすごく『集中的に』調査してたんだろ」
市ヶ谷 直美:(勢いよく立ち上がり、勝利を確信した笑みで指をさす) —「ちょっと全員ストップ! 手を見て! 手を繋いでるわ! 華ちゃん、白くん、やっぱりそうだったのね!」
(一瞬、全員が静まり返った。10対の瞳が、焚き火のオレンジ色の光に照らされた二人の繋がれた手に釘付けになる)
黒瀬 雪菜:(腕を組み、親友をじっと見つめる。その真剣な表情には、安堵が隠しきれなかった) —「……永遠に時間がかかるかと思ったわ。納得のいく説明を期待してるわよ、華ちゃん」
相沢 陸:(頼れるキャプテンのオーラを纏い、優しくリラックスした笑みを浮かべる) —「おっと、粕美くん……キャンプの空気が君に味方したようだね。おめでとう、白崎さん。君たちはすごくバランスのいい二人だと思うよ」
朝比奈 未来:(完璧に練習されたモデルのような笑みを浮かべているが、その瞳は二人の繋がれた手を冷ややかに分析していた) —「わあ! 白崎さんに白くん……驚いちゃった。すごくお似合いだよ。おめでとう」
粕美 あかり:(兄に近づき、悪戯っぽく楽しげな表情で) —「やるじゃない、お兄ちゃん! ついに男を見せたわね。華ちゃん、この天然な兄に付き合う覚悟はできてるかしら?」
白崎 華:(煙が出そうなほど顔を赤くして、パッと手を離す) —「あ、あわわ! 道がすごく暗かったんです! 木の根っこがいっぱいあって、白くんが躓かないように助けてくれただけで……!」
(華は素早く俯き、両手をポケットに隠した。しかし、彼女の指先にはまだ白の手の熱が残っており、その温もりが彼女を密かに微笑ませていた)
清水 海斗:(親友の肩に手を置き、守るように力強く叩く) —「……茶化すのはそこまでだ。大事なのは、二人が無事に戻ってきたこと、そして白、お前がようやく言うべきことを言えたことだ。おめでとう」
(その夜、男子のコテージ。虫の音と、仲間たちの寝息が部屋を満たしていた)
粕美 白:(暗闇の中で天井を見つめる) —「……海斗、起きてるか?」
清水 海斗:(横向きに寝返りを打つ) —「ああ。すぐには眠れないだろうと思ってた。お前の頭の中、今フル回転だろ」
粕美 白: —「まだ森の中にいるみたいなんだ。海斗……ありがとう。白崎さんと僕……付き合うことになったんだ」
清水 海斗:(小さく、誠実な笑みを浮かべる) —「分かってる。何キロ先からでも丸分かりだったよ。……それでも、お前の口から聞けて良かった。頑張ったな、白」
高木 蓮:(布団の中から、半分寝ぼけたようなしゃがれ声で) —「付き合ってるなら……俺が寝てる間に変なことすんなよ……独身にはトラウマだぜ……」
(言い終わると同時に大きないびきをかき始める)
粕美 白:(硬直し、恥ずかしさのあまり枕に顔を埋める) —「……するわけないだろ、バカ!!」
清水 海斗:(暗闇の中で声を押し殺して笑う) —「もう寝ろ、白」
粕美 白:(安らかな気持ちで目を閉じる) —「おやすみ、海斗」
清水 海斗: —「おやすみ、相棒」
完
著者ノーツ:
皆様、こんにちは!
第43章に続く「鼓動1」、いかがでしたでしょうか?
森から戻ってきた二人の繋がれた手が、すべてを物語っていました。仲間たちの温かい(そして少し騒がしい)反応は、これまでの彼らの関係性があってこそですね。
白と海斗の友情、そして蓮の安定の台無し感(笑)。
ここから二人の新しい物語が始まります。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
新しく「恋人」となった二人の鼓動を、これからもよろしくお願いします!




