第43章:その声に届いた鼓動
著者ノーツ:
皆様、こんにちは!
第43章、ついにこの瞬間がやってきました。
ずっと心の中に閉じ込めてきた想い、自分を責める内なる声、そしてあのお泊まり会の夜の真実。白と華、二人の「鼓動」がついに一つに重なりました。
今までずっと、華の背中を一歩後ろから追いかけていた白が、最後に彼女の手を取り、隣を歩き出す。このシーンを描くために、ここまで物語を積み上げてきました。
一つの大きな節目を迎えましたが、物語はまだまだ続きます。恋人となった二人に、どんな新しい日常(と、友人たちのツッコミ)が待っているのか。
ここまで応援してくださった読者の皆様に、心からの感謝を。
これからも彼らの「鼓動」を見守っていただければ幸いです!
(激しく鼓動する二つの心臓にとって、森はあまりにも静まり返っていた。足元の枯れ葉が鳴る音だけが、夜の冷ややかな静寂を切り裂いていく。華の手にある懐中電灯は微かに震え、木々の間に不安定な影を描き出していた。白は彼女のちょうど一歩後ろを歩いていた。二人の間の距離は無限に遠く、どんな橋も架けられない深淵のように感じられた)
粕美 白の心の声:(くそ……何か言え、何でもいい。この沈黙に殺されそうだ)
(『黙ってろ! 何も言うな! 話せば彼女を永遠に失うぞ!』)
(『本気で彼女のような子が、お前を好きになると思ってるのか? パン屋でのことを忘れたか? ゲームセンターでは? お前は彼女にとって邪魔なだけだ……』)
粕美 白の心の声:(……廊下で初めてぶつかった時のことを覚えてる。あの時の君は、何かから逃げている厄介な女の子だとばかり思ってた。……いつから、君が僕の世界で一番大切な人になったんだろう? どうして、君を避けようとしていた僕が、君のいない一秒なんて想像もできなくなったんだろう?)
白崎 華:(開けた場所の前で立ち止まる。手をポケットに突っ込み、暗闇を見つめたまま) —「白くん……すごく静かですね。……私と一緒に来たこと、後悔してますか?」
粕美 白: —「違う! そんなんじゃない! ただ……(声が小さくなる) ただ、空気がすごく冷たいな、と思って……」
(『嘘つきめ! 臆病者! 彼女を傷つけてるんだ。彼女を失うぞ!』)
白崎 華:(ゆっくりと振り返る。その瞳には、刺すような悲しみが宿っていた) —「嘘つき。白くん……言いたいことがあるなら……今、聞きたいです。私の隣を歩くのが『重荷』だなんて思ってほしくない。私と一緒にいるのは、そんなに苦しいことですか?」
粕美 白: —「苦しくなんてない! これを全部、自分の中に閉じ込めておくのが苦しいんだ! 白崎さん、お泊まり会の夜のことを覚えてる? 布団の上で僕たちの手が触れ合った時……僕は手を引かなかった。君が動かないように、何時間も起きて祈ってたんだ。あの時だけが、本当に君のそばにいられると感じられた唯一の瞬間だったから!」
(『やめろ! 今すぐやめろ! すべてを台無しにする気か!』)
白崎 華:(目を見開き、一歩後ずさる) —「白くん……私……あれは事故だと思ってた……」
粕美 白: —「ただの友達だって、自分に言い聞かせてきた。この胸の騒ぎを、何ヶ月も無視しようとしてきた……。でも、もう自分に嘘はつけないんだ!」
(『黙れ、黙れ、黙れ! 冗談だって言え! 嘘をつけ!』)
粕美 白:(強く目を閉じる。頭が割れそうだ) —「僕は……僕は……っ!」
(『お前は邪魔者だ! 臆病者だ! 彼女にはもっと相応しい奴がいる!』)
粕美 白:(思考を追い出すように、激しく頭を振る) —「……もう、黙れ!! うるさいんだよ!!」
白崎 華:(肩をすくめ、怯えた声を出す) —「し、白くん……!?」
(その瞬間、スイッチが切れたかのように、頭の中の声は消え去った。森の静寂が、再び現実のものとして戻ってきた)
粕美 白: —「ごめん……君に言ったんじゃないんだ。ただ……頭の中がすごくうるさくて。でも、もう消えたよ」
粕美 白:(深く息を吸う。一晩中自分を締め付けていた恐怖が、初めて喉元から消えていく) —「白崎さん……(今言わなきゃ、一生言えない)……好きです。君がいないと、僕の心臓はどうやって鼓動すればいいか分からなくなるくらい……君が好きだ」
(華は完全に硬直した。手の中の懐中電灯が震え、光が木々の間を不規則に揺らす。永遠に思える三秒間の沈黙が流れた)
白崎 華:(肩を激しく震わせ、こらえきれないしゃくりあげが静寂を破る) —「白くん……それ……それ、すごく卑怯ですよ……! 私だって言いたかったのに! 先に言われちゃったじゃないですか……!」
粕美 白:(呆然として) —「君も……言いたかったって……?」
白崎 華: —「そうです! あの夜の布団の中でも……私も起きてました!(涙を浮かべて見上げる) 白くんがいつ手を引いちゃうかって、ずっと怖くて……でも引かなかった。だから、もしかしたら……もしかしたらって……。私の独りよがりじゃないかもって思ってたのに……! 私のタイミングを奪うなんて、白くん、最低です……!」
粕美 白: —「……ごめん、タイミングを奪って。でも……もう近くにいるために寝たふりをしなくていいんだと思うと、僕は嬉しいよ」
白崎 華:(白のジャケットの袖を強く掴む) —「見ないでください……今、ひどい顔してるから。でも……離さないで。もう二度と、一歩後ろなんて歩かないで」
粕美 白:(彼女の指の下に自分の指を滑り込ませ、ついに華の手をしっかりと握りしめた。彼女の体温が、手のひらを通して脈打つのが分かる。事故じゃない。暗闇が隠しているわけでもない。これは……意志だ) —「……離さないよ。もう、絶対に」
(地面に忘れられた懐中電灯は、主のいなくなった道を照らし続けていた。キャンプ場の静かな空の下、別々に震えていた二つの心臓は、ようやく共に時を刻む術を知ったのだ。初めて……白は、華の後ろを歩いてはいなかった。二人は、隣り合って歩き出した)
第43章 最終章の終わり




