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第42章:足音の残響と記憶の重み

著者ノーツ:


皆様、こんにちは!


第42章、お届けしました。

数々の思い出が白をこの瞬間へと導いてきました。パン屋での出会い、江ノ島、文化祭、そしてあのお泊まり会……。すべてが積み重なり、一つの確信へと変わります。


暗闇の中、華に支えられたあの瞬間、白の中で何かが弾けました。

いよいよ次回、物語が始まって以来、最も大きな「鼓動」が刻まれます。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。


第43章でお会いしましょう。

(森の暗闇は完全ではなかったが、重苦しく感じられた。キャンプ場の喧騒を後にし、白と華は細い道へと足を踏み入れた。唯一の音は、足元で枯れ葉が鳴る音と、遠くで響く虫の音だけだ。白は懐中電灯の光を安定させようと必死だった)


白崎 華:(数歩前を歩きながら) —「すごく静かですね、白くん。まるで世界が、私たちのためだけに止まってしまったみたい……」


粕美 白: —「……ああ、そうだね」 (集中しろ、白。ただの散歩だ。でも……この静寂が、考えちゃいけないことまで僕に考えさせるんだ)


(足元の木の葉がこすれる音が、ふいに別の音を思い出させた)


(廊下で本が地面に落ちる音)


(不器用な衝突)


粕美 白の心の声:(あの日……僕が一言も発せぬうちに、白崎さんが逃げ去ってしまったあの日)

(木々の間を風が吹き抜け、その香りが彼の脳内で小麦粉とイーストの匂いに変わった)


粕美 白の心の声:(母さんのパン屋。カウンター越しに僕を見て、パニックに陥った彼女の瞳)


(あの日以来、二度と彼女に会うことはないと思ってた……。でも、翌日からすべてが変わったんだ)

(懐中電灯の光が、道端にある古い木製のテーブルを照らした。一瞬、白の目には木材ではなく、雨の中の喫茶店の輝きが見えた)


粕美 白の心の声:(雨の日の喫茶店。手に持った温かいカップ。白崎さんが初めて勇気を出して僕に話しかけてくれた時)


(そして、あの暗い路地裏での彼女の怯えた声。助けに入ってくれた海斗……)


(白は、木の根の上に伸びる華の影を見つめた)


粕美 白の心の声:(前は……ただ二人だけで歩いている気がしてた。でも、雪菜が現れて……世界にどんどん人が増えていった)


(記憶のフラッシュバックが脳裏をよぎる。江ノ島の燃えるような太陽……蓮と一緒に現れた直美……そして、文化祭のカオス。メイド喫茶と、僕の心臓を止めかけたあの衣装)


(冷たい風が吹き抜け、白は身震いした。懐中電灯を握る手に力が入る。一瞬、森が消えた)


粕美 白の心の声:(お泊まり会。暗い部屋。みんなが眠りについた後)


(布団の中で……僕の手を探し当てた彼女の手の温もり。どのタイミングで指が絡み合ったのかさえ覚えていない。ただ……目が覚めた時、そこにはまだ彼女の手があった)


(キャンプに来てからも……料理の時に僕を気遣ってくれた……)


(どんな思い出を振り返っても……)


(そこには、いつも白崎さんがいる)


(……)


(いつも……)


(たぶん……ずっと前から分かってたんだ。海辺でも、喫茶店でも……あの廊下を走る彼女を見た時から)


粕美 白の心の声:(僕は……)


(自分の思考に没頭するあまり、白は道に突き出た木の根に気づかなかった)


粕美 白: —「う、うわっ!」


(視界が急激に回転した。バランスを崩し、懐中電灯の光が木々を乱反射させる)


(地面に叩きつけられる寸前、予想外の力で腕を掴み上げられた)


(目を開けると、華の顔が数センチ先にあった。彼女の髪が白の頬をかすめる。彼女の荒い呼吸が伝わってくる。自分を支える彼女の手の熱。白の心臓は、彼女に聞こえてしまうのではないかと思うほど激しく脈打っていた)


白崎 華:(白を支え、瞳に懐中電灯の光を反射させながら) —「白くん! 気をつけて! 怪我しちゃうところでしたよ」


粕美 白: —「ご、ごめん……白崎さん……ちょっと考え事をしてて……僕は……」


(二人はそのまま固まった。薄暗闇の中、時間だけが引き延ばされていく。二人の距離が、どんどん近く、危険に感じられた)


白崎 華:(腕を離さず、慈しむように見つめて) —「白くん……すごく真剣な顔。何かあったんですか? また気分が悪くなっちゃった?」


粕美 白: —「何でもない……ただ……ちょっと昔のことを思い出してただけなんだ」


(華はもう数秒、彼を見つめてから、ゆっくりと腕を離した)


白崎 華: —「驚きました。料理の時のように、また目眩がしたのかと思って」


粕美 白: —「大丈夫だよ、本当に。行こう、白崎さん」


(白は再び懐中電灯を掲げ、暗い道を照らした。冷たい金属の上の指は、まだ微かに震えている)


(けれど、歩きながら、一つの思いだけがかつてないほど強く頭の中で繰り返されていた)


粕美 白の心の声:(伝えなきゃいけないんだ)


(明日じゃない)


(キャンプが終わった後でもない)


(今なんだ)


(今言わなきゃ……二度と勇気が出せない気がするから)


つづく



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