第20章:幕が上がる:夏祭りの始まり
(コンフェッティキャノンの轟音と、何百人もの生徒たちの拍手が祭りの公式な幕開けを告げた。私立星空高校は完全に姿を変えていた。かつての無機質な灰色の壁は、色とりどりのガーランドや風船、手書きのポスターで隠されている。空気は音楽と笑い声、そして校舎の隅々まで漂う焼きそばや甘い菓子の香ばしい匂いで震えていた)
先生:(スピーカーを通じて)「全クラスに告ぐ!これより、クラス対抗の公式コンテストを開始する!優勝賞品は全額負担のペア旅行チケットだ。エネルギーを出し惜しみするなよ。各自の持ち場につき、最高の戦いを見せてくれ!」
(廊下は、押し寄せる人々で凄まじい混雑となっていた。2-Bの区域では、メンバーたちが急ぎ足で準備の最終確認を終えようと、活気ある声を掛け合っていた)
森田 大輝:(カウンターに寄りかかり、苦戦している友人を見てニヤリと笑う)「おいおい、白。そんな風にエプロンと格闘してたら、そのうち自分で自分の首を絞めることになるぞ。リラックスしろよ、祭りは始まったばかりだ」
粕美 あかり:(結び目と戦っている兄の脇腹に強烈な肘打ちを食らわせる)「ちょっと、その顔は何よ!白お兄ちゃん、トラックのライトに照らされた鹿みたいな顔してるわよ!もっとリラックスしなさい。お祭りは楽しむものであって、昼前に行き倒れるためのものじゃないんだから」
粕美 白:「おい、茶化すなよあかり!これが真っ直ぐになるように頑張ってるんだ。誰かが真面目にやらないと、あの旅行には手が届かないだろ」
森田 大輝:「ああ、『責任感』ね……。だから誰かが通りかかるたびに、10分間も2-Aの入り口をチラチラ見てるわけか。責任感っていうのは、あんなに顔を赤くさせるものだとは知らなかったよ、白」
粕美 あかり:(満面の笑みを浮かべて)「もう、いい加減にして!2-Aに行くのが緊張して死にそうなんでしょ。今すぐ動かないなら、私一人で行って『うちの兄は臆病者です』って皆に言いふらしてくるわよ!」
(散々迷った末、粕美 白は自分の教室を抜け出した。2-Aに近づくと、ドアの前には生徒たちの小さな列ができていた)
生徒1:「おい……こんなに待つ価値あるかな?」
生徒2:「当たり前だろ!2-Aの女子は全員メイド服を着てるらしいぜ」
生徒3:「接客してる明るい髪のあの子、めちゃくちゃ可愛いよな……。あの子を見るためなら、1時間待ってもいいくらいだ」
粕美 白:(拳を握りしめ、胸が締め付けられるのを感じながら)「(どうしてこんなに緊張してるんだ? ただカフェを見に来ただけだ……デートとかそういうんじゃない……だろ? それに、華さんをそんな風に見るなよ!)」
「(どうして、今の声を聞いてこんなにイライラするんだ……?)」
(敷居をまたぐと、廊下の喧騒は消え、穏やかなピアノの音色と芳醇なバニラの香りが広がった。何人かの女子生徒たちが接客していたが、白の瞳は、必然的にただ一人の人物へと吸い寄せられた)
雪菜:(注文を取りながら彼を見つけ)「あら、誰かと思えば! ようこそ楽園へ、粕美くん。混み合う前に早く中に入って、席を見つけなさいな。――3番テーブル、準備完了! ストロベリーパフェ追加一点!」(リズムを崩さず厨房へ叫ぶ)
(白は窓際の小さな席に座った。心を落ち着かせようとしていたその時、よく知る影がゆっくりとテーブルに近づいてきた。歩くたびに、彼女が持つトレーが微かに震えている)
白崎 華:(上ずった声で、激しく頬を染めながら)「お、お帰りなさいませ、ご主人様……じゃなくて、カフェへようこそ! ご来店いただけて光栄です。その……ゆっくり、くつろいでいってくださいね」
(白が視線を上げると……一瞬、周囲の雑音が完全に消え去った。息をするのを忘れた。華は、息を呑むほど綺麗だった。白いエプロンの付いた黒いドレスが、彼女のシルエットを際立たせている。髪に飾られた小さなカチューシャが、彼女を別世界の住人のように見せていた)
粕美 白:「……(心臓が胸から飛び出しそうだ。一瞬、世界に僕ら二人しかいないみたいだった)」
白崎 華:(彼が何も言わないのを見て、恥ずかしそうにエプロンの端を握りしめ、視線を落とす)「白くん? どうかした……? さっきからずっと話しかけてるのに、置物みたいに固まっちゃって。喜んでくれるかなって思ってこれ着たんだけど、そんな風に見られると、恥ずかしくて溶けちゃいそうだよ。私には派手すぎたり、変に見えたりしないかなって、少し不安で……。本当、私、変じゃないかな? 何か言ってよ、怖いよ……!」
粕美 白:(我に返り、勢いよく立ち上がって思わずテーブルを叩いてしまう)「そんなことない! いや、そうじゃなくて! つまり……変なんてとんでもない、最高に似合ってるよ!」
「(クソ、落ち着け白! もっと普通に喋れ!)」
「本当に綺麗だ、華さん! 秋葉原のプロのメイドさんか、それ以上だよ。君を見た瞬間、この教室全体がもっと輝いて見えた……。ただ、見惚れて言葉が出なかったんだ。……本当に、綺麗だよ」
(その言葉を聞くと、華は幸せに満ちた笑みを隠すように視線を下げた。指先が恥じらいとともにエプロンをぎゅっと握る)
白崎 華:(瞳に特別な輝きを宿して)「本当に、そう思ってくれるの? 良かった……! すごく怖かったけど、一番に『似合ってる』って言ってくれたのが白くんで、本当に嬉しい。……精一杯、おもてなしするね!」
(近くの席から、雪菜と、いつの間にか潜り込んでいたあかりがその光景を観察していた)
粕美 あかり:(ひそひそ声で)「見てなさいよ……。フリーズしちゃってるわね」
雪菜:(クスクスと笑いながら)「粕美くん、完全に機能停止しちゃったみたいね」
粕美 白:(新しい活力を得て歩き去る華の背中を見送りながら)「(お祭りはまだ始まったばかりだ。……でも、明日の『男女混合ペアレース』では、僕の心臓は足よりもずっと速く走ることになりそうだ)」
第20章 完結
著者ノーツ:
皆さん、こんにちは!デイナー・アルビス(Deiner Alvis)です。
学園祭の幕開け、楽しんでいただけたでしょうか? 今回の物語の中でも、私自身特にお気に入りのアークの一つです。授業中の日常とは違う、非日常的な環境での華と白の姿をようやく描くことができました。
正直に言うと、メイド喫茶のシーンを書くのは一つの挑戦でした。二人の「何を言えばいいか分からないけれど、瞳がすべてを語っている」という純粋な緊張感を伝えたかったんです。華のメイド姿、いかがでしたか? 心臓が止まるような思いをしたのは、きっと白だけではないはずです!
お祭りはまだ始まったばかり。明日の「男女混合ペアレース」は、二人の足だけでなく、その想いも試されることになりそうです。いつも応援ありがとうございます!




