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第53話 王都で勇者と遭遇
~称賛に疲れた勇者と、ゆるやかな午後~
昼下がりの王都。七海は春祭りの余韻を楽しみつつ、ちょっと気になる喫茶店に入った。お気に入りのハーブティーを注文し、窓際でゆっくりと過ごす。
しかし、入口のドアが勢いよく開き、見慣れた鎧姿の青年が入ってきた。
「……あ、勇者さん?」
七海が小さく息を呑むと、勇者は肩を少し落としながら、疲れた表情で店内を見回した。
「……」
勇者は、ここ最近王都の人々から連日のように称賛され、持てはやされ続けてきたらしい。そのせいか、表情はどこかくたびれ気味で、微笑みも少し固い。
七海は、軽く肩をすくめつつ心の中でつぶやく。
「世界を救う人って、毎日褒められすぎて疲れるのね……」
勇者はため息をひとつつき、店員に向かって注文する。
「紅茶を……ええと、静かに一息つければ……」
七海は微笑みながら席に戻り、そっと勇者の疲れた肩を見やる。
「まあ、今日くらいはゆっくりしてもいいのよね」
窓の外では、王都の人々が行き交い、祭りの余韻がまだ残っている。
勇者は少しだけ気を抜き、カップを手に取り、ゆるやかに息をついた。
「……こういう午後が、たまには必要だな」
七海はその横顔を眺めながら、今日も自分のほのぼの異世界ライフを静かに楽しむのだった。




