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第54話 戦いたくない魔王と王都の午後

~魔王もただの人?のんびり顔で過ごす日常~

王都の広場に、ひそひそとざわめきが広がる。

「魔王が来ているらしい……」


しかし、現れた魔王は、黒いマントや赤い瞳の威圧感とは裏腹に、どこかのんびりした雰囲気を漂わせていた。手には小さな紙袋を持ち、街の露店を眺めながら歩いている。


七海がカフェの窓からちらりと見ると、魔王は店先で立ち止まり、迷子の子猫を見つけてそっと抱き上げていた。


「……あれ、戦うつもりはないのね」


広場の人々は魔王に怯えて後ずさりするが、魔王本人はまったく構わない様子。むしろ、少し困った顔をしてつぶやく。

「いや……戦うのは面倒だ。せっかくの午後なんだ、静かに過ごしたいだけなのに」


七海は心の中で小さく笑う。

「戦わない魔王……世界が滅びなくて、私にはちょうどいいわ」


すると、魔王は子猫をそっと返し、露店で小さなスイーツを買って頬張る。周囲の緊張が少し和らぐ瞬間。


「まあ、世界を脅かすよりも、お菓子を楽しむ方がずっと平和的だよな……」


七海は再びハーブティーを口に運び、静かに窓の外を眺めた。

「魔王も勇者も、戦わない午後なら、私のゆるゆるライフの邪魔にはならない……」


王都の午後は、戦わない勇者と戦いたくない魔王、そして七海の小さなチートによって、ほのぼのと静かに流れていった。

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