第51話 タップダンスと猫
~リズムとモフモフの二重奏~
七海が森の小道を歩いていると、どこかから「カツ、カツ、カツン!」と小気味よい音が聞こえてきた。
「……ん? こんな森の中で工事でもしてる?」
首を傾げつつ近づいてみると、広場の真ん中で――なぜか黒猫が二本足で立ち、タップダンスを踊っていた。
「ニャッ♪」
軽快にステップを踏む猫は、ピカピカのタップシューズを履いている。
いや待って。猫に靴って……誰が履かせたの!?
村人A「……うちの倉庫から靴が消えたと思ったら」
村人B「猫が勝手に練習してたんだな」
七海「……自給自足にも限度があるでしょ」
猫はお構いなしに、くるくる回転しながら高速ステップ。
その場に居合わせた村人たちは「すげぇ……」と拍手喝采。
するとそこへ、例の女神コンビが登場する。
やたら明るい女神「七海ちゃん! 見て見て! 猫ちゃんの笑顔が足りないよ!」
パリピ女神「ノリも足りないよ! もっとスポットライトとDJブース置こうぜ!」
七海「いやいやいや!!! 猫はもう十分楽しんでるから!!」
猫「ニャーー!」(※シャカシャカステップ)
女神二人が勝手に舞台を設置し、森の広場は即席タップショー会場に。
観客の村人、踊る猫、煽る女神――そして、頭を抱える七海。
「……せっかくだから私の宿屋で落ち着いて――」と一瞬思ったが、すぐに打ち消す。
「いや、あれは“私専用”だから。舞台貸し出しとか、絶対しない」
結局その日、猫は女神たちのノリに巻き込まれながらも華麗なアンコールを披露。
七海は猫を抱き上げ、ぽつりとつぶやいた。
「……戦わないって決めたけど、私の平穏まで戦場になるとは思わなかったなぁ」
猫「ニャッ」
七海「うん、そうだね。とりあえず今日はモフモフ充電して寝よ」
宿に戻り、ふかふかの布団に猫を連れ込みながら――私の一日はやっぱり、救わないけど誰かに巻き込まれるみたい




