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第50話 しゃべるキャベツ畑
~おしゃべりは止まらない~
七海が道を歩いていると、丘一面に広がるキャベツ畑が目に入った。
近づいてみると――
「おや、新しい人だ!」
「こんにちはー!」
「今日はいい風ですねぇ!」
……キャベツが、しゃべっている。
七海は思わず足を止めて目をこすった。
「……私、疲れて幻聴でも……?」
畑の真ん中に腰を下ろすと、キャベツたちは一斉に話しかけてくる。
「ねぇねぇ、この葉っぱ、今日ちょっとつやつやじゃない?」
「私の丸み、どうですか?」
「最近カタツムリが来なくて寂しいんですよ」
七海は「いや、知らないけど……」と苦笑しながらも、相槌を打つ。
近くに住む農夫がやってきて、肩をすくめた。
「すまんな、ここは“おしゃべりキャベツ”が採れる畑なんだ」
「……普通に受け入れてるんですか」
「まぁ害はないしな。ただ、あんまり話を聞いてると日が暮れるぞ」
案の定、七海はキャベツたちのおしゃべりにつき合いすぎて、気がつけば夕暮れ。
キャベツたちは口々に「また来てね!」「次はもっと面白い話あるよ!」と見送ってくれる。
七海は苦笑しながら畑をあとにした。
「……あれ絶対、世間話に一日費やすやつだわ」
丘を下りる途中、七海はぽつりとつぶやいた。
「でも……あんなに楽しそうなら、また来てもいいかも」




