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建築知識とスキルで爆速リフォーム!〜今夜の雨漏りを防げ〜

「ゴレム、その一番でかい石材はそっちの壁際に寄せてくれ! ドミノ倒しみたいに崩れないよう、平らな面を下にして積むんだぞ!」


『フォーン!』


ゴレムの力仕事は完璧だった。


人間なら四人がかりでも動かせないような巨大な石柱の破片を、まるで発泡スチロールか何かのように軽々と持ち上げ、指示通りに整理整頓していく。


ゴレムが瓦礫を片付けてくれたおかげで、小一時間もしないうちに神殿の中央広間はすっかり見違えるほど広くなった。


「よし、床は見えた。次は……本丸のフレームだな」


俺は崩れ落ちた天井の見上げる。


屋根の約三分の一が吹き抜け状態になっており、青空がよく見える。


天気がいい今はいいが、空の端にはどんよりとした灰色の雲が近づいていた。雨雲だ。あと数時間もすれば、確実にここへ雨が降り出す。


「雨漏りどころか、土砂降り直撃コースだな。急がないと」


俺は腰のツールポーチからコンベックスを引き抜くと、シャキンと目盛りを伸ばして壁の厚みや柱の配置を素早く測りはじめた。


「目視と計測完了……よし、【構造解析】」


【対象:古代神殿・主祈祷室(大空間構造)】

構造理解度:極めて高

損傷個所:

・主桁(メインビーム)の折損による屋根構造の全壊

・外壁石材の接合部(目地)の風化による隙間風

・崩落原因:経年劣化による耐震強度の低下


脳内に、神殿全体の3D設計図がワイヤーフレームで展開される。


赤くハイライトされた欠損部分。だが、構造のロジックさえ分かってしまえば、あとは簡単だ。


「この神殿、石造りだけどアーチ構造とトラス構造(三角形を組み合わせた補強構造)を組み合わせて荷重を逃がしてるんだな。古代の建築家もいい仕事してるじゃないか。構造が分かれば……直せる!」


俺は部屋の隅に積まれた、ゴレムが運んでくれた瓦礫に歩み寄った。


「まずは、崩れた資材の再利用からだ——【素材還元(デコンストラクト)】!」


手から放たれた光が、粉々に砕けた石くずやコケの生えた石板を包み込む。


ひび割れて風化していた石材が、まるで時間が逆再生されるように結合し、加工されたばかりの滑らかで頑丈な石ブロックへと姿を変えていく。


【素材還元】成功

風化石片 ➔ 加工済・高密度古代石材×50


「よし! 資材の準備は整った。ゴレム、行くぞ!」


『フォーン!』


「削り出された新しい石を、俺が【事象復元(リペア)】で接合する! トラスの荷重線に合わせてぴったりハメ込んでいくぞ!」


俺はゴレムの肩に乗り、天井の欠損部分へと一気にアプローチした。


ゴレムが巨大な石材を持ち上げ、俺がその位置を微調整する。


寸分の狂いもない位置に石が収まった瞬間、俺はスキルを発動させた。


「——【事象復元(リペア)】!!」


バチバチッと青白い光のスパークが走り、石と石の接合部が目に見えないレベルで完全に分子結合されていく。ひび割れていた主桁が元のまっすぐな一本柱へと戻り、アーチ状の屋根が音を立てて組みあがっていく。


『ゴゴゴゴゴ……ッ!!』


神殿全体が心地よい振動に包まれ、抜け落ちていた天井が、まるで最初からそうであったかのように完全に塞がった。


「ふぅ……! 仕上げに外壁の隙間を埋めて、風をシャットアウトだ!」


壁のひび割れ部分に手を滑らせ、目地の風化を【部分復元】で埋めていく。


作業を終えて地面に飛び降りた瞬間。


ポツ、ポツ……ザアァァァァァ……!


外から、激しい雨の音が響き渡った。

だが、神殿の中には一滴の雨も落ちてこない。隙間風の音すら消え去り、驚くほどの静寂と安心感が空間を包み込んだ。


「よしっ! 雨漏り完全ストップ!」


俺はゴレムと顔を見合わせ、ガシッとハイタッチを交わした。


「天井と壁は直った。雨風もしのげる。さて……次はぬくぬくと温まれる『暖房』と『ベッド』の確保だな!」


外の土砂降りを余所に、俺の快適リフォーム作戦はまだまだ始まったばかりだった。

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