第九話:祈祷師の言うコト
「こういうときは、やっぱりパメラさんやね」
母が意気揚々と言う。
母のパメラへの信頼は、厚い。
しかし、関西から引っ越して半年である。
母はパメラに逢いに関西まで行く気満々である。
JR時刻表で新幹線の時刻を調べはじめている
「おい、もう半年たつんやし、パメラいるか電話しといたほうが
いいんちゃううか」
父の提案で、まず、パメラが占いをしているデパートに問い合わせて
みることにした。
そして、母の悲痛な声
「うちら困ってるんですよ。なんとかパメラさんの連絡先だけでも
教えてもらえませんか」
パメラの部屋は、撤去済でパメラは関西のデパートで占いを
していないのだという。
電話対応したデパートの係の女性は
次の行く先も連絡先も、教えられないの一点張り。
途方に暮れた私たちは、電話帳のタウンページをめくり
占いの欄にあるところに片っ端から電話をした
・霊視をしてくれる
・除霊をしてくれる
そしてやっと1件みつかった。
玄関のチャイムは、一度しか鳴らなかった。
父が出ると、低い声で名乗るのが聞こえた。名刺を持った、思っていたよりも普通の男の人が、居間に通された。
ヨシコは、もっといかにもな格好をした人を想像していたので、拍子抜けした。スーツでも作務衣でもなく、地味なシャツにズボン。首から提げた数珠だけが、少しだけそれらしかった。
「まず、家の中を一回りさせてもらっても、よろしいですか」
祈祷師を名乗るその人はそう言って、廊下を歩き、台所をのぞき、最後に神棚の前で立ち止まった。
「ここですね」
神棚の前に座り込み、しばらく黙って天井を見上げる。何をしているのか、ヨシコには分からない。ただ、居間の空気がじわりと重くなっていくのだけは感じた。
「この家は、もともとの神社への参道に重なっています」
静かな声で、祈祷師は言った。
「参道、ですか」
母が聞き返す。
「はい。もともと神さまにお参りする道だったところに、いまは家が建っている。そういう場所には、すがる霊が集まりやすいんです」
ヨシコは思わず、さっきまで通ってきた廊下を振り返った。昼間なのに、奥の方がやけに薄暗く見えた。
「家の中で起きていることも、その霊たちが起こしている可能性はあります」
母と父が、同時に小さく息をもらした。




