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別の世界で新たな生を望みますか?と、問われた俺の物語  作者:


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5 レックス登場

 誘拐騒動の後は、アレンと二人で爺様の魔法講義を受けるようになった。

 アレンは魔法を発動させてから、随分と自信も付いたみたいだ。


「テリュースよ、明日よりアレンと共に護身術の鍛練もさせようと思う。今後も何があるか判らぬし、覚えておくと良いだろう。朝食の後、騎士団駐屯地へ向かいなさい。指南にはバーンズ隊長が当たってくれる」

「はい、お祖父さま」

「テリュース、明日は一緒に行こうね!」

「あー、うん」


 そうだなぁ、今後も無いとは言えないもんな。

 縄抜けは欲しいかも!


 そして翌朝。

 アレンと朝飯を食べてから、騎士団駐屯地に一緒に向かう事になった。

 もちろんアレンは護衛二人を引き連れている。


「そういえばさ、テリュースはフィーネ叔母様に会いに行ったりしてるの?」

「──誰?」

「え、テリュースの母上だよ!」

「初めて聞いたわ、会った覚えないし。まだ生きてるんだ?」

「ええぇ?!まだご存命のはずだよ、父上の妹君だから死ぬようなお歳ではないし!ただ、修道院にいらっしゃるから、頻繁にはお会い出来ないと思うけど」

「そうなんだ、何かやらかした人?」

「ちょっ……違うよ、たぶん。──詳しくは知らないけど、ご自身で神に奉仕する道を選ばれたとか」

「ふーん、それで?」

「いや、もういいよ。何かごめんね」

「何で聞いたし?」

「──えーと、その。鍛練指導のバーンズ隊長とは会った事あるのかな?」

「ないと思うよ」

「そっか………バーンズ隊長は美人でね、そういえばタイプは違うけどフィーネ叔母様もお綺麗だったなぁって……僕が4才の時に会ったの思い出して……」

「アレンは年増が好き、と。──バーンズ隊長って女なのか」

「もうっ!そんなんじゃないから!──ちょっと、テリュース聞いてるの?!!」


 駐屯地は砦に隣接してるので、歩いて向かいながらアレンと喋ってた。

 まぁ俺も、前世の歳が歳だし30過ぎでも許容──

 あれ?

 前世の俺って、死んだ時何歳だったっけ?

 ──というか、歳どころか名前も思い出せなくなってる事に今気が付いた。



◇◇◇



 そして、駐屯地入り口。

 波打つ金髪を靡かせた美女が待っていた。

 恐らく20後半くらいの紫の目が知性的なかっこいいお姉さん!しかも、エロい!

 何がエロいって、フトモモが!男性騎士と同じズボンの太腿がぱっつんっとしててきっとムチムチ──!!

 アレンの審美眼は確かだったよ!


「アレン様おはようございます。そして、テリュース様ですね?お初に目通りします、シルーニア・バーンズと申します。こちらの駐屯地にて、新兵育成の任を賜っております。よろしくお願い致します」

「おはようございます、バーンズ隊長」

「是非よろしくお願い致しますっ!!」

「…………変なヤツがいる」


 アレンと並んで、勢いよく美フトモモ様に頭を下げれば、バーンズ隊長の背後に胡乱な目を俺に向け、黒髪を肩くらいの長さで結んでるガキが居た。

 確かにちょっと息は乱れて、顔が熱いからたぶん赤いとは思うけど!!

 変って何だよ、つ~か誰だよ!このガキっ!


「コラっ!レックス、無礼だぞ。謝罪しなさい!──申し訳ありませんテリュース様」

「え──でもホントに変…………」

「………では、レックスは家に帰れ」

「ちっ、分かったよ、母さん。──失礼しました!」


 …………はいっ?母さん?

 この黒髪のガキんちょは、金髪フトモモ様の子供さん?

 この世界は、父親の血筋が色濃く出るらしいので、レックスの父親が黒髪なんだろうとは思ったけど。

 思わずアレンを見れば、アレンもこいつとは初見なのか目をパチクリさせていた。


「申し遅れました、これは5才になる私の息子レックスです。ご隠居様のお許しを得まして、本日よりお二方とご一緒させて頂きます。よろしくお願いします」

「──レックスです。よろしくお願いします」

「はい、よろしくねレックス」

「よろしく」


 挨拶のあとはバーンズ隊長の指揮の元、お子様3人で柔軟やら敷地内でマラソン大会やらさせられた。

 まずは体力造りなんだと。

 合間で個別に護身術の指導が入った。

 敷地内の見える範囲には、新兵も居て剣の鍛練をしている。

 見ていると羨ましい気持ちにはなる、剣と魔法はロマンがあるし!

 だけど、俺達子供にはまだ剣の鍛練は早いらしい。

 子供の内から筋肉を付け過ぎ絞り過ぎれば、骨が成長できず背も伸び難くなるとか。

 うん、チビのままは困るな。

 何しろお子様3人の中では俺が一番チビなのだから!!


「テリュース様よ、俺の母さんを変な目で見ないでくれます?」

「俺が見ているのはフトモモだけだよ」

「ちょっ、テリュース落ち着こう?ね?」

「──チビのくせに色気付くとか(小声)」

「聞こえてんだよ、とっとと家に帰れよ!何で付いてきてんだよ!」


 鍛練が終わって、砦内に戻り始めた所でレックスが絡んできた。

 鍛練中も、俺がフトモモ様にきゅんきゅんしてたのが気に食わないのか、レックスはずっと舌打ちしまくってた。見るくらいいいだろ減るもんじゃないし!

 何だよレックスはマザコンかよ。


「───今日から、俺は砦に住み込みでテリュース様の従僕見習いなん……です」


 レックスはすっげー嫌そうに、顔を逸らして呟いた。

 俺の従僕見習い?聞いてないぞ爺様!


「て、ゆーかさ。嫌なら家に帰れよ、断れよ」

「テリュース、もう少し言い方を……」

「───我慢して、励みます」

「我慢って何だよ!俺が嫌だよ──!!」


 その後急いで砦に戻り、ちょうど昼飯で食堂に居た爺様に詰め寄った。


「お祖父さま、従僕って何ですか?」

「──従僕は男性の召使いの事だな。それがどうした?」

「え、いえ!そうではなく、あのレックスを僕の従僕見習いにってどういう事かと……」

「ああ、バーンズの息子の事か。シルーニア・バーンズは王都の近衛騎士団分隊長まで務めた女だ、出産で職を辞し今はまたここの駐屯地で任に復帰した。その父親も、王都の騎士団団長を務めたことで私とも面識もある。素性に関しては問題ないと思った点から預かる事にした。まだ幼い故に従僕見習いだが、いずれは侍従にしても良いと考えている」

「──と、いうかその、何で僕に付けるのかと……」

「何か問題があるのか?お前は侍女を振り切り逃げてやんちゃをする。ならば、歳の近い者に監視させようと思ったのだが?」

「マジか?!──あ、えと、問題があるのは僕ではなく、レックスの方でして………」

「──そうなのか、レックス?」


 俺に付いてきて、後ろに控えて居たレックスに爺様が視線を向けた。


「──いえ、ご隠居様。私は砦に迎えて頂き感謝しております。何の問題もありません」

「そうか、レックスよ。まずは砦の生活に慣れ、雑務を学びなさい。──テリュース、問題は無いようだが?」

「…………そのようですね」


 ガクリと肩を落とす俺だった。



◇◇◇



「テリュース、あのね。今日、王都で国王陛下の誕生祭があるんだ」

「そうなんだ」


 翌朝。

 駐屯地にて。体力造りで走りながら、アレンが喋りだした。

 王都の祭りか、けど誘拐騒動の後だし連れて行っては貰えないだろうなと考えていた。


「──それでね、ご即位5年目の節目だから、今年は盛大な花火を打ち上げるんだって!ここの砦からもギリギリ見えるらしいんだ、テリュースも一緒に見たいよね!」

「あ──爺様が、許してくれたら、かな」

「そうだね、お祖父さまに伺ってみよう!」

「うん………アレンに任せるよ」

「え、何で?一緒にお願いしようよ」


 監視塔に登って、デカ鳥切り刻んだ件で、俺は爺様から砦の高所は侵入禁止にされている。

 アレンが爺様にお願いすれば、イケそうな気はする。


「あ、レックスも一緒に見るかい?」


 俺達の後を、黙々と走っていたレックスにアレンが振り返った。


「──いえ、俺は夜に別の鍛練があるので………」

「え?夜に?」

「何それ、聞いてないけど」

「ご隠居様のご指示だから、俺からはお話できません。なので夜は無理です」


 意外な事実に目が点になる俺だった。

 爺様、コイツに何させてんの?




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