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別の世界で新たな生を望みますか?と、問われた俺の物語  作者:


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22 波乱・屋外実習

 気を引き締めてダンジョンのゲートに触れて、視界が切り替わった。そこは、入り口広間のような感じだ。このダンジョンは石畳に石壁の天井も石と、そんな感じのようだ。

 そしてダンジョンに挑むパーティーは、俺達が最後だ。が、その広間の直ぐ先で、随分前に行った筈のクリスティーナと男爵令嬢が待ち構えていた。他のパーティーメンツは居ないようだ。


「やっと来たぁー、遅ぉい!」

「何で居るの?」

「んー、どうせなら近くで格好良い所見る方がいいってエニードが言うからぁ、そうよねぇって思ってぇ」

「ああ、そう………」


 仕方ないので、少し離れてアレンの音遮断の魔導具を使って打ち合わせをする事にした。

 幸いアレンの魔導具のリュックに入れてあったとか。


「思いっくそ乗せられとるやん。あのオタク女」

「まあ、近くで動向を監視できると思えば………」

「エニードっていうのが例の?」

「そうです。茶髪の編み込みが、例の男爵令嬢です」

「スンとした感じが可愛いのに賊かぁ」

「サルエル、状況考えましょうか」

「はいはい、堅いよなイザークは」

「基本的に監視は私とレックスが致しますので、若様や殿下方はできるだけ離れ過ぎ無いようお気を付けくだされば宜しいかと」

「ああ、頼りにしているよ。シウス」

「回復ポーションや魔力ポーションが必要になれば、遠慮なく言って欲しい。私の魔導具リュックにはそれなりの量が入っているから」

「助かります、イザーク殿下」

「さすが聖王国、薬剤の国だ。あ、食い物は僕に任せてくれ。農業国家は伊達じゃ無いぜ」


 全く打ち合わせにはなってないが、とりあえず進む事にした。クリスティーナの顔が苛ついているし。


「もぅもぅ、内緒話とか感じ悪いぃー」

「はいはい、もう行くよ」


 ちなみに俺の背後では小声の会話が進行している。


「はぁ、面倒臭い女や」

「でも巨乳はイイと僕は思うぞ」

「俺はデカいのはイマイチやな、あれ脂肪やで圧迫感があるし。俺は手の平に収まるぐらいがええなぁ」

「二人とも、品が無いですよ」

「イザークは堅いよな、ホント」

「下も硬いんなら女には喜ばれるやん」

「失敬なっ!オスカー殿下!」

「マジお堅いんやな、悪い悪い」

「ほう、じゃあ経験豊富か?オスカー殿下は」

「え?あ、いや。ま、まあな」

「狼狽えるとか嘘臭いぞ、オスカー殿下」

「うるさいわっ!」

「──うるさいのは、オスカー殿下ですよ!」


 盛り上がるオスカーとサルエルに、お堅いイザークという組み合わせ。

 会話を聞きながら、見事に趣味は別れているなと俺は思った。俺はフトモモ派だ!


 そんな、緊迫感のない一行が進む。



◇◇◇



 最初の入り口広間から出ると、少し広めの通路が続いていた。そして、その前方に小型の魔物が数多く飛んでいるのが見て取れる。

 よく見ずに俺は魔法を放った。


「『鑑定』」

───────────────────────

 キラービー    Lv 10 主属性・風

 HP 900/ 900   Skill

 MP 400/ 400   毒針・小

─────────────────────

 警戒レベル・白とザコだ。

 だが、羽虫も虫唾が走る俺が居た。


「底レベルダンジョンだから、魔物のレベルは低いが数が多い、毒針に注意しろ!」


 目につく蜂の魔物は10は居る。

 ザコでも数が居るとウザい。

 しかも、虫というだけで寒気がする!


「僕に任せてなっ!」


 背負っていた魔導具リュックから槍を出したサルエルが、明るい茶短髪をなびかせてそのまま突っ込んで行った。

 続いてオスカーも魔導具リュックから何か出した。

 ていうか、王族みんな魔導具リュックかよ!

 俺にもくれっ!


「武器国家、舐めるなや!唸れウージー!」


 オスカーが朱赤色のポニテを振り乱し、サブマシンガンの乱射を始めた。なるほど激情。

 ミリタリー系のそっちのオタクか!

 見ている内にザコ斉射は終了していた。

 一匹だけ倒したサルエルが不満そうだった。


「歯応え無いやん」

「まあ、ザコは任せた」


 虫は任せておこう。いいメンツだ。


「有難い事です」

「ちょっとぉー、オスカー!レックスが目立たないでしょーっ!」


 しばらく進むと脇道があった。

 雰囲気的に、脇道は行き止まりのような気がする。


「宝箱とかあるかな?」

「このレベル帯だと、在っても大したもの出なさそうだけどなぁ」

「ちょっとぉー。そっちは宝箱が在るだけだから、早く進もうって言ってるよぉーっ」


 それ、男爵令嬢がだろ!


「明らかに、ダンジョン内の事を事前情報として持っていそうだね」

「進ませたい何かが、在るんだろう」

「この先、警戒を強めます」


 俺はアレンとレックスに肯くと、先へ進む事にした。


 通路の先は部屋のようになっているのか、入り口部分から奥は暗くてよく見えない。


「『暗視』」


 足を踏み入れる前に、レックスが奥を警戒する。

 しかし人の気配は無いようで、レックスが振り返りシウスさんも肯く。


「『警戒・対魔』」


 そして念の為、害ある魔法の罠を発見する魔法を俺が唱えた。瞬間。

 背後から舌打ちと共に、黄茶色の地の魔法陣が広がり魔法が発動された。


「『地隆』」

「『銀の、其の害魔を逸らし防ぐは護りの盾──守護結界・対魔』」


 咄嗟に対魔法障壁を展開したけど、詠唱の分遅かった。

 小部屋の入り口部分に居た俺とレックスはともかく、何故か覗き込むように俺の後ろに居たイザークと共に地隆の凄まじい勢いの岩の先端に押されて小部屋になだれ込む事に。

 俺とレックスは問題ない。爺様の御守りが発動するのを感じた。けど、イザークは魔法が間に合ったか分からない。

 更に倒れ込む小部屋の地面には、魔法の罠が光っているのが視界に入った。銀の魔法陣が広がる。

 転移魔法だ!──避ける事も出来ずに、俺達は罠の転移で何処かに飛ばされたのだった。



◆◆◆ side アレン・ウィルクス・ヴァレリウス



 小部屋の中をテリュースとレックスが確認する様子を、アレンは他の者と少し離れて見ていた。

 イザークだけは自国の有事による責任感からか、近くで確認したかったように見えた。

 そうして、テリュースが罠を発見する魔法を唱えたその刹那。──クリスティーナと共に居た、件の男爵令嬢が舌打ちと共に、地の魔法陣を展開し初期魔法の地隆を無詠唱で発動した。

 それと同時にテリュースも、対魔法障壁を詠唱したが少々遅れての展開により、地隆の岩の勢いに押されて近くに居たイザークとレックスを巻き込み小部屋へとなだれ込むのが見えた。

 そしてその先で、銀の魔法陣が発動しテリュース達の姿が消えた。おそらく、転移魔法の罠だ。


「テリュース?!」

「──あんたっ、何してんのよぉー!!」


 クリスティーナの怒声が飛び、アレンはテリュース達が消えた小部屋から視線をそちらに移した。

 そう、地魔法を発動した者──エニード・セタル男爵令嬢がまだここに居る。


「人数が思ったより削れなかったけど、あのチビは排除できたから──後は貴方だけよ、アレン・ウィルクス・ヴァレリウス!」


 エニードが静かにアレンを見た、その時。

 何も無い空間から魔力の高まりがあった。


「む、姿を消す魔導具か!」

「『風よ、旋風渦巻け舞い踊れ全てを飲み込め吹き上げろ──竜巻』!」


 温和そうな年配のシウスからナイフが飛ぶも、その前に風の上級魔法が発動しナイフは弾かれる。

 それ程広くはない通路いっぱいに暴風が渦巻き皆を巻き上げた。ダンジョン内部だからなのか、周囲が壊れる気配もない。

 皆の体が壁に天井に叩き付けられそうな瞬間。


「『銀の、其の害魔を逸らし防ぐは護りの盾──守護結界・対魔』」


 アレンの声が響く。

 祖父の御守りが身を守り、一人魔法を発動出来た。

 だが、襲撃もあり御守りが限界に至ったか、この時乾いた音を立て壊れるのをアレンは目にした。

 

 対魔法障壁により風の影響が無くなり、地面に落ちた体勢から皆が起き上がる。体を起こしたシウスが警戒するその空間をアレンも見た。まだ賊は姿を消したままだ。

 吹き荒れた風がようやく消える。


「クソっ、だけどあの時のように隕石落としは来ない!やれ、エニード」

「分かっているわ!」


 そうか、とアレンは察する。

 風の魔法は、あの時の青緑髪の男だと。

 ならば、おそらく。男は魔法に特化した者だ。


「シウス、姿を消した男は物理攻撃はさほどではない筈。今が好機です、何とか………」

「はっ、心得ました。殿下」


 だが、エニードが槍を構えてアレンへと駆け出す。

 させじとエニードの前に、同じく槍を持つサルエルが飛び出した。


「僕に任せろ!おりゃー!」

「くっ?!」


 テリュースよりは背があるが、それでも小柄なサルエルが槍を振り回す。想定外の強さなのかエニードが受け流すに必死になる。


「行くぞ、食らえ!必殺のテーン・シーン・ハーン!」

「は?」


 目を見開くエニードを、サルエルの怒濤の連続突きが襲う。たまらず、体勢を崩すエニード。


「どこの流派よ!聞いた事ないわよ、そんなの!」

「ふん、尊敬する叔父上が、好きな物を叫べばタイミングも測りやすいと教えて下さったのだ!」


 叫ぶエニードに、胸を張るサルエル。

 それを、遠目に見るオスカーが項垂れていた。


「ギルの旦那………それ、マンガの受け売りやろ」

「あーっ、チャー・シュー……けど、戦闘モノじゃ無いわよねぇ?」

「ともかく、姿消してる奴がウザい。なら」


 オスカーがサブマシンガンを、姿を消した者が居るであろう空間に向けて乱射する。

 周辺は銃弾が弾け飛ぶ。ダンジョンの内部ではその床や壁も傷一つ付かないようだ。

 そして、肝心の男には当たっていない。


「当たれや、クソっ。あー、ステルス透明偽装は光の屈折や、なんか無いんか魔導具屋!」

「え、そんなの知らないし、無いわよぅ!もうぅ、これでも食らいなさいっ、煙幕ン1号!」


 オスカーとのやり取りで、クリスティーナが小型の爆弾を投げた。その周辺が煙幕で包まれ、仄かに人影を浮き上がらせる。


「よっしゃあ、くたばれ!」

「好機!」


 オスカーがサブマシンガンをそこへ向けて乱射、シウスも両手で短剣をそれぞれ投合する。

 ──それと同時に、エニードが魔力を練り上げた。


「邪魔よ、退きなさい。奥義、土竜穿剔破!!」


 そして、土煙を身に纏い近寄る者を弾く岩塊が舞う渾身の突きが、突線上のサルエルを吹き飛ばしアレンへと放たれた。

 それは咄嗟に反応したシウスをも弾き、アレンの体を貫いていた。



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