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別の世界で新たな生を望みますか?と、問われた俺の物語  作者:


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18/30

18 襲撃?!

 その夜。

 アレンに魔石を届けたレックスが、俺の部屋に戻ってきた。


「悪いな」

「いえ、それよりもあの侍従は何とかした方が良いと思います。私がアレン殿下に魔石を届けた際も、探るような目で見ていました」

「爺様に報告して、強制排除が早いな。爺様なら直ぐ動いてくれるだろう」

「畏まりました。──それとは、関係ないのですが。サイラス殿下について、妙な噂があります」

「うちの第一王子の?」

「はい。魔法の実技授業の時に、魔石を使って誤魔化し魔法を発動させた。──というものです」

「魔石を?サイラス殿下は魔力が低いとか?」

「いえ、それは分かりません。サイラス殿下は鑑定遮断の魔導具を所持されているようなので」

「……お前、鑑定使ったのか!バレたら面倒だぞ」

「──ですが、魔導具を使ってまで隠す、何かがサイラス殿下にはあるようです」

「隠すとしたら何だ、魔力か?鑑定で見えるのはスキル………まさか、主属性?」

「ヴァレリウス王家の主属性は銀、それ以外が見えるなら──おそらく」

「だから、──国王はサイラス殿下を立太子したくない?」

「それ故に、王妃は執拗にアレン殿下を害そうとしているとも考えられます」

「それは、爺様に報告したか?」

「いえ、あくまで可能性の問題ですから。そもそもサイラス殿下は銀髪なので──主属性は髪色に現れるといいます。私の考えに確証はありません」

「何ぃ?!驚かせるなっ!!マジでそうかと思ったぞ!!」

「可能性を述べただけです」


 危うく乗せられて、サイラス殿下は王の実子じゃないのかとか考えてしまった。

 しかし、鑑定を遮断する意味は不明だな。


 レックスに茶を入れさせてから、俺は改めて昼間の事を考えた。

 王家の直系でなければ、有資格者にはなれない。

 それを知らない俺は、レックスの父親には思い至らなかった。

 だったら、レックスはそれをいつ聞いたんだろう。


「──レックス、昼間の事だけど」

「はい」

「お前の父親の事を聞いたのは、いつ頃なんだ?」

「………母さ、いえ母が死んだ後に、ご隠居様から伺いました。──お前には選択肢がある、このまま砦に留まるか。それとも、帝国で皇子となるか──と」


 爺様?!母親亡くして直ぐの子供に容赦なさ過ぎ!!


「──俺は、母さんとの想い出のある砦に残りたいと。ご隠居様にお願いしました。帝国は母さんが死んだ原因でもあります。帝国になんか行きたくありませんでした」


 バーンズ隊長の葬儀の時の、レックスの様子を思い出して。あの時のその心情は、これだったのかと。

 ちょっと、胸が痛かった。


「そうか。色々気が付かなくて悪かった」

「いえ、気にしないで下さい。──それよりも、テリュース様の出自については、報告しても宜しいですか?」

「ん?どういう意味だ?」

「テリュース様の父親は依然不明のままです。母君のフィーネ様は、ご隠居様に告げなかったそうです。その為、不明のままです。ただ、ご隠居様は薄々は気が付いていた様ですが」

「マジかー?!そりゃ、戸籍隠したくもなるわ!!」

「そういう事ですね」

「──けど、報告ってもあくまで予言書物の話だから、確証は無いぞ」

「勿論、そう報告します」

「まあ、そういう事ならいいか」


 この時はそう思ったんだけど、聞いた爺様がどう動くかは想像してなかった。



◇◇◇



 そして夜半過ぎ。

 皆が寝静まった頃その騒動は起きた。

 寮の建物がわずかに揺れる振動で、俺は目を覚ました。

 魔力残滓が残っている。

 発生源は王族の部屋の方だと気付いて、慌てて俺は部屋のドアを開けて廊下に出た。

 王族の部屋の一つのドアが開いており、そこから噴き出す火と共に人影が飛び出して来た。アレンだ!


「アレン!無事か!」

「──テリュース。私は大丈夫だ、お祖父さまのお守りが守ってくれた。けれど、賊は窓から逃げた」

「分かった、任せろ」

「ちょっ、テリュース待て。危ないから!」


 騒動に周りの王族も部屋から出て来た。もうアレンに危険は無いだろうと、俺は燃えているアレンの部屋の窓ガラスが砕けて散って残っている窓枠の近くで魔法を放つ。


「『黒の、其の魔を為す軌跡を解せ指し示せ──追跡』」


 追跡魔法が、魔法発動者の痕跡を仄かに白く浮かばせる。それが向かっているのは隣の女子寮?!

 ここは4階だ、賊は浮遊魔法が使えるか、身体能力が高いかのどちらか。

 生憎、俺は身体能力は低い自信がある。


「『風よ、広き天空に其の身を委ね願う我が意の侭に──浮遊』」


 風の魔法陣が浮かび魔法を発動させてから、窓から飛び出した。

 追跡魔法の痕跡を追って中空を飛ぶ。

 女子寮の1階に窓ガラスが割られている窓があり、そこに痕跡がある。その窓から中に入れば、──そこは浴室だった。

 共用の大きな銭湯みたいな湯船がある。

 痕跡はその湯船の手前で途絶えていた。

 湯船には水が張られている。

 つまり飛び込んで痕跡を消され、水中で魔石転移されたか?──この手口は、どう考えても。

 だが、ベルナール神学園には障壁がある。

 転移では外部に通り抜けられない。

 ならば学園内にまだ賊は居る。筈だ。

 けれど、一般人が学園内に入るのは難しい。

 しかし、潜入し何処かに潜んでいるのか。

 はたまた、生徒の中に居るのか。

 どちらにせよ、賊はクロウラーの影だろう。

 だが……。

 とりあえず、女子寮の風呂場は危険だ。

 不審者扱いされる前に出よう。

 

 男子寮の4階に戻ると、教師らしき人や警備の騎士などが数人居て騒がしかった。

 アレンは、駆け付けたのだろうレックスと並んで廊下に立っていた。


「テリュース!心配したよ」

「テリュース様、賊は?」

「すまん、逃げられた。女子寮の浴室で痕跡は消えた」

「浴室で?」

「浴室の風呂は水が張ってあったんですね」

「そうだ、おそらく賊は……」

「もしかして、井戸の代わりにって事かな?」

「ああ、アレンは覚えていたのか」

「覚えているよ、賊の手口だろう」

「アレン殿下も井戸で通じるんですね……」

「うん?幼少時に私を狙った賊の逃走手口だから」

「──そうでしたか」

「賊はまだ学園内に居る筈だ」

「ともかく、警戒して貰う為、私が騎士には話を通しておくよ」


 逃走した賊の詳細をアレンが、襲撃された部屋の調査をしている騎士達に伝えに行った。


「大胆な襲撃ですね。賊は窓から直接室内に火魔法を放って逃げたようです。威力から火の中級魔法だと思われますが」

「爺様のお守りが対魔法障壁で良かった。無かったらヤバかったな」

「しかし、学園内に居るという事は、生徒に扮し侵入している可能性が高いですね。……赤毛では無いか」


 音がするほど歯を噛み締めるレックス。

 赤毛はバーンズ隊長を殺した奴だ。

 後に聞いたのだろう、誰がと。

 あれから7年だ、赤毛では生徒は無理がある。

 もし、他の賊が生徒に扮しているのなら、時期的に怪しいのは入園し立ての1年生ではないか?

 あるいは、新規の職員。

 しかし、だからといって賊だと判断できる材料がない。


「──ところで、共用の浴室は使用後に湯を捨てないのか?再度沸かすのか?」

「共用の浴室は入浴時間が終わると、職員により湯が棄てられる筈です。魔導具で水を沸かすタイプの浴槽らしいですが、新たに水を張るのは入浴時間前だと思います」

「夜中に予め、女子寮の浴槽に水を張った者が居る訳だな」

「複数潜入している可能性もありますね。そちらは夜が明け次第、職員を調べてみます」

「後、学園内に井戸は無いのか?全て魔導具で賄うにしても水源はあるよな?そっちも調べてくれるか?」

「畏まりました」


 アレンが騎士達と話を終えた後。


「そういえば、アレン。賊の顔は見たか?」

「それがね。いきなりの音で目が覚めたけど、見たのは逃げる黒ずくめの後ろ姿だけだったんだ。印象は小柄な感じだった、女性かもしれない」

「女の可能性か……それに女子寮」

「賊は女子生徒の可能性が大きいですね」


 朝までの寝床にオスカーの空いてる侍従の部屋をアレンが借りる事で、俺とレックスは自分たちの部屋に引き上げた。



◇◇◇



 そして朝。

 中途半端に二度寝した事で、まだ眠い目でぼんやりしながら食堂に向かった。

 レックスは聞き込みに出た為、俺一人で朝食を取ろうと思っていたらアレンと会った。


「おはよう、テリュース。眠そうだな」

「おはよ、アレンもまだ眠いだろ?」

「いや、緊張が続いてて……後で眠くなりそうかな。──学園に入園してから2年も手出しは無かったのが、今になってこんな状態だから……」

「例の儀式のせいだろ」

「そうだね、来年の春に卒業して秋まで──か」

「来年の秋?儀式が?」

「ああ、来年の秋にサイラス殿下が16才になるから、儀式はその後になるらしいんだ」

「それまでに何とかしたいな」

「うーん、情勢的に難しいかな。今失脚されると和平協定がどうなるか。ヴァレリウスには余力がそれほど無いし、あちらの意図も読み難い」


 ぼかしているが、王妃を潰すと戦争になる可能性があると?

 ただ、王妃の独断でクロウラーの影が動いているのか、帝国の総意なのか?、という訳だな。


「どうも、あちらは一枚岩という訳でも無い様子だ。今のトップよりも、動きがあるのは別の勢力らしい」

「──アレン。後で、それ詳しく聞きたいな」

「ああ、いいよ。また夜にでも……」


 帝国内で、動いている勢力。

 ひょっとしたら、そこに巫女が居たりしないか?

 巫女には、確か能力があったよな。


 巫女は一般に、遠見の巫女と呼ばれている。

 裁定の役目の為、運命の先を見通す能力を持っているからだ。その己が見た運命を選び取る事こそ巫女の使命でもある。


 その能力って、予知能力か?



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