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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山スバル
第十三幕 諸戦争を終わらせる戦争へ──情報を制する者が欧州(セカイ)を制す

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異常者たち

 ルーシとポールモール、八千代、リヒトの4名は、イーストLTASの軍港にいた。不気味なくらい静まり返る軍港は、とてもじゃないが戦争中とは感じない。


「そりゃそうだが、半世紀の繁栄を懸けるにはヒトが足りねェだろ」

「それこそ仕方ない。軍は、予備戦力をロクに持っていないからな」

「完全にアイツらの思うツボだな……。しかも、上陸作戦の内容がひどすぎる。『敵の屍を超えていきましょう』……オマエ、ふざけてるのか?」

「リヒト、私がふざけているように見えるかい?」

「見えねェぜ、社長ォ。保守に走ったら、社長じゃねェからな!!」

「だとさ。リヒト、さすがだよ」

「照れるぜ、社長ォ!」


 相変わらず馬鹿みたいな発音をするリヒトだが、彼は揺り籠から墓場までルーシの言いなりになるようなヤツだ。大袈裟で、中身が伴っていない。様々な切り口から操縦しないと、リヒトはただの馬鹿に過ぎない。


「八千代の(あね)さんも参戦するし、おれらは最強だぜェ!!」

「リヒトCFO、お元気そうで。ルーシCEOが貴方を買っている理由も、少し分かってきました」


 嫌味と皮肉たっぷりに、狐の被り物をつけた八千代(やちよ)はボヤいた。


「だろォ? おれってすげェからさ、社長クラスの天才じゃねェと扱えねェんだ!!」

「世界はそれを馬鹿と呼ぶ。さて、行こうか。カエルの国へ」

「あぁ」

「任せとけ!」

「もう引き返せないですしね」


 *


 アーク・ロイヤル少佐率いる特殊大隊〝ギガバイト〟は、最強部隊〝JPS〟の傘下に入り、ガリア北部への上陸作戦に備えていた。魔力が濃いため、望遠鏡程度ではJPSの艦隊を見破ることもできない。


「ジョン中将殿、アーク少佐が閣下にお聞きしたいことがあると」

「あぁ、通せ」


 主力軍艦〝ギブソン〟艦長室の直ぐ側の個室でくつろいでいた、ロスト・エンジェルス最強の兵士ジョン・プレイヤーは、電池交換式の携帯ゲーム機をベッドへ置いた。


「よう。アーク」

「中将殿、ひとつだけ確認しておきたいです。……僕らは捨て駒ですか?」

「捨て駒にオマエやおれは含まれないよ。知名度の高いおれらがKIAになったら、市民たちは大パニックだ。それだけか?」

「だと良いんですが……」

「そんな不安がるな、若けェの。おれの下にいたほうが安全だし、ロスト・エンジェルス最強の軍艦が7隻あるんだぞ? ある意味一番安全な──」


 ジョンが言い切る前に、アークはよろけてしまった。なぜなら、彼は立っていたからだ。さらに言えば、敵艦の襲撃を受けたからでもある。警報音が鳴り響く。


『敵軍艦による襲撃発生。襲撃。ただちに迎撃に当たる。JPSも動いてくれ。オーバー』


 ジョンは無線機で応じた。


「カピー。JPSは総員戦闘配置だと伝えてくれ。そして、空母から戦闘攻撃機を出動させろ。オーバー」

『カピー・ザット。敵船はブリタニカのものだと思われる。相当な手慣れが乗ってるようだ。健闘を祈る。アウト』


 ジョンはベッドから立ち上がり、身体を伸ばし、そのまま姿を消してしまった。文字通り、あたかもそこに、ジョン・プレイヤーという人物がいなかったかのように。


「中将? 中将殿……まさかッ!!」


 アークはジョンの行動を察し、急いで階段から転げ落ちるように降りていく。


「大隊指揮官殿、どうしたんだ?」

「ミラ大尉!! ジョン中将が単騎で敵艦へ突っ込んだ!! 僕もついていく!!」

「とりあえず落ち着け、少佐殿。ほら」


 ミラが指差した先には、火の粉が舞い散っていた。なぜだ? と思ったアークだが、すぐ理由に気がつく。燃え盛る火の粉の元が軍艦だったら、説明がつくことに気がついたのだ。

 そして、火の粉は海の中へ消えていった。


「中将閣下は、暇過ぎて白髪が生えると嘆いてた。そんな中、敵艦が6艦挑んできた。中将殿からすれば、ワープなんてできないほうがおかしいだろう。そして、変に邪魔したら友軍射撃(フレンドリー・ファイア)をくらう。だから、落ち着いてくれ」


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