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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山スバル
第十三幕 諸戦争を終わらせる戦争へ──情報を制する者が欧州(セカイ)を制す

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最初で最後のチャンスを創り出せ(*)

「パパ、あれなに?」

「──あれはッ!! 伏せてッ!!」


 そのときは来る。そしてそのときは今だ。罪なき子どもと父親が、ブリタニカによる空中魔術部隊の持ったライフルに撃ち抜かれた。国内の軍がそれらを即座に撃退するも、夫と息子を失った母親の怒りは、そのままブリタニカへと向けられるであろう。


「──よって、戦時経済の急速な構築及び動員は、避けられぬ道だと思われます。配給制への移行は当然として、工場へは動員した18歳から60歳の女性を配置します。また、すべての18歳以上の男性は、予備役訓練を行い、これには重犯罪魔術師も加えるというわけですな。まさに背水の陣。ロスト・エンジェルスは、建国以来の危機に陥ったのです」


 本島の総人口はおおよそ750万人。海外領土という名の植民地の軍には、申し訳ないが降伏してもらうほかない。一方、ブラシリカの権益は死守せねば、戦争継続は不可能になってしまう。当然だが、ある程度はうまく進めねばならない。大統領と国防長官、陸軍・海軍・宇宙空軍・魔術総合軍の司令官が一同に介し、作戦提案を行っていた。


「だろうな……」大統領・クールはうなだれるように溜め息をつく。「農水省は、すべてを配給制にした上で、10ヶ月分の食料備蓄があると断言した。だから、本当の意味でのタイム・リミットはまだ1年近くある。もっとも、それまでに戦略的勝利を収めなければ、おれらも市民も終わりだな」


 半年間で、ブリタニカとガリア中央を支配するパリーナ政府という大国に、戦略的勝利を収めなければならない。どう考えても無理のある計算だった。


「一方、我々にも分はあります。まず、ブリタニカとガリアに潜んでいるスパイです。これらが、有り体にいえばパルチザンを作り出す。銃後からの攻撃で、両者ともに動揺するのは間違いないでしょう。それを利用し、現地の共産主義者たちに協力を呼びかける。しかし、結局のところ……」

「軍事的な勝利がなければ、鎮圧されて終わり。スパイは切り札だ。コイツらは、一斉に動いて一瞬の隙に忍び寄る、唯一の希望だからな。むやみやたらに使えない」


 勝ち筋がないと言えばウソになるが、やはり最終的には軍事的に屈服させなければならない。

 ここで大事になってくるのは、宇宙空軍と魔術総合軍である。


「言っちゃあ悪いが、我が国には、ガリアほどの陸軍もいなければブリタニカに敵う海軍力も、ない。そうなると、否が応でも宇宙空軍と魔術総合軍に活躍してもらわねばならない。だろ?」

 宇宙空軍参謀総長が告げる。「大統領、制空権は常にこちらのもの、だと思ってもらって差し支えないです。ブリタニカとパリーナは空中部隊を侮っていますが、空もまた重大な戦場であります。空を抑えれば、最強の爆撃機〝デトナーレ〟が、戦術的爆撃をもって厭戦にもっていくことも可能かと。ただ同時に、宇宙空軍に占領能力は存在しません。なので……」


 宇宙空軍の長は、魔術総合軍のトップに目をやった。


「魔術総合軍が抵抗者とコミーに接触できれば、我々は一気に優勢になるでしょう。ただ、我々は少数精鋭。動員した予備役や一般市民は、到底使えるものではない。そのため、最初で最後のチャンスが来たとき、総合軍は動きます」


 軍首脳と指導者は、着々と見込みの薄い戦争への準備を重ねていくのだった。


 *


 戦争開始から24時間が経過。ロスト・エンジェルス海域に近づいた敵軍艦が一掃され、ルーシたちは身動きがとれるようになった。


「ッたく、人使いが荒いな。元社長さん」

「しゃーないだろ。〝賢者の石〟を奪取できれば、向こう50年、軍事兵器に搭載する半導体に困らなくなる。だろ? ポール」


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