空がこんなに青いから、見上げる理由がなくならない(番外編)
番外編です。読まなくても物語に支障はありません。とても短いです。
マッチ。
乾燥した枝。
小さな網。
日干しのアジ。
少しの塩。
キンキンに冷えたビール。
準備OK。
ここは、王宮内で、俺にあてがわれた部屋のバルコニー。
昼間っから、1人で晩酌をしようとしている。
なんて贅沢。なんて罪作り。
元の世界では、仕事に行って、飯食って、寝て、また仕事に行くの繰り返し。
たまの休日は、昼間まで寝て、昼過ぎから溜まていた家事をする。
いつの間にか夕方で、ああ、今日も何もしなかったな~と思いながらネットを見て一日が終わっていた。
別に仕事が嫌いじゃなかったし、友達がいなかったわけじゃない。明確な不満があったわけでもない。
でも、チートを願ってしまった。
女神が願いを聞き入れて、思っていたチートとは違うけど、手に入れた能力。
何でも出来そうで、何も出来なさそう。
でも、前とは違い、少しワクワクしている。
パチ、パチ、パチ
網の上で、日干しのアジが焼けてきた。
ひっくり返す。
ジュジュジュジュー。
日干しのアジの油が小枝を燃やす。
少し焦げた、香ばしい匂い。
うまそー。
ジュワ、ジュワー、ジュジュ、ジュワー。
ここでキンキンに冷えたビールをジョッキへそそぐ。
さあ、宴の始まりだ。
「いい匂いだな」
隣のバルコニーから雷神が顔を出した。
「うまそうだな」
いつの間にか、俺の後ろに風神が立っていた。
「わ!なんだよお前ら、イーロン王の護衛はいいのかよ」
「イーロン王はお昼寝中だ」
「リサ王女もお昼寝中だろ」
いつの間にか、二人は俺の向かいに座り、持参のジョッキにビールを注いでいる。
「まだ、焼けないのか」
「もう、食べれるだろう」
今度は、焼いている日干しのアジをつつき始めた。
「待て待て、これは俺が褒美に願った、ビールと魚だ。勝手に食うな」
「うまいな、塩加減がいい」
「うまいな、焦げ目がいい」
俺は、ビールジョッキを掲げた。
「仕方ない、ご馳走してやるが、タダじゃないぞ。貸し1つだ」
「ああ、貸し1つだ」
「二人で、貸し2つだな」
「「「カンパーイ」」」
ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ。
空がこんなに青いから、見上げる理由がなくならない。
白河・DG・夜舟様より頂きました
昼間っから晩酌の恒星
少し迷惑で、少しワクワクする、恒星の日常を書いてみました。
YouTubeのアウトドアがツマミ様のセリフを使用しました。




