舞踏会にむけて(番外編)
番外編です。読まなくても物語に支障はありません。
「え~と、なにしてる?」
王城にある大空間。
空の青さを反射した、鏡のようにツルツルの床に、いくつもの豪華なシャンデリアが天井を飾り、何枚もの天井から吊ら下がった白く長い布が、風で揺れる舞踏会会場。オーケストラの楽団が控えている。
この幻想的な空間で、リサ王女とイーロン国王は、ブリッジしている。
そう、体操のブリッジ。
直立した状態から状態を後方に反らせ、背中を地面につけないようにして足裏と手で支持した姿勢をとる。そのときの姿勢が橋のように見える事からブリッジと呼ばれる。
壁際には、リサ王女の侍女の3人と、イーロン国王の近衛兵数名。風神、雷神もいる。
俺は、図書館でこの国の常識の勉強をしていたら、呼ばれて来た。
「恒星、私の時間を止めて欲しいの。じーちゃんにブリッジ教えているんだけど、ゆっくりブリッジになる瞬間を見せたいの、だから、私がブリッジ開始したら5秒止めて、再生してすぐ5秒止めるを繰り返して、私のブリッジが完成したら終了。いい?」
「おお、わかった」
俺の中のチートが叫んでいる。チート能力発動。
俺は、リサ王女のブリッジの瞬間を、コマ送りのように、時間を停止しながら進めた。
「わかった?じーちゃん、やってみて」
「待て待て待て待て、イーロン王は、御年80歳だぞ、80歳にブリッジはダメだろ。腰いかすぞ」
「いや、わしは出来る。やればできる子」
「待て待て待て待て。おい、近衛兵止めろ。風神さん~、雷神さん~おたくの主人ヤバいですよ~」
近衛兵も、風神雷神も動かない。
「わかりました。何故、ブリッジしようと思いついた?」
「今度、隣国の王子を招いた舞踏会があるの、私とじーちゃんがファーストダンスを踊るんだけど、その時に、みんなの度肝を抜かすダンスがしたくて、こうやってブリッジしてみんなで歩き回れば最高かなて、毎年、ファーストダンスの踊りをみんながマネして踊るんだよ」
リサ王女はブリッジしたまま、手と足をちょこまか動かし、昆虫のように進んでいる。
「これを、国王と王女がファーストダンスで踊る!その後みんなでブリッジ!?カオス!。何その舞踏会。これがこの国の常識?」
近衛兵の方を振り向くと、大きく首を横に振っている。
「常識じゃないんだ、良かった。ブリッジはやめよう。昆虫みたいで綺麗じゃない。しかもご婦人方はコルセット付けてるんだよね。腰曲がらない」
「そんなに、ブーたれた顔しない。そうだ、音楽に合わせて、ジャンプするのはどう?一回やってみよう。ミュージックスタート」
オーケストラの楽団が奏でる、幻想的なクラシック音楽が流れ始めた。
「ストップ。ストップ。わかった。わかった。音楽が美しいけど、おとなしい」
「ドラムさんは、ツービート、ドッタドドタ!ドッタドドタこのリズムを永遠に刻んで、次にバイオリンさんは、2ビートの2拍目と4拍目にアクセントを付けて引いてみて、ピアノさんは、今2倍の速さで同じ曲を弾いてみて」
オーケストラの楽団が奏でるポップな音楽が出来上がった。
「では、リサ王女、イーロン国王、あなたがたはバネです。地面に足を一瞬しか着けれません。では始めましょう」
オーケストラのポップな音楽が流れたと同時に、3人でぴょんぴょん、ジャンプ。ジャンプ。
どんどん調子に乗って、ジャンプしながら足を拡げたり、頭を激しく振ったり、打ち上げられた魚のように全身で震えたり、そのうち、リサ王女が、壁際に立っていた、侍女や近衛兵、風神雷神も巻き込み、みんなでぴょんぴょん。ジャンプ。ジャンプ。
オーケストラの曲が止んで、ジャンプも止まった。
「ハア、ハア、ハア、どうでしょう。疲れますが、ブリッジより安全で、みんなで楽しめると思います」
「ハア、ハア、ハア、採用じゃ、今度の舞踏会はジャンプじゃ」
◇◇◇
舞踏会当日。ファーストダンスはもちろんポップなリズムに合わせてジャンプ。ジャンプ。
その後、王族も貴族も従者も、みんなでジャンプ。ジャンプ。
俺:「ハア、ハア、ハア、これでよかったのか?」
風神:「ハア、ハア、ハア、ブリッジよりは、まだマシだ」
雷神:「ハア、ハア、ハア、リサ王女もイーロン王も楽しそうだ」
白河・DG・夜舟様より頂きました
ブリッジ中のリサ王女とイーロン国王
おしまい
小柄なリサ王女とイーロン王、ごつい風神雷神、綺麗な侍女、かっこいい近衛兵が一緒にジャンプしている場面を書きたくて書いてみました。意味はありません。




